LE BAR PLAZA ATHENEE Director
THIERRY HERNANDEZ Interview

大人のカクテルの楽しみ方とは

October 2016

161012b-1©frederic ducout

THIERRY HERNANDEZ
ティエリー・エルナンデズ
「ル・バー・プラザ・アテネ」ディレクター

16歳からパリのホテルのバーで働く。スコットランドのホテル勤務を経て、1985年よりパリのホテル「オテル・プラザ・アテネ」に参画。2001年より同ホテルのバー・ディレクターに就任。斬新なカクテルのクリエイションにとどまらず、空間プロデュースなどのディレクションも行う。彼の手がける「ル・バー・プラザ・アテネ」は著名人やモデルが連夜集まる、有数の人気スポットとなっている。趣味はゴルフ。自然に囲まれて仕事の鋭気を養う。

 銀座のベージュ アラン・デュカス 東京にて毎年開催され好評を博している「コレクション・ベージュ」。この日のために厳選された食材を特別のコースに仕立て、“料理のオートクチュール”ともいえる競演を楽しめる一大イベントだ。前回のコレクションでは、開催に合わせてパリのパラスホテル「プラザ・アテネ」でバー・ディレクターを務めるティエリー・エルナンデズ氏が来日した。彼はパリのパレスホテル「オテル・プラザ・アテネ」のバー「ル・バー・プラザ・アテネ」を手がけ、一斉を風靡している名バーテンダー。新しいカクテルを生み出す、そのインスピレーションはどこから来るのだろうか。

「出発点はいつも材料です。また、一緒につまむものとの組み合わせも考えます。もちろんお客様の好みや反応、そしてトレンドも加味しますよ」

カクテルの世界的なトレンドや動向について尋ねてみた。

「ずばり『ミクソロジーカクテル』ですね。リキュールやフレーバーシロップを使わずに、フルーツやハーブ、スパイスといった素材そのものを生かし、蒸留酒と組み合わせること。見た目もおしゃれでセレブリティの間でも人気です」

ミクソロジーカクテルは元々、1920年代のアメリカにおける禁酒法時代にハーブや香料を駆使してノンアルコールでも楽しめるようにした文化をルーツに持つという。

「15年前くらいから、これまで使っていなかった材料を発掘したり、古いウイスキーを使用したり伝統的なものを再現したりすることがバーテンダーの間で流行ってきました。いわばカクテルの材料自体を自家製にする、というものです」

こうしたカクテルは複雑な味わいのため比較的上級者向けのものだという。エルナンデズ氏は今回の来日に際し誰もが飲みやすいふたつの特別なカクテルを作った。

「ひとつは、ベージュ アラン・デュカス 東京とプラザ・アテネのイメージを融合させて考えた『カメリア』。ポルトガルの貴重なカメリアリキュールを手荷物で日本に持ってきました。もうひとつはアラン・デュカスの好きなサワーを日本酒と組み合わせた『Sake サワー・ベージュ』。フランス料理のアペリティフにふさわしく、強いボディの日本酒をセレクトしました」

日本の要素も積極的にカクテルに取り入れているエルナンデズ氏の今回の来日は2度目。前回は日本のウイスキーのアンバサダーとして天然氷を学び、日本の氷の文化をヨーロッパに広めたという。日本のウイスキーもまた、ヨーロッパで人気を博している。

「実はフランス人はイギリス人の次にウイスキーが好きだと言われています。フランス人の間でも日本のウイスキーは本当に人気がある。コンクールでもトップは軒並み日本のものですし、高い評価のためになかなか手に入りにくいんです」

彼は自身のバー「ル・バー・プラザ・アテネ」での空間のプロデュースも行っているが、カクテルと空間に重要な関わりがあるのだろうか。

「バーは、エンターテインメント。カクテルだけでなく、空間、音楽すべてが一体となって評価されるべきものです。私たちのバーがあるオテル・プラザは非常に特殊な内装です。100年以上の歴史があり、文化保存の指定を受けているので、壁には穴ひとつあけられない。ですがデザイナーとよく打ち合わせて、あえてモダン系の要素を合わせた内装のバーを作りました」

大人の嗜みとしてのバーはどのように楽しめばいいか、尋ねてみた。

「アペリティフも食後も、やはり高級ホテルのバーに限ります。食べ物もおいしいですし、葉巻などの品揃えも豊富です。空間もサービスもいいですし、もちろんいいお酒が揃っています。パラスホテル(フランスにおけるホテル格付け最高位)がオススメです。なにしろパリ中の美しい女性たちが集まってきますからね(笑)。いつも人気で入れない? では秘密の暗号『THE RAKEを見た』と言ってくだされば特別に入れてさしあげますよ(笑)」

161012b-2.jpg©Eric Laignel

Le Bar du Plaza Athénée
Hotel Plaza Athénée 25 avenue Montaigne, 75008 Paris, France
+33 1 53 67 66 00

 

161012b-2.jpg「ベージュ・アラン・デュカス 東京」にて開催される、次回の「冬のコレクション」も見逃せない。北イタリア産の最高級白トリュフをふんだんに使用した贅沢な饗宴を展開。また会期中の11月4日(金)には白トリュフのコースに一皿ずつシャンパーニュを合わせる特別ディナーも開催される。

「コレクション・ベージュ 2016」
冬のコレクション“白トリュフの誘惑”

期間: 2016年11月2日(水)~27日(日)
内容:ランチ25,000円 / ディナー40,000円
<オプション>ワインペアリング20,000円
特別ディナー:2016年11月4日(金)35,000円

 

ベージュ アラン・デュカス 東京
住所:東京都中央区銀座3−5−3 シャネル銀座ビルディング10F
TEL:03-5159-5500
営業時間:11:30〜14:00L.O. / 18:00〜20:30L.O. 月曜・火曜定休
www.beige-tokyo.com/