From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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ショーン・ファンさん

ヴィッラ デル コレア オーナー

text kentaro matsuo photography natsuko okada

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THE RAKE本誌でお伝えしている通り、近年アジア各地において、クラシック・ファッションが盛り上がっています。香港のジ・アーモリー、北京のブリオなど、それぞれの都市にはキーとなるショップがあり、キーとなる人がいます。そして韓国、ソウルにおけるキーマンは、今回ご登場のショーン・ファンさんで間違いありません。

「韓国のファッション界は、いま二極化の時代を迎えています。マスであるファスト・ファッションと、裕福層を相手にしたハイエンド・ファッションです。ミドルゾーンがなくなってしまった。そしてハイエンドにおいては、クラシックなスタイルが、とても盛り上がっています。われわれがお手本としているのは、イタリアなどの欧州よりも、むしろ日本です。今日私が着ているのも、日本のブランドばかりですよ」

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 フレスコの生地で仕立てられたダブルスーツは、チッチオ。ご存知、上木規至さんが手がけるテーラーです。最近、海外のファッショニスタで、ここのスーツを着ている人が本当に多いですね。

「日本のクラフツマンシップを感じられるところが、気に入っている理由です。シャープで、セクシーで、ロックンロールのビートが聞こえて来るようです」

 

シャツはシモーネ・リーギ。フィレンツェのタイ・ユア・タイで長く店長を務めていた同氏が興したブランドです。ショーンさんは、2012年から昨年春まで、フィレンツェに住んでいたので、フィレンツェのブランドやショップには、特に造詣が深いのです。

 

タイはセブンフォールド。以前私のブログにもご登場頂いた、加賀健二さん率いるブランドで、日本人がやっているブランドですが、やはり工場はフィレンツェにあります。

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 時計はパテック フィリップのゴールデンエリプス。ケースの曲線が美しい、パテックのマスターピースです。

「どちらで買ったのですか?」との問いに、

「これは父親からプレゼントされたものです」とのお答え。

さすが、韓国クラシックの雄は、育ちも良さそうですね。

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シューズはイル・ミーチョ。フィレンツェ在住の深谷秀隆さんが手がけるビスポークで、これもフィレンツェ時代に購入しました。

 

こうして見ると確かに、イタリア在住、またはイタリアでかつて修業した日本人が興したブランドばかりです。

 

「私の着こなしのテーマは“シンプル”ということです。かつてはポケットスクエア(チーフ)もしていましたが、今はしなくなりました。クラシック・スタイルのゴールはミニマリズムだと思います」

 

彼のショップ、ヴィッラ デル コレアでは、アンブロージ、チャルディ、ダルクオーレ、サンクリスピンなど、錚々たるブランドを扱っています。今回は、ヴィンテージ・アイウェアのブランド、レトロ・スペックスのプロモーションのための来日です。

「レトロ・スペックスは、今から30年前にジェイ・オーウェンスという人物によって設立されました。1870〜1970年代までのヴィンテージ・アイウェアを扱っています。コレクションは、ヒストリカル、ミュージアムなど、6つに分かれています。この時代の物は、今と違って、一生使われることを前提に作られていました。だから、マテリアルそのものが違うのです。ワイヤーフレームはゴールド製ですし、ヒンジも別物です」

価格は1000USドル〜と値は張りますが、一生物だと考えれば、決して高くはないでしょう。

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今回の撮影は今春、元ジ・アーモリーのイーサン・ニュートン氏が東京、神宮前に開いたショップ、ブレイスランズで行ないました。最近、THE RAKE編集部も、すっかり入り浸っているところです。

 

ショーンさんのような人が旗手となって、アジアのクラシック・ラグジュアリー・ファッションは、ますます盛り上がっていくことでしょう。彼らが日本のブランドを愛してくれているというのは、とても嬉しいことですね。

 

シャルランリ・ブロソーさん

 

在京都フランス総領事館 総領事、関西日仏学館 館長

 

interview kentaro matsuo photography isao hishinuma

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フランス総領事と聞くと、なんだかとっても偉い人のような気がしますよね。その通り。今回ご登場頂いたシャルランリ・ブロソーさんは、とても偉い人です。どのくらい偉いかと言うと、大相撲の千秋楽、優勝力士にフランス大統領杯を渡すのが、東日本ではフランス大使、そして西日本ではブロソーさんの仕事なのです(すみません、よくわかりませんか?)

