Celebrate 70 years of Porsche
Toshiyuki Shimegi Special Interview

ポルシェ70周年記念 スペシャルインタビュー
名門のアイデンティティと未来

Monday, May 28th, 2018

スポーツカーの代名詞、ポルシェが70周年を迎えた。

そこで、ポルシェ ジャパン社長、七五三木敏幸氏に、

名門のアイデンティティと未来をうかがった。

 

text tatsuya kushima photography yoshiaki tsutsui

 

 

七五三木敏幸

ポルシェ ジャパン 代表取締役 社長

1958年、群馬県生まれ。一橋大卒業後、群馬銀行に入行して融資や窓口などを担当。クルマ好きが高じて89年にメルセデス・ベンツ日本に転職、自動車業界でのキャリアをスタートした。マーケティングなどを経験し、クライスラー日本社長を経て2014年2月から現職。

 

 

 

――今年はポルシェ70周年おめでとうございます。そしてお忙しいところありがとうございます。さっそくですが、70年生き続けてきたポルシェのアイデンティティからお話いただけますか?

 

「はい。この70周年のロゴに注目していただきたい。ここに1948年から2018年と数字が入っていますが、これがすべてを表しています。ポルシェにとっての70年、ポルシェのお客様にとっての70年をともに振り返ります。5月から国内でもイベントがはじまりますし、ドイツ本社でも70年という“時間”に焦点を当てたムービーを制作しています。お客様がポルシェのスポーツカーと共に過ごした時間、それぞれの時間がアイデンティティと言えるでしょう。

 ですが、注目すべきは次の71年目、つまり2019年からです。これまでの70年間、ポルシェは決して多くの台数を世に送り出してはいません。ですが、逸話はどのカーメーカーよりも多いと思います。『ポルシェってこうだよね』とか、『こんなブランドだよね』といった通説ですね。でもそれにとどまらないのがポルシェなのです」

 

 

 

 

 

――今年が大きな節目だと。

 

「そうです。後から振り返るときっと2018年が大きな転換点だったと思うことでしょう。それくらいポルシェはいまチェレンジしています。皆さんの憧れだったり郷愁だったりするブランドを自分たちの手で変えようとしています」

 

――すごいチャレンジですね。70周年を大々的に祝おうというのはいつ決まったのですか?

 

「具体的な話は昨年ドイツ本社から聞きました。ですが、それまでに入念な計画がなされていたと思います。ポルシェという会社はとても慎重に物事を進める社風なのです。電動化もそうです。プラグインハイブリッドもじつはその先の電動化を見据えて進められていたと考えられます。じつに長いスパンですよね。2013年のプラグインハイブリッドが2015年のコンセプトカーミッションEに繋がるのです」

 

 

ドイツ、シュトゥットガルトに位置するポルシェ本社

 

 

――慎重というか、壮大ですね。

 

「そういうことができるのもまたポルシェ本社の特徴で、生産や開発、販売などいろいろな部署がひとつの傘の下にありますが、すべての人が同じ方向を向いています。例えばハイブリッドを作る。するとモータースポーツのセクションは世界一過酷と言われる耐久レースに挑み、勝利を目指す。また開発や販売部門はそれをどうお客様にフィードバックすればいいかを考え、結果プラグインハイブリッドを作るとか……」

 

――全社一丸といった感じですね。

 

「まさに。しかもその考えがすごく先を見ているのです。先日もヨーロッパのいくつかの国や都市が2040年にはガソリンエンジンの販売を禁止すると発表しましたが、ポルシェは先読みしていると言えます」

 

 

 

ポルシェ初の完全な電気自動車「ミッションE」

 

 

――確かに。ではここで話を少し変えて、七五三木社長のポルシェ実体験について伺わせてください。これまで輸入車業界でいくつかブランドに携わってきましたが、ポルシェはどんなイメージですか?

 

「実体験では944ターボに乗ったことがあります。それと学生時代峠を走る930ターボの速さにびっくりしたことも。ポルシェって本当にすごいと(笑)。しかし、実際にポルシェ ジャパンに入ってポルシェに乗ると、私の予想を遥かに上回ってすごかった。もう銀河の向こう側といったくらいです」

 

 

 

圧倒的なスタビリティを誇る「911カレラ4」

 

 

――すべてに乗られた?

 

「はい、市販車はもちろん、GT3RSや918スパイダーもドイツで乗せてもらいました。すべて想像以上です。それに雨の日のアウトバーンで実際に操縦安定性の高さに驚いたこともあります。911カレラ4でしたが、急に目の前に車線変更してきたクルマを雨の中ブレーキを踏みながらステアリング操作で避けたんです。私は『えっ!』と思いましたが、911はまだ余裕な感じでした。これはスポーツ4WDを身をもって実感した瞬間です。ポルシェがいうスポーツ4WDとはこういうことなのだと知りました」

 

 

 

SUVのカタチをしたスポーツカー、「マカン」

 

 

――すごそうな体験ですね。アウトバーンですから相当なスピードでのお話だと察せられます(笑)

 

「この辺はやはりモータースポーツを軸にしている会社なのだなと思います。次の71年目からもそこは柱ですね。ポルシェは皆さんにスポーツカーの走りを楽しんでもらいたいのです。つまり、ラインナップすべてがスポーツカーと言っても過言ではありません。911、718はもちろんSUVもスポーツカーと思ってください。マカンターボで箱根の峠にてPDKを駆使して走ると、やはりスポーツカーなんだと感じてもらえるはずです」

 

――マカンも、ですね。

 

「はい。まさにSUVのカタチをしたスポーツカーです。ただ、まだそこは伝えきれていないかもしれません。そこを体感してもらえるとポルシェというブランドの全容が見えてくると思うのですが」

 

――確かに。マカンはもっともっと評価されていいクルマだと思います。そう言えば、新型カイエンももうすぐですね。

 

「はい。すでに発表してまして、7月からデリバリーを開始します」

 

 

 

7月からデリバリーが開始される、「ニューカイエン」

 

 

――では、ここで七五三木社長にアイコニックなモデルを挙げてもらいたいのですが、いかがでしょう?

 

「そうですね。ブランドのスタートいう意味で356がありますね。それから若い頃峠で見た911(930ターボ)、それと会社に入ってから気づかされたマカンです。マカンに関しては「ポルシェ=911」と思われている方にこそぜひ乗っていただきたい。これはスポーツカーです。もちろん、ポルシェに関しては十人十色で、皆さんそれぞれ各モデルに一過言おありなのは承知しておりますが(笑)」

 

 

 

 

――ですね。私もあります(笑)

 

「911のナローを持っていてパナメーラのプラグインハイブリッドを買っていただいたお客様は、テクノロジーの進化が好きとおっしゃっていました。そういう目線で見ていただいている方もいらっしゃいます」

 

――そういう意味ではラインナップが増えた分、いろいろな意見があるということですね。

 

「まさにそういうことです。そして確実に言えるのは、『スポーツカーとはこういうことだ!』という答えをポルシェは言い続けていることです。そして、それを一緒に楽しもうよ、と。これが大きなコンセプトです」

 

――なるほど、そしてそれがモータースポーツを柱に71年目から始める次の世代にも引き継がれるということですね。今後のポルシェにますます期待です。今日はありがとうございました。