May 2018

VASILIY AND ETTORE PIACENZA

情熱はDNAによって受け継がれる

ヴァシリーとエットーレ兄弟が、14代続くイタリア、ビエラ地方の名門にして、
ラグジュアリー・ビジネスを牽引するピアチェンツァ家について語る。
text ben st.george photography kim lang

Vasiliy and Ettore Piacenza / ヴァシリー&エットーレ ピアチェンツァ老舗テキスタイル・メーカー、ピアチェンツァの14代目。13代目のカルロ・ピアチェンツァの息子たち。左が長男で、ブランドマネージャーのヴァシリー。右が次男で、素材買付けおよび生産部門責任者のエットーレ。
イタリア、ビエラに位置する、先祖代々の本社の外にて。

 贅沢な生地は、ラグジュアリーのシンボルである。クオリティの高いカシミアやビキューナが持つ、しなやかでリッチな風合いは、豊かさの象徴といえる。そして“ピアチェンツァ”こそ、そういった高級生地の代名詞である。ピアチェンツァの工場は、イタリアのビエラ地方の大草原にあり、夏には美しい花が咲き誇る丘に囲まれている。そこは贅沢な生地を生み出すのに、ぴったりな場所なのだ。会社にとって欠かせないのは、ヴァシリーとエットーレ・ピアチェンツァ兄弟である。ヴァシリーは34歳、エットーレは31歳という若さにもかかわらず、知恵と誠実さに溢れている。

ヴァシリー:「僕たちはピアチェンツァ・ファミリーの14代目にあたります。そして生地を売ることを生業にしてから8代目になるのです」

エットーレ:「ファミリービジネスの世界に入ることは、とても自然なことでした。われわれは子供の時から、この文化に慣れ親しんでいたし、本心からやりたいことでした」

ヴァシリー:「何か他のことをやろうなんて、一度も考えたことがありません。小さい頃に『大きくなったら、何になりたい?』と聞かれても、決して医者やF1レーサーなんて答えませんでした。私たちはファミリーのビジネスをやりたかったし、早く大きくなって、その一員になりたかったのです。われわれの父や祖父がやってきたように、です」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 21
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