Turnbull & Asser Bespoke Shirt

ターンブル&アッサーのオーダーで
英国シャツの真髄を知る

January 2021

 

正統的な服を極める紳士にとって、第二の皮膚に値するシャツは、その魅力の奥底までを追求できるアイテムだ。

自身が持つスタイルの美意識を表現し、最高の着用感を堪能するためにも、シャツこそ英国老舗のオーダーに行き着く。

 

 

text katsumi yabe(UFFIZI MEDIA) 

photography jun udagawa 

styling akihiro shikata

 

 

 

鮮やかなライトブルーのロンドンストライプを生地に選んだクレリックシャツ。襟やカフを白地にすることで、スポーティなストライプにドレスシャツの要素を残したターンブル&アッサーらしいデザインだ。¥45,000~ Turnbull & Asser

 

 

世界中のロイヤルファミリー、セレブリティに愛される名店

 

 名店ターンブル&アッサーは、1885年にイギリス・ロンドンで創業。レジナルド・ターンブルとアーネスト・アッサーのふたりのシャツ職人の名前からこの店名となった。

 

 粋人として知られたエドワード7世がターンブル&アッサーのシャツを愛用したのをはじめ、ロイヤルワラントを授与されたほか、2010年、ウィリアム王子が婚約発表時に着用したシャツが同ブランドの誂えだったことなど、英国王室との縁は実に深い。

 

 

カフ、襟、生地の組み合わせで唯一無二のオーダーシャツが完成する。ターンブル&アッサーは、どれも豊富なデザインを用意し楽しませてくれる。まずカフは、ブランドの真髄を表現したターンナップカフや、シングルカフに3つのボタンを配したデザインが狙い目だ。襟型は、正統的なレギュラーカラーをはじめ、襟先が広がったホリゾンタルなどから選べる。

 

 

 

 もちろん、世界を代表するセレブリティもターンブル&アッサーのシャツを愛用してきた。古くはフレッド・アステアやマイケル・ケインといった名優たち。映画『007』シリーズでは、ジェームズ・ボンドの逞しいボディを上質な白いシャツで包んだのだ。

 

 ターンブル&アッサーのシャツは、既製でも老舗の卓越した技を味わえるが、やはり紳士ならオーダーメイドにこだわるのが自然な流れだ。オリジナルの生地や細部の仕様の組み合わせなど、世界に1枚しかないシャツはオーダーメイドだからこそ実現する。本国の店舗でオーダーする場合は最低6枚からの受注となるが、日本では2枚からオーダーが可能で注文しやすい。

 

1000 種類を超える生地は、白無地だけでも繊細なポプリンからコシのあるオックスフォードまでさまざまに揃える。柄物では、鮮やかなストライプ、ギンガムチェックなど英国らしいデザインがあり、スーツやタイとのコーディネイトのイメージが膨らむ。

 

 

 特筆すべきは、そのオーダー手順にある。綿密な採寸を経て、生地や襟型など仕様を決めた後、まず1枚のシャツができあがる。そのシャツを普段洗濯している方法で3回洗い、再度サイズを確認して2枚目のシャツの製作に取りかかる。これは、洗濯後に生地が縮むことを考慮したターンブル&アッサーならではの手法である。

 

 身体に馴染むシャツの着用は、紳士として当然の佇まいを意味することをターンブル&アッサーのオーダーが教えるのだ。

 

 

Collar

堅牢なる襟はターンブル&アッサーの真骨頂。しっかりとした襟芯と形の整った襟からブリティッシュ・ジェントルマンの雰囲気が漂う。タイのノットがバランスよく収まる羽根襟と台襟の巧みなデザイン、襟先が美しく身頃に着地する形など、130 年を超えるシャツづくりの技術が詰まっている。

 

 

Placket

ターンブル&アッサーのシャツであることを、ひと目で見分けられる前立ての仕様。前ボタンの両サイドに走るステッチワークが象徴的なデザインとなり、シャツの表情に気品を与える。スポーティにも見える前立てのデザインだが、英国の老舗がつくり出したオリジナルの意匠がコレだ。

 

 

Shape

英国老舗の風格を漂わすボックス型の伝統的なシルエット。イタリア製のシャツのように艶っぽさを表現するラインとは一線を画した、極端にウエストを絞らないシルエットに、紳士のシャツとしてのターンブル&アッサーの矜持が漲る。男の存在感を見事に演出できるシルエットなのだ。

 


 

 

ターンブル&アッサーのロンドン本店、ビスポーク部門の内観。壁には顧客のポートレイトがズラリと並ぶ。デヴィッド・ニーヴンやマイケル・ケインといった往年の名優のほか、ロナルド・レーガン元アメリカ大統領の写真も。いかに同店が世界のセレブリティたちに愛されていたのか一目瞭然である。もちろんこの場所で、顧客の採寸も行っている。

 

本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue20