THE GIGI “DEGAS Jacket”

トレンドセッター“次の一手”

August 2016

text kentaro matsuo

 THE GIGI(ザ・ジジ)といえば、イタリアにおける、ここ数年の流行を牽引してきたトレンドセッターだ。かつてボリオリでアンコン・ジャケットの先鞭をつけたピエルルイジ・ボリオリ氏が、「本当に自分の好きなことをやる」と宣言して始めたブランドで、従来のメンズ・ファッションの常識を次々と打ち破り、一躍フロントラインへと躍り出た。

 その特徴は、今までは考えられなかった素材使いだ。例えば、従来はレディスでしか使われなかったブークレやワッフルなどの凹凸のあるマテリアルを、メンズ・ジャケットに取り入れたのだ。わかりやすくいうと、シャネルスーツのような素材感を、メンズで表現したということ。これは画期的だった。

 数多のブランドがフォロワーとなったが、オリジナルは常に一歩先を行く。今シーズンは、逆にオーソドックスなパターンを打ち出した。しかし柄は普通でも、マテリアルの混紡率は複雑きわまりない。3〜4種類の異なる素材を、絶妙の比率でブレンドしており、「ありそうでなかった」素材感をモノにしている。肌触りも素晴らしい。

 その新しさは認めるが「今までのコレクションはちょっとハードルが高かった」と思っていた向きには、今シーズンのTHE GIGIは、まさに“買い時”といえる。そのアイコン的モデルが、写真の”DEGAS”だ。コンサバとアグレッシブのバランスが絶妙。「地味に目立ちたい」というアンビバレントな貴兄にぴったりの一着だ。

 

THE GIGI

ブランドのアイコンモデル”DEGAS”。ウールモヘア42×ヴァージンウール39×ナイロン11×シルク8%という複雑な組成。非常にベーシックなデザインだが、仕立ては超アンコンで、裏地は袖のみに付く。大きめの千鳥格子は、インパクト大。しかし色目は抑えてあり、コーディネイトに苦労することはなさそうだ。¥130,000 THE GIGI(アマンTEL.03-6805-0527)