THE RAKE JAPAN from Yuko Fujita

THE RAKE JAPAN副編集長、藤田雄宏が取材した、
世界中の友人たちや気になるウェルドレッサーたちをご紹介します。

Posts in the category

MENU

Kenji Mihara(リシュモン ジャパン)

  • By edit
  • In Tokyo
  • On Mar 22nd, 2017
  • permalink

三原健治(Kenji Mihara)

 

text & photography yuko fujita

MG_0052A

suit  Dunhill

shirt  Dunhill

pocket square(around on neck)  Dunhill

document case  Dunhill

shoes  Justin Deakin

bracelet  Thomas Curtis

watch  Girard-Perregaux

 

 

リシュモン ジャパンのマーチャンダイジング マネージャー、三原健治さんです。

三原さんは僕と同い年。根っからの服好きで話が本当に面白く、

「うんうん!」と頷きっぱなしで気が付いたら2時間ずーっとワクワク聞き入ってました。

三原さんは大学を卒業後、バーニーズ ジャパンに新卒で入社。

大学時代のサークルにはUAのMD部長 太田勝也さんを筆頭に今日のファッション界の第一線で活躍している

お洒落な先輩たちがゴロゴロいたそうで、周囲に感化されて高いテンションで入社したからか、

1年目に服を買いすぎて人事に呼び出されたことがあるそうです(笑)。

三原さんって僕と同じ匂いのする方だなって強烈なシンパシーを感じてしまいました

(失礼! 今なおナポリでのス ミズーラ地獄から抜け出せない僕は、もっとタチが悪いかも)。

 

 

「バーニーズに入社した当時、休日になると先輩たちがアメ横、原宿、代官山を一緒に回ってくれて、

それこそ毎週のように玉美、プロペラ、マルセルラサンスなどに通っては、買い物をしまくっていました」

ちなみに毎週の買い物行脚の際、アメ横でのランチの定番だったのは僕も大好きな中華料理屋「新東洋」。

洋服屋さんの趣味が同じなだけでなく、中華屋の趣味まで一緒ときたから、強烈なシンパシー5割増しです。

 

 

三原さんが最初に配属されたのは、ネクタイやタイを扱う新宿店のメンズファニッシング部門。

売り場ではベルヴェストやカスタンジア(懐かしい!)のスーツ、フライやボレッリのシャツ、

エドワード グリーンの靴などでバリバリに決めていたそうです。

2年目のときに「それだけ服が好きなら、服を買うのを我慢してお金を貯めて俺の海外出張に付いてこい」と

先輩に言ってもらい、三原さんはそれを本当に実行。

ピッティ ウォモやミラノ コレクションの出張に自腹で同行したというなんとも素敵なエピソードの持ち主です。

その熱意が通じたのか、3年目にしてデザイナーズブランドを扱う部門のMDチームに抜擢されます。

その後スポーツファニッシング部門のMDを経て、2007年に独立。

バーニーズ ジャパン時代の上司とともに、ニッポンのブランドを海外に発信する「アリカ」というプロジェクトに携わったのち、

2010年にリシュモンジャパンに入社し、今日に至ります。

 

 

 

ドニゴールツイード製の3ピーススーツはダンヒル。ベストは追加で同じ生地にてオーダーしたそうです。

フランネルっぽい素材感のシャツもダンヒル。

「これはイタリア製ですけどダンヒルのシャツが面白いのは、ギンガムチェックなどの一般的なチェックではなく、

タッターソールやタータン、ガンクラブ等から派生した、地域や家柄、職業に根差した英国らしいチェック地が揃っているところです」

ポケットチーフもダンヒルで、こちらはポケットに挿ささずに首に巻いているのがポイント。

「タイドアップすると必然的にドレス感の強いスタイルになるので、インディアンジュエリーをつけるときはいつもノータイです。

かといって何もしないのも寂しいので、チーフを首に巻いているんです。

これは、ダンヒルの本国スタッフの友人に教えてもらったテクニックです」

 

MG_0081

靴はジャスティン・ディーキン。

「イーストロンドンにあるお店で、お店に行くとジャスティンにウイスキーを飲まされて靴を買わされます(笑)。

これはメダリオンがゴールドになっているのですが、そういう遊びの利いた靴が揃っているんです。

ちなみにシューポリッシュは、マエストロの松室真一郎さんにお願いしています」

 

MG_0085

時計はお父様から譲り受けたジラール ペルゴ Ref.9050のSSケース。

「母が父にプレゼントした時計を、もうしないというので譲ってもらったものです。

今、見ると小ぶり(ケース径34㎜)かつシンプルで凄く気に入っています」

個人的にもこれ、すごくカッコいいなって、自分でも欲しくなってしまいました!

