November 2019

THE RAKE & B.R.ONLINE

“ともに推す”この一品

THE RAKEとネットメディアB.R.ONLINEがともに「これぞ」と認めた一品を紹介する。基準は、高品質、ラグジュアリー、そしてモダンであることだ。
photography yasuyuki suzuki, jun udagawa
styling akihiro shikata

ふんわりと柔らかいコットンネル素材を使ったB.R.SHOPの別注品。ネクタイを締めても、ボタンを開けてもバランスがいい襟型を採用。襟とカフスの芯地はソフト芯。加えて、襟はカラーステイ無しなので柔らかな表情を楽しめる。ボディーは日本人の体型に合わせ、細めのシェイプを採用している。
コットンネル・シャツ 各¥27,000 Maria Santangelo / B.R.Shop(ビー・アール・オンライン Tel.03-6721-1124)

マンマの手作りシャツマリア・サンタンジェロ イタリアでは、テーラーは男社会だが、シャツメーカー(カミチェリア)は女社会だ。創業者が女性であるカミチェリアがとても多い。これはかつては、ファミリーのシャツは、その家の“マンマ”によって手作りされていたからだろう。旦那や息子のために作っていたシャツが評判を呼び、友人やご近所からも頼まれるようになって、そのままカミチェリアになったというパターンが多いのだ。

 マリア・サンタンジェロもそのうちのひとつだ。1953年に、マリア・サンタンジェロ女史によって、ナポリにて創業された老舗で、彼女の祖母の代からのシャツ作りを継承している。その工房はサンタアナスタシアという街にある。ここはシャツ作りの聖地で、街中にカミチェリアが点在している。19世紀末には貴族の住む街であり、彼らの需要があったから、手工業が発展したのだという。マンマが始め、貴族に愛された古き良きシャツ̶̶ それがマリア・サンタンジェロだ。

 だからここのシャツは、どこか温かみがあり、かつノーブルな雰囲気を持っているのだ。

OEMで培った技術をバックグラウンドにシャツの本場ナポリでも、工房にシャツ生地が入り、シャツとなって箱に入って同じ工房から出荷するという一貫したシャツ作りをしているカミチェリアは、彼らを含め、2、3 社しかないという。現在はマリア女史から技術を受け継いだ子供たちと、約30名の職人により運営されている。有名メゾンのOEMで培った技術をバックグラウンドに、そのビジネスは徐々に拡大しているという。ファッション・デパートの雄、伊勢丹が扱うのは、ベーシックかつ高品質なモデルが中心となる。
ライトブルーのシャツ ¥26,000 ネイビーブルーのシャツ ¥26,000 Maria Santangelo / Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 Tel.03-6267-6010)

2+2の数字はハンドの工程数を表すマリア・サンタンジェロのシャツには、運針の細かさ、ストライプやチェックなどの柄合せなど、細部にわたり細やかな仕事が見られる。タグに2+2とあるのは、ハンドメイドで行われる工程数を示している、この場合、袖付け・サイドガゼット・ボタン付け・剣ポロのカンヌキ留めの4か所である。艶のあるスタイルを標榜するセレクトショップguji が展開するマリア・サンタンジェロは、クレリックやオルタネート・ストライプなど、ノーブルな色柄のセレクトが特徴である。
クレリック+グレンチェックのシャツ ¥28,000、ブラウンのオルタネート・ストライプのシャツ ¥28,000 Maria Santangelo / guji(グジ東京店 Tel.03-6721-0027)

「真面目でいいシャツ」だけではない近年、マリア・サンタンジェロは「真面目でいいシャツ」だけのイメージを払しょくすべくデザイン、生地選びなど、若々しくモダンなイメージも打ち出しているという。ナノ・ユニバースが別注したシリーズはその典型だ。またマリア・サンタンジェロの特徴として第2ボタンと第3ボタンとの間隔を狭くすることで、第2ボタンまで開けてもはだけず、カフスの形は袖の先端に向けて窄まっていき、手首にフィットするデザインとなっていることがあげられる。インポートシャツでありながら日本人の体型に合う形になっているのだ。
プリントシャツ ¥26,000、デニム・シャツ ¥26,000 Maria Santangelo / nano universe(ナノ・ユニバース カスタマーサービス Tel.0120-965-120)

本記事は2019年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 31

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

“ともに推す”この一品

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