From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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佐藤裕久さん

佐藤裕久さん

バルニバービグループ代表取締役 CEO

interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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関西、関東を中心に、58店舗ものレストラン、カフェ、ショップを運営するバルニバービグループのトップ、佐藤裕久さんです。『1杯のカフェの力を信じますか?』、『日本一カフェで街を変える男』などの著作もあり、実際に人通りのなかった大阪・南船場が、ひときわお洒落な街に変貌したのは、佐藤さんが20年前に初めて作ったカフェによると言われています。

実はTHE RAKE JAPANのオフィスは東京・千駄ヶ谷にあるのですが、その千駄ヶ谷にも、バルニバービが経営する“グッドモーニングカフェ”があり、われわれの行きつけとなっています。特にオフィスを借りたばかりで、何もない状態だった頃は、毎晩のように出かけ、創刊の作戦を練ったものでした。間違いなく千駄ヶ谷で一番お洒落なカフェでありながら、とても居心地がいいのが、ついつい長居をしてしまう理由です。

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今日のスーツはオーダーで仕立てたもの。

「基本的に僕はトム フォードのスーツしか着ません。ラグビーをやっていましたので、胸板が厚いのですが、そういった自分の体型にも合うし、何よりシンプルで僕の年代の人たちは着やすいんじゃないかな。ただ、夏場に適したモデルが少ないので、これは夏用の薄手の生地を使って近いパターンで仕立ててもらいました」

 

シャツとタイとシューズも、トム フォード。

「このシャツは、一見白に見えますが、よく見るとごく薄いラベンダー色なのです。こういうものが売っているのが、トム フォードの魅力ですね。やはりラベンダー系のタイと、ライトグレイのスーツと合わせて、夏らしい爽やかな感じでまとめてみました」

 

メガネはグッチ。テンプルの部分にバンブーのモチーフが使われています。

ゴールドのカフリンクスは、パリのアンティーク店で見つけたもので、1950年代のサンローランです。

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「このカフリンクスは、コーヒー豆を象っているのです。カフェを仕事にしている私に、ぴったりだと思って買いました」

 

葉巻は佐藤さんのトレードマークで、月に100本は吸うそうです。手にしているのはボリバーというキューバ産。

「私はバーという空間が大好きなのです。リーガロイヤルの“リーチバー”や隅田川沿いのシガーバー“プリバード”など、特に『いいなぁ』と思います。しかし実は私は、お酒がまったく飲めないのです。そこで、バーでの時間を過ごすために、シガーは必需品なのです。ペリエだけでは、なんだか変ですからね」

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佐藤さんは“着倒れの街”と言われる京都のご出身で、小さい頃からお洒落にはこだわっていたそうです。

「私は最後のVAN世代です。小学校の頃から、ボタンダウンシャツを着て、フラノのジャケットを羽織り、パンツの尻ポケットから、ギンガムチェックのハンカチを何センチ覗かせるか、といったことばかり考えていました。小学生のくせに、VAN SHOPへ行って、貯めた小遣いで靴下やハンカチを買ったり、店員にノベルティのシールをねだったりしていましたね(笑)」

 

その後は、コムデギャルソンに「衝撃を受けた」り、ジョルジオ アルマーニに「やられたと思った」り。つまりは、佐藤さんの人生にとって、お洒落はずっと大切なものだったようです。そんな自分の感性を大切にする姿勢は、店作りにも生かされています。

 

「『どれだけ人が通行しているか』だとか、そういったことで店をオープンすることはありません。大切なことは、『本当に行きたい店かどうか』そして『どれだけ気持ちいいか』ということです」

 

今では、正社員とパートを合わせて、1000人弱の大所帯のボスとなった佐藤さんですが、そのスピリットは20年前とあまり変わっていないようです。

「気持ちいい店、自分が喜べ、お客さんが喜んでくれ、もちろん可愛いオネエちゃんに愛される、そんな店が結局長く続く良い店なんですよね」そして

「それを後進たちにも楽しんで、受け継いでもらえれば、言うことはない」とか。

 

このユルいけど、確固たる姿勢が、佐藤さんと彼が経営する店の最大の魅力でしょう。これからもランチで、ディナーで、お世話になりますね!

