From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

工藤光一さん

Friday, March 25th, 2016

工藤光一さん

 

モリッツ・グロスマン・ジャパン代表取締役

 

interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

_UG21140

 モリッツ・グロスマンという時計をご存知でしょうか? ドイツ、グラスヒュッテに本拠を置く、知る人ぞ知る逸品で、その特徴は、「とにかく作りがいい」ことです。ムーブメントをはじめとする各パーツを、ドイツ人の執拗さで、異常なほど丁寧に作っています。最廉価のモデルでも三百万円近いのに、時計に詳しい人ほど、「安い」と言うのです。

さて、そんなこだわりのブランドの代表が、やはりこだわりの人、工藤光一さんです。

「このブティックはもともと印刷工場で、天井高は7メートルもあるんです。オブジェとしてドイツのハイデルベルグ社の活版印刷機プラテンT型や、坂本龍一さんも愛用しているムジークエレクトロニクスガイザインのスピーカー、グロスマンの弟子が振り子を作ったレンツキルヒ社の柱時計などを置いてみました。いかがでしょうか?」

文京区・播磨坂という場所が、いかにも通好みですね。古くからの東京を知る人にとっては、憧憬の地でありましょう。個人的にはこの店は、いまの東京で“一番イケてるショップ”だと思います。

_UG21176

ジャケットは、ナポリのコスタンティーノでオーダーしたもの。実は工藤さんは以前、コスタンティーノの日本代表をなさっていたこともあります。

「オーダーならではの、吸い付くような良さがありますね。まさに皮膚のような感覚で着られるジャケットです」

 

シャツは、ジャパン・ブランドのコロナ。ブルックス ブラザーズのボタンダウンの衿型をトレースしてはいるものの、衿先に穴が開いていないというヒネりが利いたモノ。

 

ウール・タイはアメリカのニューメキシコ州製の50年代あたりのデッドストックで、チマヨと呼ばれる土着的なブランケットなどと同じ織機で織られているとか。

 

ニットはJ.プレス。アメリカにメールオーダーして買ったもの。

 

メガネは森下にある、アイセンターという店で買ったデットストック。

「ここは服飾評論家の池田哲也さんに教えてもらいました。全然おしゃれな店ではないんですが、昔のデッドストックがいっぱいあるんです」

池田さんとは、もうずいぶん昔からのお知り合いだとか。洒落者あるところ、池田あり、ですね。

_UG21179

 時計は、もちろんモリッツ・グロスマン。ここの代表作といえる、ベヌーというモデルです。

「100本限定だったのですが、あっという間に売り切れてしまいました。慌てて日本限定で追加オーダーしました」

_UG21203

ジーンズは、岡山デニムを使うニューヨークのこだわりブランド、ジーンショップ。

 

シューズは、エドワード・グリーンの名作ドーヴァー。スエードは珍しいですね。

「昔、UA本店の向かいにあった、マリナ・ド・ブルボンで、もう20年くらい前に買いました」

ブルボン、懐かしいなぁ。私も大好きな店でした。店内にたくさんの飛行機の模型が飾ってあったのを思い出します。

_UG21208

  うーむ。普通時計業界の人は?(ハテナ)なファッション・センスの方が多いのですが、工藤さんは、プロ顔負けのファッショニスタです。話の端々に出て来ましたが、実は工藤さんは、アパレルで働いていた経験も長いのです。

「人生のキャリアのうち、半分がファッションで、半分が時計です」

神田のS&Jハイストンを皮切りに、インターブリッジ、エリオポール、そしてコスタンティーノなど、数々のブランドを渡り歩いて来られました。

時計のほうも、フランク・ミュラー、ランゲ&ゾーネ、シェルマン、ロジェ・デュブイ、ユリス・ナルダン、モーリス・ラクロワ、パルミジャーニなど、まさにキラ星のごとき経歴をお持ちです。

 

そんな彼が、「心底惚れ込みました」という、グロスマン。その世界観を覗き見しに、ぜひショップを訪ねてみて下さい。