そのスタイルにも、ハイソサエティな香りが漂っています。

 

「父と母はともにファッションの仕事をしていました。小さい頃、デッサンをする父の手から、新しいデザインが次々と生み出されるのを、驚きを持って見つめていました。父はサヴィルロウで服を誂えるのが好きで、私もよくロンドンへ連れて行かれて、ハロッズやセルフリッジスなどで、洋服を買ってもらっていました。パリでは、オールド・イングランドが多かった」

実は彼の父上は、ジャン・シャルル・ブロソーといい、高名なファッション・デザイナーなのです。もともと帽子のデザイナーでしたが、80年代に発売した香水が大ヒットとなり、今でも日本を含む、世界中で人気を博していますから、ご存知の方も多いと思います。

 

「日本に興味を持ったきっかけですか? 私が4、5歳の頃、パリのヴィクトワール広場に父がブティックをオープンしました。するとほぼ同時に、隣に日本人がショップを開いたのです。店の名前は、ジャングルジャップといいました。そうそれは、高田賢三さんがパリに開いた第一号店だったのです。当時はパリに住んでいる日本人はまだ少なくて、ケンゾーさん、そしてアシスタントのイリエさん(入江末男さんのことですね)は、まるで宇宙人のように見えました」

 

その後、フランスでの兵役と大学院卒業後、日本の立教大学への留学を経て、フランス外務省の外交官となり、日本、ニューヨーク、マレーシアなどを歴任します。在京都総領事となったのは、2013年からです。

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 スーツは、ペコラ銀座。H.レッサー&サンズのヴィンテージ生地を使ったもの。実はこの撮影も、ペコラ銀座の店内でしています。

「佐藤さんとは、もう20年以上の付き合いです。私の妻は日本人なのですが、当時パリにいた佐藤さんと友人だったのです」

 

ペコラでの初めてのオーダーは、モーニングコート、その次はタキシードでした。

「仕事柄、モーニングとか、タキシードを着る機会が多いのです。モーニングは、フランスにいる時以上に着ますね。例えば、春日大社や上賀茂神社の大祭、皇居での園遊会など。タキシードは総領事館でのガラディナーや、日仏商工会議所の集まりなどで。モーニングは年に4、5回。タキシードは年10回以上は着る機会があると思います」

 

スーツ・スタイルへのこだわりも、相当なものです。

「まずスーツは、ほとんどダブルしか着ません。よく体にフィットしたものが好みです。そしてサイドポケットは、必ずチェンジポケット付きのスラント(斜め)で、パンツはベルトレスのサイドアジャスター仕様です。ジャケット裏に小さなチケットポケットをつけるのもお決まりですね。その中には、チケットではなく、祇園の八坂神社のお守りを入れています(笑)」

 

といいつつ、写真のスーツは、スラントポケットではありませんが、これはペコラ佐藤の勘違いミスなのです。やれやれ。

しかし、私は以前、ダブルでオーダーしたジャケットが、シングルで上がって来たことがあるので、ポケットが斜めかどうかなど、ここではたいしたことではないのかもしれません。ま、イタリアだからね。

 

シャツは、以前赴任していたクアラルンプールのオーダーシャツ屋“WARDROBE”というシャツ店でオーダーしたもの。

「生地は素晴らしいのに、値段は信じられないほど安い」とか。私も今度行ってみよう。

 

タイはエルメス。さすがフランス総領事。

「このタイは、4色の色を組み合わせて出来ているのです。旅行するときなど、毎日違う色で遊べていいのです」

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時計は、リップ。パリのオペラ座近くのアンティーク店で買いました。同じ店で3つほど購っており、アンティーク時計は大好きだそうです。カフスも昔パリで買ったもの。

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シューズは、パリのビスポーク・シューメーカー、ドネガン。

「パリの外務省から、一番近い靴屋がドネガンなんです」と。

 

「私の場合、父の影響で、小さい頃からファッションに囲まれて育ってきました。そこで学んだことは、トレンドより、クオリティや伝統のほうが大切だということです」

 

フランスの生粋のディプロマットの着こなし、流石です。