A COMPREHENSIVE GUIDE TO CASHMERE

カシミアという素材を知る

December 2020

なぜカシミアはラグジュアリーなのか?

そしてどのように購入するのがベストなのか?

そんな疑問にお答えしよう。

 

 

by THE RAKE

 

 

 

 

 私たちイギリス人は、天気について不平を言うのが大の得意だ。毎日の雨について文句を言い、寒さについて泣き言を並べるが、イギリスの気候は、全体的に見れば、ごく平凡なものである。特にゴビ砂漠のような地域と比較すると、それは顕著だ。ゴビ砂漠では、気温はマイナス40度からプラス45度の間で、1日に35度も変動することがある。

 

 中国北部からモンゴルまで続くこの砂漠に生息するヤギが、世界で最も多用途な繊維のひとつであるカシミアの原料となっていることは、理にかなっている。ヤギの体は、亜寒帯の気温に合わせて暖かさを保ち、必要な時には冷やしてくれる毛に覆われ、それがヤギの生存に欠かせないのだ。

 

 

 

 

 

 カシミアは、私たちのワードローブにも欠かせない素材となっている(たとえ温暖化によって、必要な衣服が少なくなったとしても)。ヒマラヤ、ラダック地方のの民間伝承によると、カシミアから生み出された最初の衣服は、14世紀の聖人によって作られた一足の靴下だったという。

 

 その後、7世紀を経て、カシミアはクリスマス用の靴下としてだけではなく、デザイナーやイノベーターによって、アクセサリーからニットウェア、コートからドレッシングガウン、テーラードからレジャーウェアまで、あらゆるものに使用できる繊維となった。しかし、カシミアは実用的なだけではない。それは紛れもなくラグジュアリーな素材で、他では代えがたい非常にソフトで滑るような手触りを持っている。羊毛と比較すると、断熱性は約3倍で、キメが細かく軽い。

 

 ウールがかゆくて肌に合わない人やアレルギーがある人でも、カシミアに同じ反応を示すことはほとんどない。それはエドワード・セクストンの細身のロールネック、アルテアのプレッピー風カーディガン、アンダーソン&シェパードのポロシャツなどに最適な素材なのだ。

 

 

 

 

 確かに、カシミアはウールに比べ耐久性に劣るため、手入れが大変だ。しかし、カシミア製品は投資する価値があり、手入れをすれば何百回も着ることができる。適切に保管し、洗濯の指示に従えば、より長持ちする。

 

 ガイオラやイニシュマンなどのブランドは、ウールとカシミアをブレンドした万能なアイテムを製造しており、素晴らしい手触りを維持しながらも、少し頑丈に出来ている。

 

 イニシュマンのドニゴールウールを使用したカーペンターズ・ジャケット、スカリオーネのクラシックなシルクとカシミアのクルーネック、アンダーソン&シェパードのメリノウールとカシミアのニットジャケットはTheRake.comでベストセラーになっている。

 

 テーラードジャケットにも、上質なカシミアが使われていることが多い。これは、シルクのような柔らかな仕上がりに加えて、着用者に暖かさと快適さを提供するからだ。チフォネリのシングルブレザーやルビナッチのスポーツコート、ガイオラのジャケットが良い例だ。

 

 

 

 

 

 

 カシミアはウールよりもシワになりにくいので、旅行にも好まれている。今夏、デ・ペトリロのウール/カシミア製ヘリンボーンのサハリアーナ・ジャケットは非常に人気が高かったので、秋冬用に8種類の色バリエーションを追加発注した。ベローズポケットは収納性に優れ、ベルト付きのウエストは旅行中に便利だ。実用的なだけでなく、カシミアの発色のよさも証明している。

 

 ジョシュア エリスの鮮やかなレモンイエローとオレンジを配したスカーフから、スカリオーネのコーンフラワーブルーとクリムゾンのニットウェアまで、カシミアのスタイリングの選択肢は無限大だ。糸の紡ぎ方によっては、ツイードのような美しい風合いになり、同系色の斑点があることもある。チフォネリのオータム・ジャケットには、そんなクラレット、バーガンディ、チェリーの色合いが見て取れる。

 

 しかし、最終的には、カシミアの真骨頂は着心地の良さだ。カシミアのニット・トラウザーズほど快適で、贅沢なものはない。あえて言うならば、トラックスーツのボトムスか?(カシミアのニット・トラウザーズを実際のトラックで履くことはおすすめしないが)

 

 

 

 

 

 この冬は、スカリオーネのリブ編みスリムフィット・トラウザーズと、コノリーのネイビー・ドローストリング・パンツをローテーションして、夜はガウンスミスのエレガントなバスローブの下に、昼はウェザープルーフ・オーバーコートの下に着用してみてはどうだろうか。

 

 カシミヤはアウターとしても活躍してくれる。アレキサンダー・クラフト・モンテカルロのスリムカットのカバードコート、ルビナッチの印象的なピーコート/レインコート/ダウンジャケット/オーバーコート、デ・ペトリロのダブルブレステッド・スタイル、コノリーの軽量ブルゾンなどに見られるように、カシミアは軽いが保温性に優れている。

 

 朗報なのは、それらすべてが TheRake.comの通販で手に入るということだ。