From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

プロ野球からビジネス・エグゼクティブへ
佐藤隆彦さん

Thursday, February 25th, 2016

佐藤隆彦さん

 株式会社トラバース 営業マネージャー

interview kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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言わずと知れた、元プロ野球選手、G.G.佐藤さんのご登場です。現役時代のご活躍については、皆様もよくご存知だと思います。引退後の現在は、父上が経営なさっている株式会社トラバースの営業をなさっています。トラバースは、測量・地盤改良などを専門とする会社で、野球とはまったく違った世界への転身です。

 

「プロ野球現役時代は、けっこう派手なものも着ましたが、今は営業という仕事柄、派手なものは避けるようにしています。スーツは紺やグレイ、シャツは白かブルー、それに無地のタイを合わせることが多いですね。靴も黒ばかり履いています。お客様にいかにイヤな思いをさせないか、ということばかり考えています。出会う方によっては、時計も地味なものに替えていくこともあります」

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私が、ラペルに差してあるピンについて問うと、

「これはウチの社章です。測量に使われるトラバー点を模しているんです。ええ、いつも着けていますよ」と、まさに営業マンの鑑のようなお答えです。

 

マイクロチェックのグレイスーツは、ユナイテッドアローズのソヴリンハウス。

「最近買い物は、二子玉川のユナイテッドアローズですることが多いですね。仲がいい販売の方がいるのです。またサイズが合うものが揃っていることも大きな理由です」

 

身長184cm。現役時代より15kg減量し、まさにモデル顔負けのプロポーションですが、逆に合うものを見つけるのが大変だと言います。

 

シャツはユナイテッドアローズでオーダーしたもの。

「腕が長く、ネックサイズが大きいので、オーダー品ではないとダメなのです」

 

タイもユナイテッドアローズのオリジナル。

チーフは、ミラノのブライアン&バリーにて。

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 時計は、ロレックスのエクスプローラーⅡ。1980年の初期型モデルです。

「これは実は最近買ったものです。スティーブ・マックィーンに憧れているので」

なるほど、実に“通”なチョイスです。

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シューズはオールデンのコードヴァン製。

「オールデンは大好きで、10足くらい持っています。これはハワイに行った時、ロイヤルハワイアンセンターにあるシューズショップ、レザーソウルで買いました」

 

「コーディネイトのポイントは?」との問いには、

「グレイのスーツを中心に、ブルー・オン・ブルーでまとめてみました。大柄のストライプタイをアクセントとしました」と的を射たお答え。

 

「昔から、野球と平行して、ファッションは大好きでした。小学校の高学年の頃には、当時人気だった吉田栄作さんをマネて、ブルゾンに白いTシャツを着ていました。それからスニーカーブームが来て、エアージョーダンやエアマックスに夢中になりました。大学生の頃は、アルマーニに凝って、全身モノトーン。アメリカにいた間は、いち早くアバクロを着ていましたよ」

 

なるほど、やはり若い頃からファッションがお好きだった方は、基本が出来ているということでしょうか。その後プロ時代を経て、イタリアに在住され、イタリア流のスタイルに出会います。

 

「イタリア人って古いものを大切にするじゃないですか。私もヴィンテージものが大好きなので、彼らのスタイルには共感できました。新しいものはお金さえあれば買えますが、ヴィンテージはお金だけではダメです。そこにはモノとの“出会い”がありますよね。『父から受け継いだ』とか、そんなストーリー性に惹かれるんです」

 

「ネクタイのノットがキレイですね」と褒めると、

「ありがとうございます。昔からノットの結び方は、何回も練習してきましたから。ちょっと小剣を長くするのが、私流です」と。

 

私は失礼ながら、野球選手というのは、?(ハテナ)なファッション・センスの方ばかりと思っていたのですが、佐藤さんに会って、その考えが180度変わりました。こういう恵まれた体躯と華やかなフェイスの方が、アンダーステイトメントなファッションに身を包むと、本当にカッコよく見えますね。