Monday, October 14th, 2019

RULE BRITANNIA
英国を知らずしてスタイルは語れず。

ヨーロッパのハイソサエティはなぜ英国を目指すのか。
メンズウェアとスーツ発祥の源流は英国にあり、それは変わることはない。
しかし今、ロンドンのメンズウェアは新たなブームを迎えている。
革新的な進化を遂げ、グローバルブランドへと成長をした老舗と
英国の新たな潮流、ニュー・ブリティッシュが併存する時代が到来した。
text yoshimi hasegawa photography luke carby

Andrew Maag
アンドリュー・ マァグ

パリのソルボンヌ大学で仏文学を学ぶ。ニューヨークのセレクトショップ、シャリバリ、ダナ・キャラン、GFT、GAP、イヴ・サンローランを経て、バーバリーの副社長となる。ニューヨークで20 年近いファッション業界での経歴を持ち、そのマーケティング手腕は高く評価されている。

英国、その王道を往く老舗
DUNHILL(ダンヒル)

2017年1月、ダンヒルの最高経営責任者にアンドリュー・マァグ氏が就任して以後、
英国を代表するメンズウェアブランドに大規模な改革が行われた。
改装を終えた旗艦店ボードンハウスにて新生ダンヒルの世界観を語る。
 創業者アルフレッド・ダンヒルが生きていたら、今のダンヒルを見て、なんと言うだろうか。
 ロンドンでも最高級エリアのメイフェアにある瀟洒なタウンハウス、ボードンハウスの門をくぐると、コートヤードのカフェでは、シガーを燻らせた紳士たちが新聞に目を通していた。メイフェアといえども、他の場所では見ることができない光景だ。
 2017年、新たにダンヒルの最高経営責任者に就任したアンドリュー・マァグ氏は就任と同時にダンヒルのフラッグシップ・ショップ、ボードンハウスのリニューアルも行った。
「就任以来、何を改革したのか?」と質問すると、「すべてです。そして、今も改革中です」と、自信に溢れた言葉が返ってきた。
「ダンヒルは英国を代表するメンズウェアブランドです。しかし、同時にグローバルなラグジュアリーブランドでもあります。ブランドにはコアとなる強いヴィジョンが必要です。オンライン、ストア、セールス、マーケティング、すべてがシンクロナイズして、世界統一のひとつのブランドヴィジョンを描く必要があります。オンラインではダンヒル.COMから新しいコンテンツを発信し、基本となる製品の翌日配送サービスも始めました。この世界ではスピードが求められています。オンライン、オフラインのストア、全世界、どんなチャンネルであっても、お客様にとってはダンヒルというブランドの真のフィロソフィーを共有できることが大事なのです」
 なぜダンヒルの最高経営責任者になったのか、マァグ氏にその経緯を訊ねると、「リシュモングループの要請で、ジュネーブに飛び、この仕事のオファーを受けました。ダンヒルは現代のラグジュアリーの消費者をよく理解しているブランドであり、ロンドンは文化の多様性、マーケットの国際性において世界で最上の都市です。このオファーはまるで運転されるのを待っている、偉大なアストンマーティンを目の前に差し出されたようなものだったのです。受けない者がいるでしょうか」と豪快に笑った。
 実際のところ、消費者はイメージではなく製品を見ていると、彼は分析した。だからこそ、消費者と顧客をつなぐストアの存在が益々重要になるというのだ。
「このストアではすべてのダンヒルの製品を取り扱っています。さらにプライベートシネマ、コートヤードカフェ、バーバー、プライベートメンバーズクラブにレストランも備えています。ブランドの哲学を体験し、ここから会話が始まり、製品を実際に手にとってみることができる。オンラインはその会話の延長に過ぎません」
 新デザイナーにはバーバリーでメンズウェアのシニア・バイスプレジデントを務めたマーク・ウェストンを迎え、常に顧客に新鮮な発見があるよう、コレクションは2カ月毎に発表される。店にない商品はストア内のiPadで購入できるシステムも構築した。
「私たちの最大の財産であり、核となっているのは、ダンヒルを購入されてきたお客様そのものです。彼らが何を着て、何を求めているのか。例えば、特別なストレッチナイロンを使ったドライビングコートのように、新素材の開発から細部まで、ダンヒルにふさわしい製品を作るには多大な労力と時間を要します。口で言うのは簡単ですが、実行するのは容易ではありません。幸いにも私のチームのメンバーはマーク・ウェストンをはじめダンヒルで働くことを誇りに思い、それを愛しています。自分の製品、自分の仕事を愛していますし、誰もがそうであってほしいと思っています」
 そのパイオニア精神とラグジュアリーな製品作りのDNAは今も健在なのだ。

ALFRED DUNHILL
Bourdon House, 2 Davies Street, Mayfair, London
TEL +44(0)20 3 425 7300
www.dunhill.com

本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 20

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