July 2020

Exclusive Interview: CHRISTOPH WALTZ
LORD OF THE DANCE

悪役の天才:俳優クリストフ・ヴァルツ

text nick scott photography brian bowen smith fashion direction grace gilfeather

『おとなのけんか』(2011年)でケイト・ウィンスレットと。

「膝をつく行為は、侮辱や抗議を示す行為となってしまいました。人や物の前でひざまずくのはなぜか知っていますか? もともと膝をつくことは決して侮辱や抗議を示す行為ではなく、相手に敬意を表現するための行為です。ですが、かの大統領によるたったふたつのツイートとひとつの暴言によって、突然、侮辱や抗議を表す行為とみなされるようになったのです。世界の理解を導くものとして受け取ったはずの言葉の定義がそんなに簡単に変わってしまうとしたら、すべてを失ってしまうのではないかと心配になります。大統領のウクライナ疑惑に対する弾劾裁判が始まってから3日目に、米国の下院議員のアダム・シフが、『正しいことがもはや正しくないとされるのなら、私たちはどこへ向かえばよいのか』と主張しましたが、私は彼の意見に賛成します。世界や社会の中に自分たちの居場所を見つけるための最後の砦となるものすべてに対して同じことがいえます」

知性と教養を持つ俳優 ヴァルツはブロフェルド、ランダ、シュルツだけでなく、これまで印象に残るさまざまな役を演じてきた。フランス人脚本家ヤスミナ・レザによるブラックコメディー劇をもとにした、ロマン・ポランスキー監督の映画『おとなのけんか』(2011年)でのアラン・カウワン役、テリー・ギリアム監督の過激なイマジネーションによって生まれた近未来ファンタジー『ゼロの未来』(2013年)での廃墟と化した教会に住むプログラマーのコーエン・レス役、『ダウンサイズ』(2017年)でのパーティ好きなセルビア人遊蕩者ドゥシャン・ミルコヴィッチ役などがある。また、まもなくスペインにて撮影が開始されるウディ・アレン監督の最新作では主役を務めることになっており、これまで以上の活躍が期待されている。

 現代社会についての懸念はさておき、彼は非常にポジティブである。ヴァルツと時間をともに過ごしてわかったことだが、彼にとってワインや高級シガーは、単なる高尚な趣味をはるかに超えたものであり、彼が悪とみなすすべてのものに対抗するための手段でもある。

本記事は2020年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Contents