From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

「世界のリングヂャケット」を率いる
福島薫一さん

Thursday, September 10th, 2015

福島薫一さん

リングヂャケット代表取締役社長

interview kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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今や「世界のリングヂャケット」の社長、福島さんのご登場です。最近の世界的なクラシック・ブームに乗って、アメリカをはじめ、韓国、香港、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどで、リングヂャケットは大人気です。売り上げは右肩上がりで、もはや大手セレクトショップを除くと、海外のセールスのほうが大きいとか。

「伸びているのは、アジアのお金持ちたちが、メゾンブランドから、クラシックへシフトしているからだと思います。ウチの商品は極力副資材を使わず、一枚の生地のように作られている。だから着心地がとてもいい。そこが人気の理由ではないでしょうか」

スーツはリングヂャケットのマイスターライン。袖付けや内ポケットなど主要なポイントで、手作業を駆使して仕上げたモデルです。肩山には手でイセ込んだものならではのシワが寄っていて、一目でハンドであることがわかります。生地はゼニア。

「この夏用に作ったものです。普通の紺では面白くないので、明るめのネイビーを選びました」

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シャツはリングヂャケット ナポリ。ナポリにある工場で縫われているラインです。やはり袖周りのステッチとシワの寄り方が、巷のシャツとは一味違います。

「ナポリは大好きな街で、年に3、4回は行きます。まさにナポリは“ハンドの聖地”です。このシャツもいかにもハンドメイドだと一目でわかるでしょう」

 

タイはフィナモレ。ナポリの本店で買いました。

「ナポリのものには、手縫いの味、街の味、そしてイタリアの味が全部染み出している」と相当な惚れ込みようです。リングヂャケットでは、これからもナポリ製のアイテムに力を入れていくそうです。

 

チーフはオリジナルのコットンメッシュ。

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時計はオーデマ ピゲの復刻版ロイヤルオーク。

「夏場は汗をかくのでレザーベルトだと具合が悪い。そこで金属のブレスで、しかもスーツにも似合うものとなると、この時計になりました。直径が39mmで通常のモデルより、ちょっと小ぶりなところも日本人に似合うと思います」

実は私もまったく同じ時計を愛用しています。選んだ理由も、まったく同じです。

 

ブレスは昔のエルメス。

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シューズはサンクリスピン。ダイヤモンド型のトゥがおしゃれです。ニューヨークのジ・アーモリーにて購入しました。アーモリーでは、リングヂャケットも扱っています。

 

福島さんのお父様は、あのヴァンヂャケットの創設者、石津謙介さんと同郷で盟友だったとか。リングヂャケットとヴァンヂャケットは同時に設立され、その社名も石津さんが命名したものなのです。リング“ヂャ”ケットなのは、そういう理由なのですね。リングヂャケットは、ヴァンヂャケットの製品を作る工場だったのです。

 

「ですから、私は小学校の頃から、全身ヴァンヂャケットを着せられていました。私にとってファッションは、すごく身近なものでした。そんな環境の中で、お洒落をすることが、自然と好きになって行ったのです。中学生の頃は学校の制服の代わりに、黒のコットンパンツに白いボタンダウンシャツを着て行って、先生に怒られたりしていましたね(笑)」

 

当時の憧れだったヴァンヂャケットで、全身固めていたとは、すごい小学生です。

お父様の跡を継いで、社長に就任したのは、1995年のことでした。当時はちょうど日本でクラシコ・イタリアがブームになり始めた頃で、イタリア流の服作りを追求し始め、最終的にナポリ仕立てへ辿り着いたというわけです。まさにクラシックの王道を歩まれて来た方です。

 

「これからも世界に負けない、いいモノを作っていきたい」という頼もしいお言葉で、インタビューを締め括って頂きました。