 

MG_0089

そして、三原さんのこだわりが何よりも凝縮されているのが、こちらのブレスレットです。

「大変貴重なターコイズを揃えているお店が軽井沢にありまして、バーニーズにいた当時はみんなで毎月のようにそこへ行って、

ビールを飲んだ勢いでターコイズを買って帰るということを繰り返していました(笑)。

もちろん、往復のクルマの中はずっとターコイズの話です。貴重な石でも昔は今よりずっと安かったんですよね。

このブレスレットは、軽井沢で購入した石を上野のブレーブストレーディングに持っていき、

今は亡きトーマス・カーティスに作ってもらったものです。

キングマン鉱山のイサカピークのターコイズで、金っぽい色や水晶の入ったスパイダーウェブ

(クモの巣状にマトリックスの入ったもの)がお気に入りです。石の両サイドには三原の“M”を彫ってもらいました」

 

MG_0099

あと、ダンヒルのドキュメントケースにも注目です。

ウォルサムストウにある自社工場製の「トラディション」というハンドクラフトシリーズのもので、

10年以上前になりますが、実は自分もここの工房を訪ねたことがあり、「サドルレザーのバッグを手掛けるファクトリーの中でも、

群を抜いて高いクオリティを誇っているなぁ!」って感動したのを覚えています。

同シリーズの鞄や革小物は、「ホーム」といわれるロンドンのボードンハウス、上海のツインヴィラ、東京の銀座本店の、

世界3店舗のみで扱っているそうです。

本当に素晴らしいクオリティの製品ですので、ぜひいちど銀座本店に足を運んで、実物をご覧になってみてください。

自分もいつかは購入したいなと思っている憧れの鞄のひとつです。

 

MG_0092

ちなみにトラディションシリーズには、手掛けた職人の名前が刻印されたタグが入っています。

ここまでこだわっているブランドって、そうはないと思います。

 

 

 

そんな三原さんに自身のスタイルに対するこだわりを訊いたところ、返ってきた答えは至極明快!

“イタリア的な要素をなるべく排除すること”だそうです。

「今、皆さんカッタウェイのシャツを着ていますが、私からするとカッタウェイはよくも悪くもイタリアの匂いが強すぎるんです。

1910~20年代の映画を観ると、皆ロングポイントのレギュラーカラーシャツを着ていますし、

そこに抑制された色気を感じるんです。

それは決して古めかしいものではなく、今の自分の中ではそういうレギュラーカラーが気分なんです

着丈が短めで内に肩が入ったイタリアのトレンドであるタイトなジャケットも、自分の中では何かが違います」

 

 

以前はアメリカの『スティング』『フィラデルフィア物語』など

1930~60年代を舞台にした映画を好んで観ていたそうですが、

リシュモン ジャパンに入って英国と関わるようになってからは、

『眺めのいい部屋』『シューティングパーティ』『炎のランナー』など、

1910~20年代のイギリスにフォーカスした映画を片っ端から観て、イギリス文化に傾倒していったそうです。

「映画を通して自分の行ったことのない風景と時間と色を体験できたし、

そこから本当にたくさんのことを学べました」と三原さん。

 

 

「私がいた頃のバーニーズはアメリカ、フランス、イギリス、イタリアの要素があって凄く面白いなって思っていたんです。

それと同じような匂いがダンヒルにはあって、売れるかわからないものでもずっと展開し続けていて

ブランドの世界観を表現しています。

どのアイテムも、イギリス、イタリア、フランスと、そのジャンルにおける世界の一流の生産者が手掛けていて、

名前こそオリジナルだけど、これが本当のセレクトショップだと思うんです。

ライターがあって、パイプがあって、よほどのニッチなファンの方以外は食いつかないかもしれませんが、

時計もジャガールクルトが手掛けているし、ビスポークスーツもボードンハウスの3階で製作しています。

鞄や革小物もウォルサムストウ製のものをビスポークできて、こだわりも凄いんです」

 

 

「ブレイシーズもリシュモンに入ってから愛用するようになりました。普段は見えるものではないけれど、

ネクタイとのコーディネイトで遊ぶとすごく楽しい。

イギリス人はネイビーのスーツに赤いソックスをふつうに合わせますし、

デイヴィッド・ホックニーなんかは左右違う色のホーズを履いたりもしています。

ブレイシーズもソックスもこんなに面白いんだってことにも気づかされました。

イタリア的にはパンツと色を合わせるとか靴と色を合わせるとか、あるいは靴下は履かないのがセオリーだと思うんですけど、

イギリス的には色も素材も、そのへんの遊びが違うんです」

 

 

基本的にひとつのブランドでまとめていながらも装いに独特の空気を感じるのは、

三原さんがお話ししたようなダンヒルというブランドの立ち位置もあるだろうし、

イタリアンクラシックも、モードも、アメカジも、そしてヴィンテージもすべて通過してきた

三原さんの経験が生んだ美意識が詰まっているからだと思います。

流行をそのまま着ることを否定はしませんが、もっと大切なのは自分の気分、自分らしい装いを大切にすることです。

それが自分らしければ取り入れればいいし、自分らしくなければ、それを意識的に避けることも大切なんだなって、

三原さんの装いは気づかせてくれます。

ウェルドレッサーだと言われている人たちは、きっとそこが違うんだと思います。

 

 

3月24日に発売される『THE RAKE JAPAN』Issue16では、「THE 10 RAKISH MEN 2017」という特集を組んでいますが、

そこに登場する世界の10名も、トレンドとは適度な距離を保ちながら自分のスタイルを大切にしている素敵な紳士ばかりですよ!