THE RAKE JAPAN from Yuko Fujita

THE RAKE JAPAN副編集長、藤田雄宏が取材した、
世界中の友人たちや気になるウェルドレッサーたちをご紹介します。

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ルカ・グラッシィア & サルヴァトーレ・グラッシィア Luca Grassia & Salvatore Grassia(Luca Grassia)

text & photography  Yuko Fujita

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グラッシィアファミリーのルカ(左)&サルヴァトーレ(右)兄弟のご紹介です。

 

彼らの工房を初めて訪ねたのは、去年の11月。

創刊1周年記念パーティで着るソリートのタキシードの仮縫い・中縫いをし、

一気に納品までしてもらおうと、弾丸でナポリに行ったときのことでした。

 

僕の滞在情報をどこで手に入れたのか

「面白いサルトリアがあるから一緒に見てほしい」と

見ず知らずのナポリ人女性から連絡が来たんですね。

 

女性で美人かもしれないけどカモッラ絡みで誘拐されちゃうかもしれないし、

オフで来てるんだから断ろうかな、と思いつつ、

新鮮な情報は押さえておきたいという編集者魂が勝って

彼らの工房があるカザンドリーノまで一緒に行ってきました。

 

結果、半日潰すことになっちゃったけど、わざわざ行って大正解。

いろいろな意味で大満足でした。

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まずは こちらの写真をご覧ください。

 

彼らの工房に入った瞬間にまず思ったのは、

「うわーっ、そっくりさんがたくさんいる!」ってことでした。

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聞けば、ここで働いているのは子供から若者、ベテランのおじさん・おばさんたちまで

ほぼ全員がファミリーだそう。

どうりで皆そっくりなわけです。

工房では中学生の男の子までがいっぱしのサルトとして働いていて、

ナポリ慣れしているはずの自分も大きな衝撃を受けました。

「この感じ、新しいぞ!」って。

 

3代目のルカ(30歳)はなかなかやんちゃそうな雰囲気を醸し出しているけれど、

実はとってもいい奴で、仕事に関しては超真面目。

物心がついた頃に家族から仕事を学びはじめ、

その後アットリーニで1年経験を積んだほか、

パニコをはじめとするナポリ中の錚々たるサルトリアで学んで、

今ではファミリーの工房を支える頼もしい3代目として毎日夜遅くまで働いています。

弟のサルヴァトーレ(26歳)も同様に超仕事熱心。

 

「グラッシィアファミリーは皆ここでサルトとして働いています。

親戚皆がそうであるように、私も幼少の頃から針を握ってきました。

小学校から帰ると、両親に仕事を教えてもらうのが楽しくて仕方がありませんでした。

親戚を含めて家族みんながここで働いているから、

自分も早く仕事を覚えて一人前のサルトとして認めてもらいたかったんです。

私の娘も4歳にして、サルトの仕事を覚えようとしています。

グラッシィア家に生まれたということは、

皆サルトになる宿命なんです」

 

初めて会ったとき、彼らはアジアでの新しいビジネスを求めていました。

腕は文句なしに素晴らしいし、いろいろ器用にできそうだし、

可能性は凄くあるなって思ったのですが、

アジアで展開するには彼らの素晴らしさを最大限に引き出す

ディレクター的役割を担える人を見つけないと難しいかなというのが自分の感想でした。

彼らはあくまでス ミズーラの工房だから、

マーケットを熟知したパートナーは必要不可欠なんです。

それでも、グラッシィアのような工房の服が日本で展開されたら

マーケットに一石を投じることになるんだろうなぁと思っていたら。

なんと来春夏から「ルカ グラッシィア」の名前で日本での展開が決まったんです。

エージェントは元UAの木下ジェリーさんが立ち上げたアンディアーモ。

 

というわけで、6月のピッティのあとに、今度は取材という形でジェリーさんと一緒に彼らの工房を再訪してきました。

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ス ミズーラしかやっていない工房を日本で展開するのは

メリットがある一方で、非常に難しいことでもあります。

それは、ほとんどが手仕事なので製品にばらつきが生じやすく、

また、そのばらつきを日本のマーケットはよしとしないからです。

ここはジェリーさんの製品管理能力の見せどころです。

サンプルを見て着た感じはすこぶるいいし、生地の提案力もサスガのひとこと。

20万円台でこれだけ手の入ったサルトリア仕立ての既製服は、

日本ではほとんど見かけなくなってきてしまっているので、

潜在的需要は高いのではと思っています。

 

