HOW to WEAR, HOW to ENJOY!

鴨志田流着こなし術 Vol.8
2020年秋冬、装いの変化は?

January 2021

世界中をパンデミックが襲って、人々の生活スタイルそのものが劇的に変わっていく中で、2020年の秋冬、鴨志田氏はどんな装いをするのか?

今までとの変化は何かあったのだろうか?

 

 

photography tatsuya ozawa

text yuko fujita

 

 

ワイドシルエットの

トラウザーズが断然気分

kolorとボリオリのダブルネームのジャケットに、シャルベのスタンドカラーシャツ、ジョンストンズのカシミアマフラー、ベルナール ザンスのトラウザーズ、ユケテンのシューズという合わせ。茶とグレイをベースにしたアーシーで心に響く感じは、去年までとはひと味違う色使いだ。トラウザーズのワイドシルエットも今回強調したいポイント。上はジャストフィットで下はゆったりが断然今年の気分だ。シャツ¥56,000 Charvet、マフラー¥28,000 JohnstonsUnited Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 Tel.03-5772-5501 ジャケット、トラウザーズ、靴 property of Yasuto Kamoshita

 

鴨志田康人/Yasuto Kamoshita

1957年生まれ。ビームスを経て1989年、ユナイテッドアローズの設立に参画。2004年からクリエイティブ ディレクターを務め、2018年よりクリエイティブ アドバイザー。07年、自身のブランド「カモシタ ユナイテッドアローズ」を始動。昨年より、ポール・スチュアートの日本のクリエイティブ ディレクターも務める。

 

 

 

「ファッションに関して言えば、今は世界中のどこにいても同じ情報を同時に得られるわけじゃないですか。それによって、各国の町の色とかオリジナリティとかローカルなよさが、だんだん失われていってしまったわけです。そこに気がついていて、それってもったいないな、でも仕方ないなって諦めている人、結構多いと思うんです。

 

 でも、やっぱりそれってもったいない。今は規模を売ることを考えてもビジネスはついてこないだろうし、もういちどローカルということをポジティブに捉えて、その人がその人らしく生きられる、パーソナルなライフスタイルにシフトしていくだろうと、そこのところは自分はポジティブに捉えています。

 

 都会に住んでいてもマインドは自然の中とか、昔スローライフって言葉がありましたけど、まさにそういうことを大切にしたいなと。ちょっと土臭いとか、ダサかっこいいとか、自然に溶け込むグレイと茶の心に響くトーンが気分ですね」

 

 

(写真左)

スーツはウォーム感のある素材で

パーソナルなリラックス感を

リヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てたグレイフランネルスーツに、カモシタ ユナイテッドアローズのタブカラーシャツ、フランコ ミヌッチのタイという合わせ。「スーツの生地は都心で着るストライプよりも、起毛されたものやチェックのものが今の気分なんじゃないかなと思うんです。今季は全体的にグレイと茶のトーンでまとめているのと、落ち着いたトーンにして色数を絞りながら、スーツを着ていてもパーソナルなリラックス感が表現できるよう、心がけています」

スーツ、シャツ、タイ、チーフ property of Yasuto Kamoshita

 

(写真中)

カントリーに黒を取り入れて

モダナイズするのが新鮮

「今季は茶とグレイベースの色使いを多用していますが、カントリースタイルを考えたとき、本来カントリーの世界には黒は存在しませんけれど、その黒をあえて入れてスタイリングを締めてあげるのは、モダナイズしていくのにやりやすい手法かなと思います。ニットとシャツにはさんだアスコットタイが、パーソナルなリラックス感を生み出してくれます」

コート¥52,000 United Arrows シャツ¥50,000、パンツ¥45,000 both by Valet/all by United Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 Tel.03-5772-5501)

ニット、アスコットタイ property of Yasuto Kamoshita

 

(写真右)

色数を絞り、装飾性を省いて

カントリーに新しさを

アルニスのツイードジャケットに、Hのタートルネックニット、フランスで購入した古着のツイードトラウザーズ、メレルのクライミングブーツという合わせ。「カントリースタイルってもっと装飾性が強かったりディテールがいろいろあったり、もう少し色を使ったりしていて、ツイード自体も色のミックスがあったりしますけど、そっちへ行ってしまうとあまり新鮮味がないかなと。自然に溶け込むトーンでありながら色数を絞って、上手くカントリースタイルをアップデイトさせました」

ジャケット、ニット、トラウザーズ、ブーツ property of Yasuto Kamoshita

 

 

<本連載の過去記事は以下より>

Vol.1 春の装いは巻き物でアクセントを

Vol.2 ジーンズは程よいリラックス感で楽しむ

Vol.3 小物から考えるスーツの装い

Vol.4 2019年秋冬的フレンチトラッド術

Vol.5 今どきのフォーマルの楽しみ方とは?

Vol.6 今季気になっている春のアウター4選

Vol.7  春にこそ着たいベージュ&オフホワイト

Vol.8 2020年秋冬、装いの変化は?

 

 

本記事は2020年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue37