Mr. BRUCE RYDE
Vice President, Luxury Brands & Brand Marketing
Asia Pacific | Marriott International

オープン・ラッシュを迎える
日本の最新ホテル事情

Monday, November 5th, 2018

BRUCE RYDE ブルース・ライド

マリオット・インターナショナル アジア太平洋 ラグジュアリー・ブランド&ブランドマーケティング ヴァイスプレジデント

“ザ・リッツ・カールトン”、“セントレジス”、“ブルガリ”など、多くのホテル・ブランドを擁するマリオット・インターナショナルにて、アジア太平洋地域におけるラグジュアリー・ブランド戦略を担当。それぞれのブランドに相応しい個性と、ゲスト体験の更なる向上を目指している。1995年、フラマホテルズインターナショナル入社、その後、インターコンチネンタル・グループを経て、 2017年11月より現職。

 

 

 日本のホテル・シーンは、ますます活況を呈して来ている。多くのブランドが、細長い龍のカタチをした島国に、熱い視線を注いでいる。オリンピック・イヤーである2020年前後には、空前のオープン・ラッシュを迎える。その“熱さ”は世界一かもしれない。

 

 その台風の目となりそうなのが、マリオット・インターナショナルだ。世界130カ国に、6,700軒以上の宿泊施設を展開する、巨大ホスピタリティ企業である。日本では“ザ・リッツ・カールトン”、“セントレジス”、“JWマリオット”などの一流ホテルでおなじみだ。

 

 しかし、マリオットには、いまだ日本に上陸していない、個性豊かなブランドがたくさんある。しかもそれらが、ここ数年の間に、続々と日本にやってくるという。ホテル・ファンにとって、たまらないこの状況について、アジア太平洋地域におけるラグジュアリー・ブランド戦略を担当する、ブルース・ライド氏に聞いてみた。

 

 

「まずは2018年11月にオープンしたばかりの、沖縄の宮古島に位置する、『イラフ SUI(スイ)ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古』です。“ラグジュアリー・コレクション”は、われわれのブランドひとつで、各ホテルが独立した存在であることが特徴です。それぞれのホテルが、それぞれのストーリーを持っているのです。伊良部という素晴らしいロケーションを生かした、素晴らしいホテルになると思いますよ」

 

 

沖縄の宮古島にオープンしたばかりの『イラフ SUI(スイ)ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古』

 

 

 2020年夏には、国内5番目となる『ザ・リッツ・カールトン日光』が誕生する。ザ・リッツ・カールトンは、大阪、東京、沖縄、京都に次いで、国内5カ所目となる。家康ゆかりの地に、世界を代表するラグジュアリー・ブランドがやってくるのだ。

 

「“ザ・リッツ・カールトン”は、われわれのグループを代表する、実にアイコニックなブランドです。何よりも、贅沢かつ本格的なサービスが特徴で、本物の紳士・淑女のために存在するホテルなのです」

 

 

2020年夏に誕生する『ザ・リッツ・カールトン日光』

 

 

 同じく2020年には、いまホテル業界で最も話題となっている“エディション”が上陸する。エディションは、最先端のブティック・ホテルだ。2013年のロンドンを皮切りに、マイアミやニューヨークでも展開されている。しかも、東京では銀座および虎の門の、2カ所同時オープンとなるという。

 

「(アンディ・ウォーホルらも通った)ニューヨークの伝説のクラブ『スタジオ54』を手掛けたイアン・シュレーガーがプロデュースするブランドです。彼は素晴らしいデザイナーで、世界一スタイリッシュな空間をクリエイトしています。“ブティック・ホテル”という概念を作り出した男と言えます。つい先日も上海にオープンしたばかりです。比較的小さなホテルに、3つのレストランとバーを持ち合わせています」

 

 

2020年オープン予定の『東京エディション虎の門』

 

 続く2021年には大阪に、これも国内初となる『W OSAKA』がお目見えする。“W”は、デザインホテルの草分けともいえる存在だ。

 

「強烈なエネルギーとカラーが“W”の特徴です。『ワークハード/プレイハード』をスローガンとする、若さと野心に溢れたホテルですね。エントランスを入ると、DJブースがあったり、プールでパーティーが行われていたり・・その内部はエンターティンメントでいっぱいです」

 

 

2021年には大阪に、国内初となるデザインホテル『W OSAKA』がお目見え

 

 

 聞いているだけで、ホテル・ファンとしてはワクワクしてならない。しかしなぜ、これだけ多くのブランドを上陸させるのか? 同じブランドで、並列展開していったほうが、効率的ではないか?

 

「“ラグジュアリー”という概念が大きく変化しているのです。お客様はさまざまな体験を欲しており、より個性的で、より独創的な経験を求めていらっしゃる。われわれのグループでは、“パーソナライズ”ということが、何よりも大切だとされています。ひとりひとりのゲストを理解し、それぞれの顧客に合ったサービスをご提供することが必要なのです」

 

日本においても、状況は同じだという。

 

「右へならえ的なサービスが通用せず、よりパーソナルな、よりエモーショナルなエクスペリエンスをお求めになっているという点では、日本のお客様も同様です。しかし日本のカスタマーの大きな特徴として“センス・オブ・クワイエット”ということがあります。人々が、静かでフォーマルな環境を好むということです。日本にあるわれわれのグループのホテルへ行くと、いつも感じるのですが、皆静かで礼儀正しい。日本の社会は素晴らしいと思います」

 

 これからのホテルのあり方、未来のホテルについて問うと、相反するふたつの答えが返って来た。

 

「テクノロジーによるイノベーションを、活用することが大切だと思います。新しい技術を導入し、お客様により快適になって頂く。ホテルは、ライフスタイル・テクノロジーを、いち早くテストして頂ける場所なのです・・。しかし、その反面、ホテルはテクノロジーの呪縛から、逃れられる場所でもあるべきです。プールやジムなど、身体面でのウェルネスを完備させるのみならず、精神面でのリラクゼーションも充実させなければなりません」

 

 

 完璧なホテルマンであるライド氏に、最後にちょっとトリッキーな質問をしたくなった。

 

「われわれ一般人は、休暇にはホテルへ行きますが、あなたは休暇には、どこへ行くのですか? ホテルへ行っても仕事の延長のようで、リラックスできないのではないですか?」というものだ。彼はこう答えた。

 

「私は生まれつき、ホテルというものが大好きなのです。ですから、休暇をとっても、やはりホテルへ行きますし、秘密にするまでもなくホテルのみにとどまらず、話題のホームシェアなども興味がわくようなものであれば進んでします。いろいろな宿泊施設を見て回るのは、本当に楽しい。確かに内装やサービスなどにコメントしたりしますが、そこまで細かいほうじゃないですよ(笑)」

 

 生来のホテルマンは、そういって破顔一笑した。