Monday, October 14th, 2019

RULE BRITANNIA
英国を知らずしてスタイルは語れず。

Michael Hill
マイケル・ヒル

1977 年生まれ。父もタイメーカーであったことから幼少の頃より興味を抱く。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションで学び、卒業後サヴィル・ロウのリチャード・ジェームスへ。2004 年からドレイクスに加わり、マイケル・ドレイク氏の下で経験を積む。2010 年、ドレイク氏引退に伴い、共同オーナー兼クリエイティブ・ディレクターに就任。

古くて新しいトレンドが生まれる
DRAKE’S(ドレイクス)

マイケル・ドレイクスによって1977年にロンドンに創業したタイメーカー、ドレイクス。
メイド・イン・イングランドを標榜する伝統あるタイメーカーは
英国スタイルを代表するブランドとして新たなる躍進を目指す。
 2011年、ドレイクスがサヴィル・ロウから道を隔てたクリフォード・ストリートにタイと既製服を扱う路面店を出したとき、メンズウェアの既製服を主に扱うブランドはこの通りに1店もなかった。
 今ではアンダーソン&シェパード・ハーバーダッシャリー、コノリー(p75)などの出店が続き、ハイエンドなメンズウェアには欠かせない通りとなっている。
 当のドレイクスといえば、2010年にマイケル・ヒル氏とマーク・チョー氏が共同オーナーになって以来、クリフォード・ストリート・ストアをオープンし、2013年に北ロンドンに本社工場とそれに併設したファクトリーストアを建設、ロンドンに2店舗を構えた。2017年には東京、ニューヨーク、ソウルと立て続けに出店、世界5店舗となった。
 この急成長について、ヒル氏は
「創業1977年から40年かけたことを考えれば、そこまで急激な成長だとは思いません。偶然にこの機会がやってきただけで、ニューヨークとソウルではトライアルで出店し、日本でも渡辺産業を通して販売実績がありました。スタッフとドレイクスのファンである顧客、両方が揃った上での出店です」と語る。
 今やドレイクスはハンドメイドのタイメーカーから、全身をトータルでコーディネイトする英国ブランドへと成長を遂げた。これは長期的な戦略に基づいたものなのだろうか。
「創業者マイケル・ドレイクの下で働いていたときから、ドレイクスが英国スタイルを代表するブランドに成長できる可能性があると思っていました。しかし実際は、マーク・チョーに会うまで、誰も私の話を信じる者はいなかったんです」
 現在でもドレイクスの英国スタイルの基盤となっているのは自社工場で作られる英国製のタイとシャツである。英国南西部サマセットにあるシャツメーカー、クリーブ・オブ・ロンドンを傘下にしたのもその戦略の一部であったのだろう。
 今季のドレイクスは創業40周年記念コレクションを筆頭に、ハリスツイードやシェットランドニット、ストライプタイといった伝統的な英国的素材を使い、創業者マイケル・ドレイク氏の作った英国スタイルのDNAを継承。その上で、イタリアの仕立てにある軽い構造、カジュアルで快適なスタイルを組み込んでいる。そのため、タイドアップしていてもリラックスして見える、いわばソフトなサルトリアル・エレガンス、それが今のニュー・ブリティッシュなスタイルと合致している。
 驚くべきことに、ドレイクスの製品すべてが英国製である必要性はないという。「英国にはタイやシャツ、ファブリック製造など、歴史によって培われた伝統があります。私たちは経験があり、知識がある、それは英国の偉大な財産です。英国の優秀なファクトリーと職人を維持していくことも重要です。しかし、同時にドレイクスのシグネチャー、グレナディン・タイのように、イタリアのコモでしか作れない生地を使った製品もある。日本の藍染やインドのジャイプールのハンドブロックプリントも同様です。ベストな製品が作られるベストな場所で製造する、その意味においては英国製には固執しません」
 同時に英国製といえば堅牢で質実剛健のイメージがあるが、ドレイクスのシャツは張りの効いたロングポイントカラーやタブカラーで英国のシャツスタイルを踏襲しながら、着心地はより柔らかく、快適であるよう改良されている。
「過去と全く同じ製品を作り続けることはできません。トレンドは常に変動し、求められるものも変わっています。柔らかい快適なシャツが求められているならば、それを作ればいい。加えて、すでに市場に溢れている、同じような製品を作ろうとも思いません。ドレイクスの製品は安い買い物ではないかもしれませんが、適正な価格で、できる限り最高の品質の製品を作っています。そして、最も重要なことは品質で妥協しないことです。クオリティのないスタイルは存在しないと思っているからです」
 世界のトレンドは間違いなくカジュアル化にむかっている。ドレイクスが創造するニュー・ブリティッシュ・スタイルは多くの人々の共感を呼ぶに違いない。

DRAKE’S
No.3 Clifford St., London, W1S 2LF
TEL +44(0)20 7734 2367
www.drakes.com

本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 20

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