Tualatin Valley – Portland, Oregon vol.1

まだ見ぬオレゴンの魅力01
〜秘境のワイナリーを訪ねて〜

Wednesday, December 26th, 2018

 世界中から注目を集める街、アメリカ・オレゴン州ポートランド。日本でも近年、メディアで大特集が組まれるほどに人気を集めている。

 

 目玉となる観光スポットが決して多くないこの街が大きく取り上げられる理由は、山々に囲まれた豊かな自然と、環境に配慮された先進的な街づくり、地産地消にこだわる洗練された食文化、そして何よりもそういった土地に身を置いてスローライフを謳歌する人々に魅力が溢れているから。彼らは何よりも地元を愛し、アウトドアを満喫し、DIYに勤しんでいる。新しい時代に向けた自由な発想や表現が尊重されるため、この地には世界中からクリエイティブな人々が集まり、新たなコミュニティを生み出している。

 

 彼らにとっての最高の価値とは、世間一般で考えられる(いわゆる高級品や希少品といった)「ラグジュアリー」とは一線を画す。しかしこの街がどんな人々にも魅力的に映る最大の理由は、時代感を確かに掴んでいるところにあるのだ。実際、全米における「住みたい街ランキング」No.1の常連でもある。そういう意味において、この土地での暮らしとはある種、最高級であるといえるかもしれない。今回はそんなポートランドを含めたオレゴン州の魅力を再発見するべくご紹介しよう。

 

 

 

まだまだ知られざる

オレゴンワインの魅力とは?

 

 10月中旬。成田からデルタ航空の直行便でポートランドへ。なかなか秋らしい冷え込みとならなかった今年の東京に比べて確実に寒いだろうと覚悟を決めて降り立つが、意外なほどに暖かい。日中は東京と変わらないか、それ以上である。しかし朝晩はやはり急激に気温が下がる。その寒暖差こそが、この土地のワイン造りを支えている。

 

 アメリカの西海岸には多くのワイナリーがある。カリフォルニアのナパ・ヴァレーはあまりにも有名だが、ワインの名産国のフランスとほぼ同じ北緯45度に位置する自然豊かなオレゴン州にも、約750ものワイナリーが存在していることは意外と知られていない。生産量は全米で3位。家族経営の小規模なワイナリーが多いが、その分手の込んだ、高品質なワイン造りが行われている。

 

 多くの人々がポートランドに雨のイメージを持つように、オレゴン州の冬は確かに雨季となるのだが、夏はほとんど雨が降らないのでブドウの栽培には適している。また多くの丘陵地帯が存在しており、山々から流れる豊かな水を使用することで美味しいワインが造られるのだ。その味わいは、カリフォルニアワインとはまったく異なることも非常に興味深い。

 

 理想的な気候と自然に恵まれ、シャルドネ、ピノ・グリ、リースリングなど多くの品種が栽培されているが、特に多く生産されているのがピノ・ノワールである。その土地の特性や気候によって大きく左右されるために栽培が非常に難しい品種だが、サステイナビリティに先進的なオレゴン州らしく、有機栽培やバイオダイナミック農法といったワイン造りを積極的に進めるワイナリーが多いのが大きな特徴だ。今回は異なる特徴を持つ3つのワイナリーを訪れた。

 

 

1.Ponzi Vineyards

 

オレゴンのピノ・ノワールを

世界レベルへ引き上げた先駆者

 

 オレゴン州のワイン造りの中心となっているのがウィラメット・ヴァレー。今回はその北部に位置するトゥアラティンバレーを訪れた。どこまでも広大に広がる農場と、地元で採れた旬の野菜の販売所を眺めながら、ポートランドから車で30分程度で到着。このエリアのピノ・ノワールを語るにあたって外せないワイナリー、「ポンジー・ヴィンヤーズ」である。

 

 

 

 まだピノ・ノワールがブルゴーニュのみから生まれると信じられていた1970年、ディックとナンシーのポンジー夫妻は、この土地の気候がピノ・ノワールに理想的であることを認識し、オレゴン州で最初にワイン造りをスタートさせた。以来、ワイン造りのための装置や備品なども設計するなど、オレゴンを高品質なピノ・ノワール産地としての地位を固めるまでのパイオニア的な存在で、現在はふたりの娘たちの2世代目によってその情熱を継続させている。

 

 セールスやマーケティングなどの経営面は娘のマリアが、ワインメイキングについてはもうひとりの娘のルイーサが引き継いだ。ルイーサはもともと薬学を学んでいたが、両親のワイナリーを受け継ぐにあたり、フランスのバーガンディやイタリアのトップレベルのワイナリーで修行を積み重ね、数々の賞を受賞するまでに成長。ピノ・ノワールにとどまらず、ピノ・グリやシャルドネでも高い評価を受けるワインを生産している。

 

 

 品種がテロワールと気候としっかり一致しなければならないという彼女の哲学が反映されており、敷地面積170エーカーのブドウ畑はすべて「LIVE Certified Sustainable」という世界最高水準のサステイナブル栽培を行っている。また、ワイン造りの工程においては上階から下階へ移動する過程で重力を上手く利用することで、ブドウに必要以上に負荷をかけず、自然な味や香りを活かすなど、品質に配慮している。樫樽での熟成や、発酵における温度や時間についても積極的に実験を行っている。

 

 世界的にも高く評価されており、オバマ元大統領のミッシェル夫人がここのピノ・ノワールを偏愛していることで有名。ホワイトハウスの公式レセプションでもサーブされた。さらに、世界で最も影響力のあるワイン評論家として名高いロバート・パーカー氏が唯一このワイナリーに出資しているというからその品質は間違いない。

 

 

 

 

 モダンで清潔な試飲スペースはホテルのような高級感が漂う空間。テラス席では眼下に広がるブドウ畑の景色を眺めながら数種類のワインをテイスティングできる。

 

 

 

 

Ponzi Vineyards

19500 Southwest Mountain Home Road

Sherwood, OR 97140

www.ponzivineyards.com/

 

取材協力:トゥアラティンバレー・ワシントン郡観光局デルタ航

 

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