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初代は30年代にロンドンハウス(現ルビナッチ)で腕をふるったサルトでした。

 

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1963年から3代続くサルトリアで、彼がルカの父で2代目のロッコ。

 

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こちらはロッコの弟ジュゼッペ。

アットリーニで10年間働いていたこともあり、袖付けとか抜群に上手かったです。

 

というわけで発売されたばかりのTHE RAKE日本版ISSUE 12で

彼らのことをいち早くご紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

Giancarlo Maresca(Cavalleresco Ordine)

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  • In Napoli
  • On Jun 1st, 2015
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ジャンカルロ・マレスカ Gianncarlo Maresca(Cavalleresco ordine) 

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イタリア国内に11の支部、約380名のメンバーを擁するイタリアきっての紳士クラブ

「Cavalleresco Ordine dei Guardiani delle Nove Porte」の騎士団長(Gran Maestro)、Giancarlo Marescaさんです。

 

大変な博学で『Monsieur』や『Arbiter』といったイタリアで影響力のある雑誌にも毎号のように寄稿されており、

イタリアのファッション界においてとても高名なお方です。

(2年前に引退されましたが、本職は弁護士でした)

 

スーツはEnzo Carfora(創刊号とIssue03で紹介している、ナポリで最注目の若手サルト)、

シャツは10年以上前に仕立てたMerolla & De L’ero、タイはヴィンテージ、

シューズはPeron & Peron、チーフはRubinacci、ハットはBorsalinoです。

 

「大切なのはStagione(季節)とOccasione(オケージョン)。

ワードローブは季節によってわけられていますし、場にふさわしい格好というものがあります。

その2つを踏まえることは絶対です。そのうえで個々の着こなしを楽しめばよいのです」とマレスカさん。

 

シャツのカフにループをつけてカフの上に時計をするのは、氏の定番スタイル。

襟やカフの縁をプクッと丸く膨らませた特別な仕立て“Bombarozzo”も、

マレスカさんをはじめとするクラブのメンバーが好む仕様です。

(バッティストーニやサバティーニなど、ローマのシャツの仕様をマレスカさんがリクエスト)

 

パンツは決まってSenza passante(ベルトループなし)。

これはマレスカ氏に限らずピッティなどを見ていても、ス ミズーラではこの仕様が好まれているようです。

最新号の表紙を飾っているラポ・エルカーンも、スーツのときは絶対ベルトループなし、と取材時に話していました。

 

氏のクラブの会合は各都市順番に月1回の割合で開催され、豪華でユニークなメンバーがイタリア全土から集います。

ちなみにナポリ支部の長はMaurizio Marinellaさんです。

クラブの皆さんはウェルドレッサー揃いですので、追ってここでご紹介したく思っています。

Mariano Rubinacci

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  • In Napoli
  • On Apr 29th, 2015
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マリアーノ・ルビナッチ Mariano Rubinacci
Mariano

電話をかけると「もしもし、マリアーノです」といつも日本語で出てくれる、

とってもお茶目なルビナッチの2代目、MARIANO RUBINACCIさんです。

個人的には世界で最も趣味がよく、エレガントな紳士の1人だと思っています。

 

着用しているブランドはすべてルビナッチ。

 

スーツ地はイタリアでいうところの「サーレ・エ・ぺーぺ(塩こしょう)」、いわゆるエンド・オン・エンドです。

 

シャツは生地感がしっかりしていながら滑らかなシャンブレー。

肌へのタッチが非常に心地よく、大のお気に入り素材だそうです。

ちなみにマリアーノさんが着るシャツ地は、1年を通してシャンブレー、ポプリン、リネンの3種類に限られるそう。

薄くて軽いシャツ地は、たとえ夏でも好きでないから着ないとのことです。

一方、リネンのシャツは秋冬でも心地よいから好んで着るそうです。

 