藤枝大嗣さん

藤枝大嗣さん

株式会社エスディーアイ 代表取締役

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イザイア、マリネッラなど、イタリアものを中心に、幅広いインポート業務を手がけられているエスディーアイ社長、藤枝大嗣さんのご登場です。かつてパンツブランドのインコテックスが日本に本格上陸したあたりからのお付き合いなので、もう20年近く存じ上げているファッション業界の大先輩です。ソフトで優しいお人柄は、お会いする度にほっとさせられます。

 

スーツはイザイア。コットン・コードレーン製で、軽いシャツのような仕立てを特徴とする“セーラー”というモデルです。

「実はコットンって目が詰まっていて、あまり涼しくないのですが、白やベージュなど、コットンならではの色出しが好きなのです。イザイアは私が27年前に独立して会社を立ち上げて、まず契約できたブランドなので、今でも恩義を感じています」

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シャツとタイはダークノット。これはマリネッラがプロデュースしているブランドですが、クラシックを守る本体と違って、より遊びの利いたコレクションとなっています。

「スタイリストの祐真朋樹さんがナポリのマリネッラを訪ねた時、わざわざ6cm幅の極細タイをオーダーされたのです。そして、それを剣先が擦り切れるまで愛用してくれた。そのことを知った社長のマリネッラ・マウリツィオが感激し、『何か新しいものを』と思ったことが、ブランドのスタートのきっかけでした」

 

チーフに見えるのは、実はマリネッラ製のメガネケース。

「マリネッラのネクタイの残布で作ったメガネケースです。残布なのでなかなか入荷せず、入ってもすぐに売り切れてしまう人気アイテムなんですよ。こうやって胸ポケットに差すと、チーフのように見えるのです」

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トレードマークでもあるメガネはトム・フォード。

「白山から始まって、オリバーピープルズ、アラン ミクリなどいろいろかけて来ましたが、現在はトム・フォードを愛用しています。ウエリントン・タイプではシルエットが一番キレイだと思います。バリエーションも多いですし」

 

時計はアンティークのロレックス・プリンス。

「7年前、55歳の誕生日にパリのアルニスで買いました。当時はアルニスの中に、アンティーク時計のコーナーがあったのです」

薄型で、シャツの内側に収まるところもお気に入りの理由だそうです。

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シューズは、松田智沖社長率いるジョン ロブのロペス。サンプルなので、これ一足しかないモデルだとか。

「彼は明治学院の後輩なのです。ちなみにUAの重松さんは先輩、ラコタの血脇さんは同輩です」

 

ソックスはパラティーノ。マーセライズド加工された細番手のコットンが気に入り、半ダースごとに9色もオーダーされたとか。

「すべて無地ですが、紺で2色、黒、焦げ茶といったベーシックなものの他に、レッドやパープルなども持っています。なかなか身につける機会はありませんが、真っ赤なバッグやベルトなども持っているんですよ」

 

真っ赤なアイテムを差し色として使うテクニックは、故・桃田有造さんに影響されたのだといいます。桃田さんはかつてコロネット商会会長を務めていたファッション界の大物で、ダンヒル、ジバンシィ、チェルッティ、エミリオプッチなどのブランドを初めて日本に紹介した人として有名です。そのトレードマークは、真っ赤なソックスでした。藤枝さんは、新卒でコロネット商会に入社し、薫陶を受けていたのです。

「桃田さんには、いろいろなところへ連れて行ってもらいました。岡田大貳さんがやっていたキャステルや、乃木坂にあったボルサリーノというイタリア料理店など、当時の私にとって敷居の高いところばかりでした」

 

桃田さんには、実は私もお会いしたことがあります。私の25年に亘る編集者人生のなかで、日本人としては三指に入るお洒落な方でした(ちなみに後の二人は、作家の落合正勝さんとミュージシャンの加藤和彦さん)

 

「その後バイイングも任されるようになり、ジバンシィ・ジェントルマンのデザイナーやアルニスの当主ジャン・グランベールさんといった一流の人たちと、ヨーロッパ中の工場を廻りました。その時の経験が私のベースとなっているのは、間違いありません」

 

前出のイザイアはアルニス当主の推薦があったから、契約できたのだといいます。そういう“人運”を引き寄せる力も、優しいお人柄あってのことでしょう。