HIMEL BROS: VINTAGE INSPIRED LEATHER JACKETS

ヴィンテージにインスパイアされた
レザージャケット“ヒメル ブラザーズ”

October 2020

THE RAKEは、カナダのレザージャケット・ブランド、ヒメル ブラザーズをEコマースに迎え入れることを光栄に思っている。卓越したレザー・メーカーであるヒメル ブラザーズは、最高の素材と技術を用いて作られ、ヴィンテージ・テイストに溢れている。しかも、レザージャケットとしての機能性も抜群なのである。

 

by freddie anderson 

photography rikesh chauhan and gary rugala

 

 

 

 

 クラフツマンシップ、特にラグジュアリー・レザーグッズのエリアでは、通常それらを扱う会社には、長い歴史があるものだ。さまざまな種類の革を最高の作品に仕上げるという作業は複雑で、通常は何世代にもわたって磨き抜かれてきた技術が必要だからだ。

 

 世界中の有名な靴職人やバッグメーカーのことを考えてみてほしい。ほとんどすべての会社が長年をかけて技術を開発してきたのだ。それらと同じレベルのクオリティを持つブランが、突然登場したとしたら、注目せずにはいられないだろう。それが一人の男によるものであったなら、なおさらだ。その男は、ヴィンテージ・レザージャケットへの膨大な知識と愛を持っており、1920~30年代のレザージャケットが持つよさをすべて備えたオーダーメイド、既製服の会社を設立し、急成長させた。

 

 今回、現代のジェントルマンのために、ヴィンテージ感溢れ、なおかつ機能的なジャケットをプロデュースしている、ヒメル ブラザーズをTHE RAKEのEコマースに迎えられることをとても嬉しく思っている。

 

 

 

 

 トロントを拠点とするこの会社を運営しているのは、デヴィッド・ヒメル氏だ。カナダで最も人口の多い都市で10年以上にわたってヴィンテージ・レザージャケットのディーラーをしている。1970年代以前のジャケットを20万点以上扱い、その間に約2000点のジャケットを収集してきた。

 

 彼のコレクションの中で、最もレアなジャケットのひとつが、1920年代のキング・オー・ファー社のゴートスキン製グリズリー・ジャケットだ。1920年代以前のグリズリー・ジャケットは、まだ誰も復刻していなかったので、彼はその製作を試みたのだ。

 

 製作する前に誓ったことは、とことん品質を追求することだった。下調べに2年を費やし、さらに2年かけて素材の研究を行った。1960年代以前のジャケットに使われていたホースハイド(馬革)を探し出さなければならず、それは日本とシカゴの2つのタンナーでしか作られていなかった。

 

 今回THE RAKEに入荷したグリズリー・ジャケットに使用されている馬革スエードは、日本の新喜皮革のなめし工場で生産されたものだ。

 

 そのブラウン・スエードの“オキマカン”ジャケットは、着心地の良さを追求した美しい品だが、同時にヴィンテージ感もたっぷり漂っている。

 

 

 

 

 オキマカンは、オーバーサイズのウエストはそのままに、ややフィットしたボディに仕上げることで、オーセンティックさと現代的なフィット感のバランスを取っている。“オキマカン”とはかつてアメリカ・インディアンが話したアルゴンキン語で、“酋長”という意味だ。カナダのアルゴンキン語圏の先住民族のリーダーのことを指す。

 

 そのデザインを可能な限りオーセンティックなものにするために、ボタンからジッパーに至るまで、1960年代以前のものを、コストを度外視して使用した。

 

 

 

 

 ジャケットのボタンは、1930年代のアールデコ様式のメラミンボタンを、日本でリプロダクトしたものだ。メラミン素材は、その光沢、硬さ、発色の良さで珍重された初期のプラスチックで、ナイロンやポリエステルなどの近代的なプラスチックが発明された第二次世界大戦以前まで使用されていた。

 

 糸は70年以上の歴史を持つアメリカの綿糸メーカーが提供している。バックルはオリジナルで、1930年代のデザインを模した真鍮製だ。ヒメル ブラザーズは、高度なクラフト技術を駆使し、最高のオリジナル素材を使用しながら、非常にクールなジャケットを製作している。

 

 すべての新しいデザインはゼロから作られている。デヴィッドは何十年もの経験を持つジャケット作りの専門家からなるチームを擁しているのだ。ほとんどの会社は基本的なデザインを再構築するだけだが、ヒメル ブラザーズは、動き、フィット感、構造を考慮し、パターンを一から作り直しているのだ。

 

 

 

 

 ダークブラウンのレザーを使用したチヌークジャケットは、このような手法でゼロからデザインされた。第一次世界大戦スタイルのピーコートに、1920年代初期のショールカラーのワークコートを組み合わせてある。襟は、寒くても、雨や雪が降っても、ボタンを留めて背中や頬、耳を暖かく保つことができるように設計されている。

 

 ジャケットはダブルブレストで、ハイクオリティなステアハイドが使用されており、濃厚なダーク・チェスナットの下地の上に、ワックスのような鈍い光沢を放つブラック層が施されている。

 

 この革は、しなやかさと弾力性に富んでいる。体に馴染み、すぐに柔らかくなってくれる。

 

 

 

 

 また、この革にはライト・ブラウンの“プルアップ”がある。プルアップとは、革に油分を施し、曲げたり擦ったりすることで薄い色に変化し、美しいパティーヌ模様を作り出す状態のことだ。

 

 縫製糸にはギッターマン社製が使われている。世界で最も歴史のある糸メーカーのひとつで、1891年からオリジナル・ジャケット用の糸を作り続けている。

 

 どちらのジャケットも、過去のジャケットを参考にしながらも、まったく新しいデザインとアイデアを取り入れた逸品たちだ。