THE RIGHT TROUSERS FOR YOUR BODY TYPE

体型に合ったトラウザーズの選び方

July 2020

ひとつのスタイルが数多の男性に似合うことはありえない。

トラウザーズはあなたの体型に合わせて選択するべきだ。

 

 

text wei koh

 

 

当代きっての洒落者として知られるフレッド・アステア。彼ほど強くアメリカンスタイルに影響を与えた紳士はいない。足元にはレースアップシューズがコーディネイトされていた。

 

 

恰幅がいい男性

 恰幅がいい男性は、脚を長く見せる必要がある。トラウザーズは、ハイウエストを選んだほうがいい。やってしまいがちな間違いは、着用位置が低すぎることだ。脚が短く見えるだけでなく、ウエストの上に乗った腹が見苦しい。正しく位置を固定することが重要だ。

 

 しっかりとドレープができる生地を選んで、フロントの所定の位置に強いクリースを入れるといい。リバースプリーツ(ポケット側に向く外向きのプリーツ)は垂直線を強調し、着席時の快適性を高めてくれる。折り目が少し内側に向くと、視覚的な効果で脚を細く見せられる。ただし生地は過度に厚くしてはいけない。色柄は、ダークな無地やピンストライプがおすすめだ。

 

映画『カポーティ』(2005年)でのフィリップ・シーモア・ホフマン。恰幅がいい男性にはフルカットのトラウザーズが似合う。

 

 

痩せ型の男性

 ダンサーで俳優のフレッド・アステアはいつも完璧な装いをしていたので、多くの人は彼がどれだけ痩せていたか知らなかっただろう。彼は着こなしで筋肉があるように見せる達人だった。

 

 トラウザーズに関しては、嵩張り感を高めるカットを好んで着用した。自然なウエストで着用し、175cmの身長よりも高く見せた。彼はインプリーツを好み、ヒップにソフトなボリューム感をもたせた。トラウザーズはフルカットだったが実にバランスがとれていた。

 

痩せた体型を見事に補う着こなしを見せるフレッド・アステア。

 

 

背の高い男性

 俳優のゲイリー・クーパーは190cmの高身長だったが、スリムでがっしりした肩のためにもっと背が高く見えた。彼が顧客だったアンダーソン&シェパードは、伝説的なドレープカットで有名で、背の高い男性にもぴったりの仕立て服を作っていた。

 

 特にフルカットのトラウザーズは、高身長の男性にダイナミックな男らしさを与えた。背の高い男性は、少しゆったりしたカットのトラウザーズがいい。より大きな直径と、やや大きめのブレイクを選択することもできる。ただし裾幅は、常に靴のサイズに合っている必要がある。

 

 

高身長のケーリー・グラント(右)もまたトラウザーズを完璧に着こなしていた。

 

 

筋肉質な男性

 鍛えられた体格を持つ人は、腰やウエストよりも肩幅が広く胸板が厚い、逆三角形のシルエットだ。サヴィル・ロウで最も構造主義者のテーラー、チトルバラ&モーガンのジョー・モーガンは、こう語る。

 

「筋肉質な男性はさまざまなスタイルを着こなせます。フルカットのトラウザーズでシルエットは引き立ちますが、スリムカットも同じようにかっこ良く着用できます。プリーツはインでもアウトでもいけるし、シングル仕上げもダブル仕上げも似合う。すべて思いのままです。これらはジャケットのスタイルと構造によって決めるべきです。トラウザーズのシルエットがジャケットの魅力を高めるでしょう」

 

 

背の低い男性には、脚を細く長く見せることができるよう、ローライズで脚全体がフィットした裾幅の狭いトラウザーズが最適。裾はノーブレイクで仕上げている。

 

 

 

背の低い男性

 背の低い男性は垂直線を意識しつつ“ゆったり着る”ことは避け、ぴったりと脚のラインに合わせるべきだ。したがって、イタリアのテーラーから選ぶのが良いかもしれない。

 

 プリーツはヒップ周りを重くするので、プレーンフロントがベスト。ウエストは自然な位置か、少しローライズでもいい。高すぎると胴体を短く見せてしまう。股上はなるべく高く、前部のクリースはやや内向きがいい。

 

 背の低い男性は、大きなサイズを購入して直して着る傾向にあるが、これは良くない。左右のクリースを引き離してしまうからだ。スリムな見た目をつくるために、小さなサイズを購入して大きくなるよう直すことをおすすめする。フロントのクリースが近ければ、より細く見せられる。