Stefano Gaudioso Tramonte Interview

THE CORNELIANI MAN
“コルネリアーニ・マン”とは?

Friday, June 1st, 2018

イタリアの一流処、コルネリアーニのスタイル・ディレクター、ステファノ・ガウィディオーソ・トラモンテは、

いかにしてブランドの伝統を守りつつ、新しい時代を切り拓いていくのか?

 

 

ステファノ・ガウディオーソ・トラモンテ

コルネリアーニ・スタイル・ディレクター。1973年 ミラノ生まれ。祖父母がミラノ中心部の毛皮工房を営んでおり、小さいころからテーラーやデザイナーをみて育つ。スイスの大学を卒業後、1995年、22歳の時にエルメネジルド ゼニアに入社。販売からブランド管理、最終的に製品開発とマーチャンダイジングに携わり経験を積んだ。2016年、コルネリアーニ入社。現在2人の娘の父親で、コルネリアーニ本社のあるマントヴァで暮らしている。

 

 

 

 2016年9月以来、ステファノ・ガウディオーソ・トラモンテは、イタリアの高級メンズ・クロージング・ブランド、コルネリアーニの舵取りにおいて、重要な役割を果たして来た。彼はクリエイティブ・ディレクターやアート・ディレクターではない。またマネージング・ディレクターやCEOでもない。彼のタイトルはスタイル・ディレクターというものだ。この世界では聞き慣れない肩書きである。マーケットリサーチとデザインの両方を手掛けるという。

 

 

 

 ここ数シーズンの間に、コルネリアーニは大きく変化した。新しく立ち上げられたEコマースのサイトは、数々の興味深いストーリーに彩られ、単なる通販を超えたものだと評価されている。またマーチャンダイジングと小売りのシステムも、より効果的になるよう見直された。

 

 コルネリアーニはクラシックなメンズ・ブランドとしての背景を持っている。彼らはもともとサルトリアなレインコートやジャケットで知られていた。しかし、時代は変わり、トラモンテの情熱によって、ブランドはモダンに生まれ変わろうとしている。

 

 

 

 私は2016年の9月に現CEOのパオロ・ロヴィエラとコルネリアーニに入社しました。彼とは、エルメネジルド ゼニアで長く一緒に働いていました。当時、私のようなポジション(=スタイル・ディレクター)は、ファッション界にはありませんでした。マーチャンダイジングの責任者とデザイナーを兼任しているのです。私はいわゆるクリエイティブ・ディレクターではありませんが、私は私自身のデザインスタジオを持っているのです。

 

 私のポジションが設定された目的はより早く、よりスムースにコレクションを製作することにあります。普通はマーチャンダイザーとクリエイティブ・ディレクターは別々で、マーチャンダイザーはマーケットの要望を調べ、それを伝えられたクリエイティブ・ディレクターが、いくつかのデザインを提案するという流れです。私がここでやっているのは、それらふたつのポジションを兼任して、より素早くマーケットの要望に応えるということなのです。

 

 

 

 これはなかなかのアイデアだったと思います。問題は、実際にそんなことができる人材がいるかどうか、ということです。もちろん私は、「世界で私だけが、そんなことができる人間だ」というつもりはありませんが、少なくとも両者のバランスはうまく取っていると思います。過去半年にわたって、顧客やサプライヤー(そしてライバル・ブランド)からの評判は上々でした。新しい組織と新しいやり方、そしてわれわれが確立した新しい方法は、とてもポジティブに受け入れられました。

 

 私が入社した時最も驚いたのは、すべての社員がとても情熱的だったことです。皆、コルネリアーニというブランドを愛していました。彼らの中には、20年30年、中には40年以上もここで働いている人たちもいて、ブランドのことが大好きなのです。われわれがここのやり方を変えた時にも、彼らは驚くほど協力的でした。

 

 

 

