From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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中寺広吉さん

中寺広吉さん

バタク代表取締役、モデリスト

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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 ビスポークテーラー、バタクの中寺広吉さんのご登場です。撮影と取材は、新宿御苑に臨む、バタクのビスポーク・サロン“batak NAKADERA”にて行ないました。

室内にはアイリーン・グレイやジオ・ポンティの名作、および北欧のアンティーク家具が並び、その上にラリックのオブジェが飾ってあります。アキュフェーズのアンプで鳴らされるB&Wのスピーカーからは、静かにバッハやビル・エヴァンスが流れています。花瓶に活けられているバラの花の赤と、ビロードのカーテンの濃紺が、美しいコントラストを成しています。そして窓外には、御苑の緑が一面に広がっています。

 

私もいろいろなテーラーへお邪魔しましたが、こんなに素敵な空間は見たことがありません。ここのインテリアに接しているだけで、オーナーの中寺さんが並々ならぬ感性の持ち主であることがわかります。

「建築やインテリアは大好きです。もしかすると服より好きかもしれない(笑)。でも、そういったことは大切だと思うのです。日本のテーラーの技術は、確かに高くなりました。しかし、洋服しか知らない人が多過ぎる。キレイに縫ってはあるけれど、雰囲気がないのです。その点、まだまだヨーロッパには見習うべきところが多いと思います」

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 バタクの創業は1994年。今でこそ、日本にはたくさんのお洒落系テーラーがありますが、当時はテーラーといえば、敷居の高い老舗か町の仕立屋しかなく、バタクは孤軍奮闘といった有様でした。ちなみに私の古巣メンズ・イーエックスの創刊は1993年ですから、同じような時期に、同じようなことを始めたのです。中寺さんとは年齢も同じなので、昔の話をすると、共通点がとても多いのです。

「小学校の頃、ドラマ『傷だらけの天使』を見て衝撃を受けました。主演の萩原健一さんのスーツがとにかくカッコよかった。作っていたのは、タケ先生(デザイナー、菊池武夫さん)率いるメンズ・ビギでした。その後のDCブームを経て、私もメンズ・ビギへ就職することになりました。パタンナーをやっていましたが、その頃はすでに自社の服には興味がなく、英国の1930〜40年代の古着ばかり着ていました。デザイナーになろうとも思いましたが、どうしても実際のモノ作りをやりたくて、モデリストの道を選びました」

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スーツはもちろんバタク。シャークスキンの生地はゴールデンベール(希少な羊毛原糸)を使ったテーラー&ロッジ製で、バタクのオリジナルだそうです。

シャツもバタク・オリジナル。生地はトーマス メイソン製。

タイもオリジナル。7センチ幅のナロータイです。

 

時計はヴァシュロン・コンスタンタンのアンティーク。1930年代製だそうです。

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タッセル・シューズは英国フォスター&サンズのビスポーク。

「やはり英国の靴が好きなのです。最近はフォスター&サンばかりですね。日本に定期的にトランクショーに来るので、その時にオーダーしています」

 

「今日のコーディネイトは、地味な50年代の感じを意識しました。ファッションにおいては“足す”よりも“引く”ほうが好きですね。シャツは9割は白、靴も8割は黒です」

とクールに仰います。

 

うーむ、これまた完璧なスタイリングですねぇ。ここまでいろいろと完璧だと、ちょっとイジワルな質問もしてみたくなります。

「中寺さんというと、ストイックなスーツのイメージですが、カジュアルは着ないのですか?」との質問には

「いえ、もちろん着ますよ。アメカジが基本です。休日はリーバイスの501やフレンチラコステのポロ、コンバースのジャックパーセルなどを愛用しています」とのお答え。

さらに突っ込んで、「私には、いま6歳になる息子がいるんですが、保育園時代は、チャイルドシートのついたママチャリで送り迎えをしていました。中寺さんにも娘さんがいらっしゃいますよね? まさか、ママチャリは乗ったことありませんよねぇ?」と問うと、

「いえ、実は乗っていましたよ。アレは本当にダサイんですが、他に方法がなかったので。『誰かに見られたら嫌だなー』と、いつも思っていました(笑)」

ああ、なんとなくそれを聞いて安心しました。ママチャリをこいでいる中寺さん、見たかったです。

 

P.S.さて、ずっと近しい世界にいた中寺さんと私ですが、実は洋服をお願いしたことはなく、今回初めてビスポークのオーダーをさせて頂きました。フォックスブラザーズのフランネルで、ネイビーのチョーク・ストライプ、ダブル・ブレステッド。さて、どんなスーツが出来上がるか、今から楽しみで仕方ありません。完成したら、またリポートさせて頂きます!

 

batak NAKADERA

東京都新宿区新宿1-3-4 Gyoen R 6F

TEL 03-5919-6682

http://batak.jp/

 

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