Friday, August 17th, 2018

TIME STYLIST
お洒落の天才マーク・チョーという現象

かつてメンズスタイルといえばイタリア、イギリス、アメリカに分類されていた。
だが、マーク・チョーの登場以来、メンズファッション業界に国境はない。
クラシコイタリア、モダンブリティッシュ、アメリカンアイビーを自在にミックス、
さらに日本のクラフツマンシップをも見いだした彼のスタイルはどこから生まれたのか。
text yoshimi hasegawa photography ken wu@lightseed studio

マルチカラーのシルクリネンを使用したリングヂャケットのシングルブレステッドのジャケットにホワイトシャツ、ナポリ製ポメッラのグレイトラウザーズ。2プライの透け感が軽快感を与えるドレイクスのブラウンタイ。

VACHERON CONSTANTIN ヴァシュロン・コンスタンタン
創業1775年、時計師ジャン=マルク・ヴァシュロンがジュネーブで創業、2015年260周年を迎えた世界最古の時計メーカー。1955 年発表の超薄型ムーブメント、1.64mmのキャリバー1003など卓越した時計製造を誇る。

ヴァシュロン・コンスタンタン ref.4072は同社のクロノグラフを代表するモデル。1930年から80年代まで全製造数は1178 個で、そのうちイエローゴールドで現存するものはさらに少ない希少モデル。34mm というケースの小ささに加え、手書きのブラックエナメルで描かれた精緻なダイヤルは現行の時計では見ることができない。同社の技術とエレガンスが結晶した究極のタイムレスピース。

ジャケットにはドレッシーなクロノを合わせる

 このシーンはアーモリーの香港ストアのすぐ近くにあるモダン・チャイニーズのレストラン、ダドルズのパティオで楽しむブランチを想定した。
 カジュアルとフォーマル、双方が行き過ぎないようバランスを重視するのがマークのスタイル。ルミスのポケットスクエアのヴィヴィッドなブルー、明るい陽光にジャケットのシルクリネンの素材感が映える。ジャケットのブラウンのハウンズトゥースとタイのブラウン、ヴィンテージウォッチ独特の柔らかなゴールドのグラデーションで全体が調和している。
 色使いばかりでなく、これ見よがしなものを嫌う英国人気質に則り、紳士的な着こなしの辞書にはビッグフェイスの時計は存在しない。
 マークも普段から36mmや37mmといったスモールフェイスを好んでいるが、今回はさらに小さい34mm、ヴァシュロン・コンスタンタン 4072 のクロノグラフモデルを選んだ。
「同じクロノグラフでも2レジスター(ダイアル内の計器がふたつ)のほうが3レジスターのものよりドレッシーに感じるんだ。だからスーツやスポーツジャケットに合わせるときにこの時計はよく合うと思う」
 彼自身、この時計には特別な思い入れがあるという。
「最初にこのモデルを見たのは2012年のミラノだった。一目見て美しいと思ったが、あまりにも高価だったので、ひとまず考えようと思った。どうしても欲しくなって再び店に行ったら、既に時計は売れた後だった。それからその店のアレッサンドロと仲よくなって、付き合いが続いた。数年後に彼の父が持っている4072を売ることにしたと連絡があった。1930年代の初期モデルで古いヴァシュロン・コンスタンタンのロゴがある貴重なものだ。そういうわけで、幸運なことにこの時計のオーナーになったんだ」
THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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