 私たちがコルネリアーニで、まず最初に手掛けたことは、“ブランドブック”を作ることでした。それはコルネリアーニにとって何が必要で何がいらないのかを洗い出すことでした。われわれの存在理由は何か? われわれの目標は? 誰がわれわれを欲しているのか? そんな疑問を追求することでした。会社全体で共通の目的を持って、われわれがどこへ向かっているのかをはっきりさせたのです。

 

 目指したのは、印象的なブランドになることでした。お客様が何かを購入されたときに、何か特別なものを残せるようなブランドです。例えば、それぞれのプロダクトについて、ひとつひとつのストーリーをお教えしたりすることです。商品の背景にあるものをお伝えすることによって、よりその商品を愛して頂けると信じています。

 

コルネリアーニ2018AWコレクションより。スーツ¥360,000(9月発売予定)   Corneliani

 

 

 “メイド・イン・イタリー”ということにもこだわっています。どうやって伝統の技術を守っていくかが課題です。アクセサリーやネクタイに使われている、コモ湖におけるシルクプリントなどで受け継いでいる技術は、守っていかなければならないものです。イタリアの地方には、それぞれの技術があり、地域の伝統がいまだに生き残っています。

 

 あまりに長い間、イタリア人は自らの技術の流出に対して何もしてきませんでした。多くの企業が他のヨーロッパ諸国やアジアなどの海外へ移転してしまいました。残念なことです。

 

 われわれは3つのチャネルを持っています。デジタル、直営店、そして卸売りです。まず最初にしたことは、Eコマースを充実させることでした。お客様がウェブサイトを訪れて、最初に見るのは、われわれの哲学です。Eコマースにおいても、お客様に、「コルネリアーニとはどんなブランドなのか」を理解して頂くことが大切だと思っています。

 

 直営店についても、刷新を図っています。ブティックを訪れていただければ、必ずや新しい発見があると思いますよ。

 

 

コルネリアーニ2018AWコレクションより。コート¥360,000(9月発売予定) Corneliani

 

 

 同時に、ブティックのスタッフの教育にも力を入れています。どうやってお客様をお迎えし、どうおもてなしをするか、そして商品に対してのストーリーをいかに語るかが大切だと思っています。これは世界中のどのコルネリアーニのブティックに行っても、同じクオリティをご提供できるよう努めています。われわれが今何をしているかを、ご理解頂きたいのです。

 

 小売りにおいても、Eコマースにおいても、最も重要なことは、きちんと商品の背景にあるものを説明することだと思います。いまマーケットには、低価格な、ファスト・ファッションが溢れています。そんな中で、お客様に高価な商品を買って頂くには、なぜその商品が高価なのかを、きちんとご説明し、商品の豊かな世界をご理解頂かなければなりません。

 “コルネリアーニ・マン”とはどんな人なのか、ですって? その特徴は3つあります。

 

 ひとつ目は“エレガンスがある”ということです。私は多くの人に「エレガンスって何でしょう?」と聞かれますが、一言で答えるのは難しい。服装については、絶対的にお手伝いできる自信があります。しかし、エレガンスは、外見だけの話ではありません。大切なのは中味です。どうやって話すか、どうやって歩くか、そして最も重要なのは、高い知性を持っていることです。

 

 ふたつ目は“快活である”ことです。コルネリアーニ・マンは、いつも生き生きとしていて、エネルギッシュです。何かを吸収しようという意欲に溢れています。常に好奇心を持ち、博物館や劇場や、ジャンルを問わず、何か新しいことを求める姿勢を持っています。

 

 三つ目は、“自信に満ちあふれていること”。自分が何者なのかを知り、目的を持って生きている人たちです。

 

 私自身は、何事に対しても誠実でありたいと思っています。どんなことが起きても、常に穏やかな心で臨みたいと考えています。ファッションの世界には、ヒステリックな人々がたくさんいますが(笑)、私はいつも平常心でいたい。もちろんそれは、今の時代、とても難しいことなのですが・・・

 

 

コルネリアーニ

http://cornelianijp.jp/