Tuesday, May 31st, 2016

金沢の歴史を五感で堪能できる
老舗料亭旅館 金城樓

 明治二十三年のこと、初代土屋九兵衛は幸運にも由緒ある邸を手に入れた。前田利家公の長女に婿入りした前田対馬守の子孫が、明治維新の廃藩置県の折、味噌蔵町下中丁(現・金沢市橋場町)に居を移した豪邸こそが、いま老舗料亭旅館 金城樓が位置する地である。部屋から望む庭にあるのは、太閤秀吉に由来する七つの石のひとつ不二石や、藩主の子孫が住む鎌倉の前田邸のものと対を成す獅子印璽燈籠など、由緒を感じさせるものばかり。客室でくつろぎながら、それぞれに刻まれた歴史を存分に感じたい。
 金城樓では、日本海の海の幸、能登の風土が生み出す珍味、白山からの良水による美酒、金沢の土地に育まれた加賀野菜を使った料理も堪能できる。食材の旬をしっかり把握し、最良の調理法を用いて調理された加賀料理は、代々継承した器類や美術品を惜しげもなく使用して提供される。伝統的な文化を守りながら、金沢の食文化を発信し続けているのだ。
 ただ宿泊するだけ、美食を堪能するだけでなく、日本の歴史を肌で感じ、その土地に根付いた文化を体験する。五感でもてなされる歓びを感じて、通ならではの楽しみ方で金沢を存分に満喫したい。

金城樓
住所:石川県金沢市橋場町2-23 
TEL:076-221-8188

客室は全6室。写真1枚目は喜久の間、写真3枚目は不二の間。どちらの部屋にも設置されている総桧風呂で、香りに癒されながら疲れをとりたい。写真2枚目は立派な門構えの入り口。