HOLY SMOKES: HOW TO CUT YOUR CIGAR

シガーを正しくカットする

March 2019

シガーをカットすることは、シガーを嗜む第一歩だ。どうやったら正しいカットができるか、説明しよう。きちんとカットしたシガーは、決してあなたを落胆させない。

 

 

text  mike choi

photography kim lang

 

 

 

ダビドフ・ロンドンのオーナーであるエディー・サハキアンが、愛用のカッターでダビドフ3000 スリムゲージパナテラをカットしているところ。

 

 

 

 マシンメイドのシガーは、工場で作られる時に、あらかじめカットされていることが多いが、すべてのハンドメイド・シガーは、いくつかの方法はあるものの、喫煙する前に必ずカットをしなければならない。

 

 ハンドメイド・シガーは、吸い口に“キャップ”と呼ばれる部分がついている。これはタバコの葉による小さなパーツで、ラッパー(一番外側の葉)をおさえている。これでどちらが吸う側かもわかる。通常キャップの端には、目に見える薄い線がある。これはキャップラインと呼ばれており、シガーをカットする際の目安となる。

 

 シガーを立て、ヘッドを上に持って来て、キャップラインより上をカットすれば、シガーを吸うことができる。キャップラインの下まで切ってしまうと、ラッパーが剥がれてしまう。この場合は、なめた指で落ち着かせよう。

 

 これからいくつかのカットの方法をお教えする。

 

 

1)クリント・イーストウッド・スタイル

 シガーを歯でちぎりとるのは、カウボーイのお決まりの仕草だが、これはカッターや他の手段が、どうしても見つからないときだけにしておこう。決して褒められたやり方ではないが、不可能ではない。切り口は粗くギザギザになって、口の中には、タバコの葉が入ってしまう。やはり、おすすめできない。

 

 

2)爪を使う

 長い爪を持っている方なら、爪でキャップを突き刺して、そのままシガーを回し、キャップ部を外すという方法がある。時にはうまくいくこともあるが、葉が剥がれてしまうことが多い。この場合は、再びなめた指でおさえておこう。

 

 

3)ストレートカット

 シングルかダブルブレードのギロチンカッターは、ストレートカットに持ってこいだ。この方法だと、パンチやVカットに比べ、吸い口の面積を大きくとることができ、味わいがマイルドになる。

 

 カッターに対してシガーを垂直に入れ、親指と人差し指を使って、ブレードを動かす。するとブレードがシガーの表面に当たるから、親指と人差し指を同時に使い、両刃を一気に閉じるのだ。そうすれば、水平の美しいカットが得られるだろう。通常はシガーを水平に持ったり、45度の角度で持ってカットする。

 

 しかし、この方法は、ピラミデとフィグラードには向かない。

 

 

上から下へ:ホヨードモントレイダブルコロナ(49 Ring)/モンテクリストNo.2ピラミデ(52 Ring)/ダビドフニカラグアトロ(54 Ring)/コイーバロブストス(50 Ring)/H.アップマンプチコロナ(42 Ring)。

 

 

 

4)シザー

 シザー(シガー用の鋏)を使う方法は、45度の角度でシガーを持ち、キャップラインの上で鋏を入れつつ、シガーを回転させるのだ。少しずつ回しながら両刃が合わさるまで動かす。

 

 

5)キューバンカット

 この名前の由来は定かではないが、私がダビドフ・ロンドンにて働いていた頃、すぐに習ったものだ。これはピラミデやダブル・フィグラードなど、両端が尖ったシガーにのみ用いる。

 

 水平なキャップラインを持つシガーと違い、これらのシェイプのシガーのキャップラインは斜めになっている。キャップは45度くらいの角度でカットするとよい。端が小さく絞ってあるので、水平カットだと吸い口が小さくなりすぎる。だから斜めにカットするのだ。キューバンカットなら、深く切りすぎることもない。キャップラインを少しカットするくらいがちょうどいい位置だ。ラッパーが剥がれたら、なめた指で落ち着かせる。

 

 角度をつけてカットするのはやや難しく、このやり方にはちょっと練習が必要だ。

 

 

6)パンチカット

 “パンチカット”とは、本来穴をあけることで“カット”ではない。パンチカッターには、いろいろな直径を持ったものがある。これでシガーのキャップ部分に穴をあける。私の場合、ゲージが40〜50くらいのシガーに、パンチカッターを用いることが多い。

 

 欠点としては、小さな穴から煙が出て来る時に、ニコチンとタールが凝縮されてしまい、シガーの味を変えてしまうことだ。これをさけるために、ストレートカットを併用するといい。端から数ミリのところを水平に切るのだ。特に葉脈をつまみ出すクセのある人は、こうするとよい。

 

 

7)Vカット

 この形のカットは、19世紀にとてもポピュラーだった。道具はそのカット部分の形から、キャッツアイ・カッターとも呼ばれる。コリブリとジカー、ふたつのブランドがプッシュしていることもあって、このカットは最近リバイバルしている。

 

 

 

 

 どのカットがお好みにせよ、たまには違う方法も試してみるべきだ。味の違いに、きっと驚くに違いない。

 

 シガーラウンジや小売店では、違うタイプのシガーカッターを試させてくれるだろう。その中から、一番優れたものを選びたい。仕上げ、重さ、サイズ、動きのスムースさ、そしてもちろん刃の切れ味だ。

 

 ジカーは私の知る限り、生涯保証を謳っている唯一のブランドだ。

 

 

Special thank you to Edward and Eddie Sahakian of Davidoff of London, the finest depository for all your cigar needs. Davidoff of London, 35 St James’s St, St. James’s, London SW1A 1HD

 

 

<ダビドフオブジュネーブ>

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