CONVERSATIONAL STYLE: ETHAN NEWTON OF BRYCELAND'S

イーサン・ニュートン、そのスタイルを語る

Wednesday, April 17th, 2019

ファッション界のなかでもひときわユニークな存在であるイーサン・ニュートンが、

THE RAKEに、東京におけるビジネスと自らのショップ、ブライスランズについて語った。

日本の環境と文化を、いかに自らのスタイルに取り入れたかを説明してくれた。

 

 

text ryan thompson   photography jamie ferguson

 

 

———あなたのメンズウェア業界におけるキャリアを教えてください。

 

「私がキャリアのなかで目指して来たことは、いつも同じでした。それはメンズウェア業界にいることであり、その黄金時代である1920〜60年代のテーラード・クローズとワークウェアについて追求することです。私は20歳になるまでファッション・デザイン、特にテーラードにおけるパターン・メイキングを学びました。そして卒業すると同時に、日本を目指したのです。

 

 日本においては“デニムの師”とでもいえる人物に出会い、数年にわたって学びました。そこでは情熱的で多くの知識を持った人々に出会いました」

 

 

 

「一度オーストラリアに戻り、いろいろな仕事を経験しました。デザイン、ビスポーク・メイキング、リテール・ストアの経営、テーラーリング・クローズの販売スタッフのトレーニングなどです。30歳になったとき、香港へ赴きました。そこではふたりの素晴らしい友人たちと、ジ・アーモリーという新しいコンセプトのショップを開きました。それは私自身の“小売店はこうあるべき”という哲学を形にした店でした。私たちは真にインターナショナルな店を作り上げ、東南アジアにおけるメンズ・ファッションを活性化することを目指しました。

 

 その後、大きな会社のためにしばらく働きましたが、私にはサラリーマンは向いていませんでした。そして東京へ再び戻り、ブランド・コンサルティングやフリーのフォトグラファーをやっていました。香港時代からの友人、ケンジ・チュンとは、ずっと連絡を取り合っており、私たち自身が本当に行きたい店とはどういったものか、それを作るにはどうしたらいいかを話し合っていました。そして3年前に、ブライスランズの第1号店を東京に出店したのです。

 

 それは難しいチャレンジでしたが、結果的には大きな成功を収めました。我々のビジネスは順調で、将来的も安泰のように思えます」

 

 

 

———日本での経験は、あなたにとってどのように役に立ちましたか?

 

「日本は私に初めて、ベーシックなワードローブを作る方法と、その価値を教えてくれました。今日私のワードローブの中にある、定番的なアイテムのことです。コマーシャルに踊らされず、しっかりとした哲学を持ってメンズウェアというものを見通すことを学びました。

 

 思うに私の時代は、日本はビスポーク・クロージング界のリーダーであり続けており、ワードローブというものに他のどのエリアよりこだわりと深い造詣を持っています。19年前に初めて来日したときは、基本となるアイテムとその上手な着こなしを教えてくれる、セレクトショップのウィンドウを覗き込んでいたものです。パーフェクトなテーラード・ジャケット、ハンドメイド・シューズ、ジーンズ、そしてレザージャケットなど。カテゴリーは適切に定義されており、いつも美しく飾られ、完璧なお手本でした」

 

 

 

———ブライスランズのヴィジョンを説明してもらえますか?

 

「ベーシックなワードローブを提供していくことが基本ですが、日本人のニーズに応えつつ、違うアプローチも試みようと思っています。それがブライスランズのスタート地点でした。太っちょのオーストラリア人によって解釈された英国、ヨーロピアン、そしてアメリカの服に、日本の洗練されたプレゼンテーションを加えようと試みています。

 

 メンズウェアで大切なことは、あなた自身の方法で、出来る限り素直にあなたを表現することです。ロゴものやひと目でブランドものだとわかるものは、避けるべきです。服はそれを着る人より、目立ってはいけないのです」

 

 

 

「ブライスランズにとって究極のゴールは、われわれのカスタマーに、彼らが本当になりたい自分になれる服を提供することです。われわれの作る服は、スタンダードでクラシックですが、時にユニークで大胆でもあります。いずれにしても大切なのは、着る人の個性であり、ブランドの広告塔になることではありません。

 

 ブランドやデザイナーは重要ではありません。服は同じモノでも、着る人が違えば、違うように見えなければならないと思います。ルールにこだわりすぎると皆同じようなユニフォームになってしまうので、時にはそれを破ることも必要です。

 

 それぞれの着こなしには、それぞれ違いがあるから美しく見えるのです。誰かがあなたの選んだ色や素材についてとやかく言って来ても、それがあなたのキャラクターならそれでいい。雑誌から飛び出て来たようなヤツより余程マシです」

 

 

 

———コーディネイトするときは、何を考えますか?

 

「着こなしを考えるとき、まず始めに思うのは、その日に出会う人とオケージョンに合った格好ということです。素晴らしい仕立てのテーラード・スーツでも、ビーチでのバーベキューには向いていないし、ヴィンテージのミュージック・バンドのTシャツはクールですが、フォーマル・イベントにはNGでしょう。

 

 個人的には、ファッションを楽しむことが大好きです。今まで何年も袖を通して来た質の高い服たちを、今風に着こなすのが楽しいのです。いつもの服も着方によって、また違って見えます。

 

 ですから、帽子にしても、靴にしても、レザージャケットにしても、ツイードにしても、朝起きて着たいものがあったら、仮に今日のオケージョンと違っても、それを無理矢理着てしまうこともあります。そしてオケージョンに合わせることと、自分の個性を表現することを両立させるよう試みます。実はよく失敗するのですが、それでも私はそういったチャレンジを楽しんでいます」

 

 

———ブライスランズの“次”は何ですか?

 

「日本と香港というふたつの愛する家を持ち、素晴らしい着こなしを披露してくれる友人たちとも出会いました。一緒に仕事をするビスポーク・テーラーの仲間もいます。ヨーロッパは私が次に目指したい場所ではありますが、今はその時ではない。ちょっと早すぎると思っています。しかし機が熟したら、ロンドンを目指しているかも知れません。時のみぞ知る、です」