JOHN LOBB “William 75”

あの名作ウィリアムがイヤーモデルに

September 2020

靴の守護聖人“サン・クリスピン”の日を記念して、毎年発表されるイヤーモデル。今年のモチーフは、誕生75周年を迎えた名作ウィリアムだ。ラストはオリジナルと同じ9795を使用。だがデザインは同じでも、各所に超絶テクニックが使われ、明らかにハイグレードな印象だ。ブラック(下右)の他、ボルドー(上)、チョコレート(下左)、ダークブラウン、ディープブルーと5色のカラーバリエーションが用意されている。シューツリー付属。世界750足限定。2020年10月25日より発売。¥335,000 John Lobb(ジョン ロブ ジャパン Tel.03-6267-6010)

 

 

 

 ジョンロブを代表する名靴といえば、ウィリアムをおいて他にない。あの20世紀最大の洒落者と謳われたウィンザー公が愛した、ダブル・モンクストラップの元祖にして傑作である。今回、その誕生75周年を記念し、同社が毎年リリースしているイヤーモデルとして、リファインされ、限定発売されることになった。

 

 イヤーモデルといえば、進化を続ける老舗ジョンロブが、その年における最新・最高の技術を注入することで知られている。このウィリアムも、一見すると昔からのデザインを踏襲しているが、よく見るとさまざまな超絶テクニックが使われている。

 

 例えば、アッパーは継ぎ目のないホールカット。トウキャップはダミーで、革の内部を縫い通すスキンステッチで形作られている。内側にはクォーターのハンドステッチや、2021年を表すXXIのハンドタブもつく。美しいグラデーションのカラーリングも素晴らしい。

 

 その佇まいは、明らかにノーマルのウィリアムを凌ぐ。昔からのジョンロブ・ファンにこそ、おすすめしたい一足だ。

 

トウキャップの部分は別部材ではなく、スキンステッチの技法によって形作られている。よく見ると、途中で線が途切れ、全体が一枚革であることがわかる。薄いアッパーの革に針を通すのは、熟練の職人でも難しい技術だ。