HOW TO ENJOY “KINOBI”

京都生まれの自然派ジン「季の美」

August 2020

 

 

 家でマティーニを作ってみることにした。

 

 新型コロナウイルスの出現により、お気に入りのバーにはなかなか行けないし、自宅で過ごす時間が圧倒的に多くなった今、家での時間をよりいいものに、そして新しいことに挑戦したいと思う人は、私だけではないだろう。

 

 プライムビデオざんまいの休日に観た映画『シンプル・フェイバー』(監督ポール・フェイグのセンスが随所に詰まっている作品)で、主役のブレイク・ライブリー演じるキャラクターがロンドンの老舗バー「デュークス・バー」のレシピで“本物”のマティーニを作り上げるシーンがあったことも、そのモチベーションを高めてくれていた。

 

 また、筆者の好きないくつかの映画『007/カジノロワイヤル』や『ダイヤルMを廻せ』を見返していても、やはりマティーニが出てくる。もうこうなれば、私のマティーニを作りたい欲は誰にも止められない。いままでも、コスモポリタンやマンハッタン、ブラッディメアリーやらについては、良さそうなスピリッツを見つけては作っていたが、ジンだけはまだ入手するまでに至ってはいなかった。

 

 王道のタンカレーやビーフィーター、ボンベイ・サファイヤにはじまり、最近では日本生まれのものも数多く登場しているジン。加えられるボタニカルにより、味わいそしてなによりもフレーバーが大きく異なるその世界は、飲めば飲むほど、知れば知るほど奥が深い。

 

 今まではバーで、ゴードンやザ・ボタニスト、モンキー47を好んで飲んでいたが、いざ自分で作るとなると少し変えてみたくなるもの。せっかくなら日本のものに限定しようと思い、見つけたのがこの「季の美」だ。

 

 諸兄の中でもご存知の方は多いとは思うが、日本だけでなく世界において広く知れ渡っており、バーでもよく目にするようになった「季の美」。改めてこのブランドに出合ってみて、日本とイギリスが見事に融合している世界観、優しく柔らかな味わい、そしてその豊潤な香りに魅了された。

 

 

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