July 2020

Exclusive Interview: CHRISTOPH WALTZ
LORD OF THE DANCE

悪役の天才:俳優クリストフ・ヴァルツ

text nick scott photography brian bowen smith fashion direction grace gilfeather

ボンドシリーズの次回作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年11月20日公開予定)。

 タランティーノ監督のこの言葉を裏づけるように、ヴァルツは2009年のカンヌ国際映画祭で見事男優賞を受賞した。彼はタランティーノ監督について、「私に天職を授けてくれた人」と語っている。ヴァルツは、栄光を手に入れただけでなく、魅力や脅威、嫉妬を上手にブレンドして、観客を引きつけるひとつのイメージをつくり上げることにも成功した。

『イングロリアス・バスターズ』の中でヴァルツの演技が特に際立っていたのは、「さよなら、ショシャナ」、「クリームを注文したから待って」といった、短いセリフのシーンだ。タランティーノ監督の脚本やストーリー展開がこのように効果的なシーンで構成されている理由を尋ねてみると、彼は核心をつく答えを返してきた。監督にはリアリティを飛び越える力―彼はこれを「Quentin Physics(クエンティン・フィジックス)」と呼んでいる―があるからだと言った。

「理由は簡単。クエンティンが素晴らしい脚本家でもあるからです。頭の中で親しみを感じる音楽が聴こえてくるような脚本。そうです。複雑なものは何もありません。私は脚本に書かれているままを演じるだけでいい。でも彼は違います。キャラクターをつくり出すのは監督なのです」

 この言葉にタランティーノ監督は異を唱えるかもしれない。3年後に公開された映画『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)でも、賞金稼ぎに転身した歯科医ドクター・キング・シュルツ役にヴァルツを再度抜擢している。

本記事は2020年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Contents