シャンブレーシャツは一般的にはカジュアルに振られていますが、

最上質の生地で仕立てたドレスシャツは、エレガントでとても素敵に思えました。

せっかくナポリに住んでいるので、自分も近々1枚作ってみたいと思います。

 

ネクタイは1年を通して軽やかなスフォデラート(裏なし)で、この日していたのは3つ巻き仕様。

 

そして、チーフは常にシルクプリントなのが、マリアーノさんのスタイルです。

王道の白リネンチーフは一切挿しません。

 

靴はイタリア製のモカシーノ。

 

「もう何十年も私のスーツスタイルは変わっていません。

ファッションを追うのではなく、自分のスタイルで着ているからです。

スーツを着るうえで大切なのは“equilibrio”、すなわち全体の調和ですね」とマリアーノさん。

 

フツウなんだけれどもとってもお洒落に映るのは、

彼がいうところの”equilibrio”をトップの次元で表現しているからだと思います。

今年で72歳のマリアーノさんのエレガンスには、いつも本当に痺れさせられます。

Tito Allegretto

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  • On Apr 17th, 2015
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ティート・アッレグレット Tito Allegretto

Tito2
第2回はVMDのスペシャリストでナポリ仕立てを知り尽くした男、TITO ALLEGRETTOさんです。

 

ティートさんのアパートは僕のアパートの3軒隣ということもあり、

彼とはアペリティーヴォや食事をしながら、

いつも本当にたくさんのことを教えてもらっています。

 

「これからの季節、自分が着るのはネイビーと白、ベージュの3色のみ。

その中で、素材の組み合わせで自分らしく着こなすのが俺のスタイルさ」

 

リネンのジャケットはスティレ ラティーノ、メッシュのシャツは自身のブランド、ティート・アッレグレット、

洗いのかかったコットンパンツはインコテックス、モカシンはセバゴ。

 

1957年生まれの57歳。彼のキャリアは20歳のときにロンドンハウスでスタートし、

その後もモネッティ、イザイア、アットリーニと、長年ナポリ仕立ての王道を歩んできました。

 

「俺のマエストロはMariano Rubinaccciさ。エレガンスのすべては彼から教わったんだ」というのが口癖で、

着崩しながらも季節に相応しい素材と色を楽しんで着る徹底したポリシー、

すなわち往年のナポリの紳士が大切にしていたこだわりが、彼のスタイルの核にあります。

 

崩したスタイルでありながらこれだけエレガントなのは、そんなところに理由があると思います。

それにしてもTitoさんのようなリラックスした格好に、柔らかなナポリ仕立ての服はとてもよくマッチしますね。

Gennaro Solito(Sartoria Solito)

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  • On Apr 8th, 2015
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ジェンナーロ・ソリート Gennaro Solito

第1回は、ナポリの目抜き通りVia Toledoのパラッツォにサルトリアを構えるGennaro Solitoさん。

1945年生まれの氏が仕立ての世界に入ったのは6歳のときだから、キャリアは64年。

ナポリで今、最も脂が乗っているサルトの一人です。

 

「サルトにはファンタジーが必要です。

お客さんをいかに素敵に見せられるか。

追いはしませんが流行を頭の片隅に入れながら、

ライフスタイルや雰囲気に合わせて生地を提案し、仕立てに変化をつけ、

その人の魅力を存分に引き出せるスーツに仕上げることを意識しています」

 

実はジェンナーロさんは自分のサルトでもあるのですが、

いつも氏は、自分のイメージを超える素晴らしいスーツを仕立てて、

毎回驚きと最高の満足感をもたらしてくれます。

だから、ジェンナーロさんのいうファンタジーという言葉、とてもよくわかります。

 

ちなみに氏が今シーズンオススメしているのは、

ご自身でも着用されている、明るいブルーベース(ナポリの定番ですね)のヴィンテージ調チェック。

自らのエレガントな着こなしをもってお客さんからの信頼を生み、常にさりげない新鮮さを提案し、提供してあげられる。

彼のサルトリアがナポリで一番の賑わいを見せている理由は、そんなところにもあるのではないでしょうか。