From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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血脇孝昌さん

血脇孝昌さん

株式会社 ラコタ代表取締役社長

text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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オールデンの輸入元で知られる、ラコタの代表取締役社長、血脇孝昌さんです。オールデンは私も大好きな靴で、コードバン製のプレーントゥ、チャッカブーツ、Vチップ、ローファーなどを持っています。

オールデンは不思議な靴です。アメリカらしい無骨なデザインを特徴としているにもかかわらず、なぜかイタリアのエレガントなスーツにも合うのです。ジーンズからクラシコイタリアまでコーディネイトできる、万能の一足といえます。

 

「もともと実家が浅草で靴の材料を扱っていたので、若い頃からありとあらゆる靴を履いていました。その中で、一番好きだったのがオールデンだったのです。アメリカの工場へ見学に行って、本社の社長と意気投合し、日本における輸入を手がけることになりました」

その後、雑誌Beginなどに紹介されたのが功を奏し、オールデンは一躍大人気ブランドになります。

 

「それ以来、早いもので25年間が経ちました・・・」

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ネイビーのジャケットは、イザイアのビスポーク。

「イザイアを扱っているエスディーアイの藤枝さんは友人なので、たまに服を作ってもらっています」

藤枝さんは以前このブログにご登場頂きましたが、「ラコタの血脇さんは、明治学院の同輩」と仰っていましたっけ。

 

ニットタイはエルメス。5年ほど前にリリースされた、インディゴのシリーズです。

 

シャツはナポリのサルヴァトーレ・ピッコロ。アダム エ ロペ ワイルドライフ テーラーで買いました。

 

チーフもエルメスで、実はコットン製のハンカチだとか。

「これはもともとハンカチなのですが、チーフとして使っています。夏場は麻かコットンをすることが多いですね」

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 ピンクゴールドのペンはモンブラン。

「2014年1月3日に還暦を迎えた記念として、自分へのプレゼントとして買いました」

驚いたことに、血脇さんの誕生日は、私の両親の誕生日と同じでした(私の父と母は、なんと同じ誕生日に生まれたのです)

 

メガネは999.9。遠近両用のレンズを入れているそうです。かけ心地が抜群だとか。

 

パンツはMP di マッシモ・ピオンボ。

 

時計は1974年型ロレックス・サブマリーナ。いわゆる“赤サブ”です。

「20歳になった時にたまたま行ったパリで買いました。当時は10万円ちょっとくらいだったかな」

やれやれ、昔はロレックスは、本当に安かったんですよね。現在ではたぶん、10倍以上の値段がついています。

 

ブレスレットはクロムハーツ。

「マットな質感が気に入って買いました」と。

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ベルトは、ラコタのオリジナル・ブランド、K.T.ルイストン。コードバン製です。

 

そして靴はもちろんオールデン。ブラックのコードバン製、同社を代表するプレーントゥ、9901です。

「オールデンは、全部で170~180足くらい持っています。その中でも好きなのはプレーントゥです。やはり定番に帰っていきますね。ローファーとか、チャッカブーツとか、ウィングチップとか。アメリカ風のクラシックなモデルが好きなのです」

 

目立たないところでは、ソックスもラコタのオリジナル。日本を代表するファクトリー、グレンクライドとのコラボ商品で、「クッション性が違います」と。

 

「25年はあっという間でした。でも自分の一番好きなブランドに携われて、私は幸せ者でしたね。ここに並べられているオールデンを見ると、今でも『いい靴だなぁ』と思ってしまうのです。25年経っても、全然飽きが来ません」

 

そう言って目を細める彼の表情は、まるで子ども達を見守る父親のよう。血脇さんは、やはり靴への愛に溢れた人でした。

 

久井信吾さん

久井信吾さん

モンブラン コミュニケーション マネージャー

text kentaro matsuo phortography tatsuya ozawa

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 高級筆記具の雄として、また最近では、時計やレザーグッズでも注目すべきコレクションを発表していることで知られる、モンブランのPR、久井信吾さんのご登場です。日本社会では普通、会話の中で第三者を指す時は、「○○さん」(年下の場合は「○○君」など)の敬称を付けますが、久井さんの場合は、彼を知っている人すべてが、「久井さま」と呼んでいます。私も久井さまと言ってしまいます。

これはひとえに、彼が発している“超ノーブルなオーラ”のせいでしょう。彼の存在感は、まるで平安時代の公家、または中世の欧州貴族のようです。その凛とした立ち振る舞いは、俗人とは一線を画しています。これはかつて世界的デザイナー、森英恵先生の薫陶を、直接受けたせいかもしれません。

 

「ハナエモリにて、9年間広報を務めました。森先生はよく“美”について教えて下さいました。例えば『日本の夏には黒が似合う』とか。それからファッションに対する具体的なアドバイスもありました。『柄ものと無地ものを合わせる時は、柄ものの一色を拾って来なさい』や、『どんなにいいツィードでも、夜には着てはいけない』など、本当に勉強になりました。私の装いの根本には、クチュール的な感覚があると思います」

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スリーピース・スーツは、エディフィスのパターンオーダー。光沢のあるカノニコのモヘヤ混生地で仕立てられています。

「私が持っているスーツは、すべてスリーピースなのです。いつもフォーマルな気分でいたいですからね。それにタイがぶらぶらしないので、傷まなくてよいのです」

 

スモール・ラウンドカラーのクレリックシャツもエディフィス。

 

タイはシャルベ。

「年に数回はパリを訪れます。行った際にはシャルベの本店に、必ず立ち寄ることにしています」

 

チーフはイード&レイヴェンスクロフト。世界一古いと言われているテーラーです。

「サヴィルロウの路面店で、半ダースのセットを買いました」

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タイバーとカフリンクスは、お父様の形見だとか。

「父は特段、着道楽な人ではなかったのですが、やはり昔のものは手が込んでいますね。瑪瑙で出来たカボション型のカフスや、これだけ細かい彫りが施されたタイバーは、今では手に入らないでしょう」

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シューズはサントーニ。

「私はとても足が小さいのですが、サントーニには、小さいサイズも揃っているのです」

 

時計はもちろんモンブラン。2012年に発売された“モンブラン スタ ワールドタイム GMT オートマティック”。

「二つの時間を表示する機能が付いているので、海外出張に出かけたとき便利なのです」と。

 

鞄もモンブランで、“マイスターシュテュック クラシック”というモデル。

「私はバーガンディという色が好きなのです。今日も靴、鞄、ベルト、そしてタイバーとカフスをバーガンディでまとめてみました」

こういうところが“クチュール的”なのですね。

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「ファッションとは、人様に対するリスペクトを表すものだと思います。ですから、基本的にはきちんとしていたいのですが、あまり着飾るとそれが却って失礼になる時もある。例えば、私の母が入っていた介護施設に行く時は、タイバーやチーフは外すようにしていました。ホームの職員の方は、文字通り“なりふりかまわず”仕事をなさっている。そこにジャラジャラとアクセサリーを着けて行くのは、不謹慎だと思ったのです」

なるほど、装いに対する“品と格”が違いますね。

 

「床の間に飾られた、一輪の花のようにいたい」と仰る久井さんを、やはりどうしても「久井さま」と呼ばずにはいられません。