STYLE HEROES: DAVID NIVEN

スタイルヒーローズ:デヴィッド・ニーヴン

June 2020

007のプロトタイプとなり、映画『寝室ものがたり』等で知られるデヴィッド・ニーヴンは、典型的なブリティッシュ・ジェントルマンであった。

 

by CHRISTIAN BARKER

 

 

 

前夫マイケル・トッドの死後、エリザベス・テイラーの家にいたデヴィッド・ニーヴン。

 

 

 

 元・牛乳配達屋だったショーン・コネリーは、一旦忘れよう。イアン・フレミングがジェームズ・ボンドのキャラクターを構想するとき、心に留めていたのは、デヴィッド・ニーヴンだったのだ。架空のボンドが、実在のデヴィッド・ニーヴンに似ていることは、フレミングの小説『007は二度死ぬ』のストーリーを読めばわかる。

 

 しかし、2人が共有したのは、そのハンサムな外見だけではなかった。ニーヴンは、卓越した兵士であり、大酒飲みの女たらしでもあった。その征服リストには20世紀半ばの、最も美しい女性が多く含まれていた。ニーヴンはさまざまな点で、007に似ていたのだ。

 

 ジェームズ・デヴィッド・グラハム・ニーヴンは1910年3月にロンドンで生まれた。父はイギリス軍の将校で、彼が生まれてから、わずか5年後に、第一次世界大戦で戦死した。家族が受け継いだものは、幾許かの借金だけだった。

 

 母親であるフランス人女性はすぐに英国保守党の高官であるトーマス・コミンプラット卿と再婚した。伝記作家は、コミンプラットが実際にはニーヴンの生物学上の父親だったと示唆しており、彼とニーヴンの母親は、長期にわたって関係を持っていたという。

 

 本当かどうかにかかわらず、ニーヴンが“トミーおじさん”呼んだ男は、父親とはほど遠く、親子関係も認めず、冷たくて遠い義父であり続けた。

 

 

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