From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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桝田隆一郎さん

桝田隆一郎さん

 

株式会社桝田酒造店 代表取締役

 

interview kentaro matsuo photography masaharu hatta

special thanks to shigeru takizawa ginza

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 一日のカロリーのうち、その7割をアルコールで摂取する私は、本当にたくさんのお酒を飲んできましたが、今まで飲んだ日本酒のうち、一番美味しいと思ったのが、富山の満寿泉という銘柄です。これは以前私のブログにもご登場頂いた、滝沢滋さんに頂いた1本で、そのあまりのうまさに仰天し、以来どこへ行っても「マスイズミ、マスイズミ・・」と呪文のように唱えていました。

 それから数年して、とあるパーティで、満寿泉の蔵元である桝田酒造の社長を紹介されたのですが、ここで再び、びっくり。というのも彼は、日本人離れした長身(184cm!)を、ビスポークのスーツでびしっと包んだ、素晴らしいファッショニスタだったからです(失礼ながら、私のなかのイメージでは、蔵元の社長というのは、なんとなくハッピを着ているような人だと思っていました)。それが今回ご紹介する桝田隆一郎さんです。

 開口一番、

「私は、全然お洒落に興味はないんですよ」と仰っていましたが、よくよく聞いて見ると、やはり只者ではありません。

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スーツはタキザワ シゲルのオーダーメイド。滝沢さんとは、地元富山の東岩瀬で出会い、親交が続いているそうです。

「長らくオーダーメイドは止めていたのですが、滝沢さんの服を知って、気が変わりました。細身で、ラインがキレイで、体型がカッコよく見えるのです。それに着ていると気分が明るくなりますね。“服の力”を感じることが出来るのです」

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シャツは「ジャーミン・ストリートをブラブラしている時に買った」PINK(トーマス ピンク)です。

「英国には仕事でよく行くし、大好きな国なので、よく買い物をしてしまいます。ロンドンには、値段は安いけれど、クオリティのいいシャツがたくさんありますから」

 

ネクタイも同じジャーミンの名店、ヒルディッチ&キー。

チーフもやはり「ジャーミンのどこかで」買ったもの。

カフスはニューボンド・ストリートの老舗アスプレイにて。

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そしてシューズは、チャーチです。これはいわゆる“オールド・チャーチ”ですね。

 

「お洒落と思われるのが嫌、服装に気を遣っていると思われるのが嫌なんです」と繰り返し仰っていましたが、これではそれは“無理”というものでしょう。

 

しかし、桝田さんが英国と、英国流アンダーステートメントを好むのは、理由があります。

 

「若い頃、英国に留学していたことがあります。ケンブリッジのクレアカレッジに在籍し、さまざまなことを学びました。例えば、英国の男性は女性と一緒に食事をするとき、時折ナイフとフォークを置くのです。必ず女性のペースに合わせて、自分たちだけが先に食べ終えてしまうということは、絶対にありません。また女性が席を立つとき、そして席を訪れるときは、必ず自分たちも立って送迎するのです」

 

そんな英国仕込みのジェントルマンが、いま一番力を入れているのが、世界における日本酒の振興と、故郷富山の町おこしです。

 

「岩瀬の街のリノベーションに取り組んでいます。古い廻船問屋を改造して、富山の工芸品を紹介する店を作ったり。富山には、素晴らしい工芸品がたくさんあります。ハーゲンダッツのスプーンを作っている“タカタレノムス”とか、曲がる金属を使ったテーブルウエアの“能作”とか。あと必要なのは、上手なプロデュースなのです」

 

グローバル・スタンダードで物事を考えつつ、ローカルを大切にする。桝田さんは、まさにそんな生き方を実践している、生粋の“カントリー・ジェントルマン”でありました。

加藤哲也さん

加藤哲也さん

 株式会社カーグラフィック代表取締役

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 私も末席に連なる出版業界で、“カッコいいオジサン”といえば、まず名前があがるのが、この方、カーグラフィック代表取締役の加藤哲也さんです。ご覧のようなハンサム・フェイスに加え、その着こなしはいつ見てもスタイリッシュ。クルマ系はファッション・センスが?(ハテナ)な感じの人が多いなか、加藤さんのスタイルは、郡を抜いているといえます。

 

「カーグラフィックに入社した当時、編集長だった小林彰太郎さんに言われたのです。『人と会うときは、必ずブレザーにタイを締めなさい』と。彼は当時から、正統ブリティッシュ・スタイルを貫いていました。今の時代は、フォーマリティがなさすぎてつまらない。最近になってそう感じ始めました。昔は、ちょっとしたホテルでも、ジーンズ姿では入れなかった」

 

その後訪れたヨーロッパでは、クラシックなお洒落に開眼します。

「当時はアルマーニやヴェルサーチが流行っていましたが、ミラノに行ったら、誰もそんな服は着ていなかった。皆、普通の服を着ている。しかし、カッコいい。初めて社会性とお洒落は、両立するのだと知りました」

 

以来、月に1,2回は海外へ出張し、様々なシーンに触れることになります。

「クラシックカー・ラリーの取材をした時、昼間は汗みどろになってクルマを走らせているドライバーたちが、たとえ安ホテルでもディナーの席では、きちんとしたジャケットを着用しているのを見ました。やはり、ヨーロッパの人たちの伝統とはすごいなと」

なるほど、加藤さんご自身の経験値も相当なものですね。

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スーツは、ジャンフランコ・ボメザドリ。スマートな体型をキープするために、食生活に気をつけ、週1〜2回、5kmほど走っているそうです。

シャツはユナイテッドアローズ ザ ソブリンハウス。

タイはアリシアアダムスアルパカ。その名の通り、素材はアルパカ100%です。

「実は娘がPR会社に務めていて、これは彼女が扱っていたブランドなのです。何本かまとめて買いました」

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時計はスミス・アストラル。60年代あたりのアンティークで、英国車のメーターでも有名な、スミス社が製造したものです。クルマを生業とする加藤さんにぴったりの1本ですね。

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シューズはエドワード・グリーン。ヒースロー空港で買って以来、もう何回もソールを取り替え、愛用しているそうです。

「気に入ったら、同じものをずっと使い続けます。レストランも気に入ったところへ何度でも通う。タワシタ、ビスボッチャ、エリオ・・」

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今日の愛車は、アルファ ロメオ4C。CAR GRAPHIC誌の長期テストリポート車で、この1年で3万キロ乗ったそうです。

「まるでゴーカートのようなクルマ。しかし乗り心地もいい」とご満悦。

 

気づいた方も多いと思いますが、今回の撮影は、横浜の赤レンガ倉庫の前にて行いました。加藤さんは現在横浜にお住いです。

「実は生まれは麹町で、育ったのは四谷です。結婚を機に横浜へ住み始めたのですが、とても居心地のいいところです。都心からクルマで30~40分程度ですから、まぁ用賀あたりに住んでいるのと変わらない。しかし、横浜には独特の文化の香りがありますね」

 

それはかつて、LINDYやリキシャルームに集まった、横浜の不良グループが醸し出していた、ちょっとキケンで怪しげな匂いのようです。

「ここには、当時の残党のような人たちが、いまだに生息しているのです。そういった人たちの仲間に入れてもらえたので、ますますこの街が楽しくなりました」

 

おやおや、「代取」の肩書をお持ちのジェントルマンには、どうやら“もう一つの裏の顔”があるようです。