Friday, August 17th, 2018

TIME STYLIST
お洒落の天才マーク・チョーという現象

かつてメンズスタイルといえばイタリア、イギリス、アメリカに分類されていた。
だが、マーク・チョーの登場以来、メンズファッション業界に国境はない。
クラシコイタリア、モダンブリティッシュ、アメリカンアイビーを自在にミックス、
さらに日本のクラフツマンシップをも見いだした彼のスタイルはどこから生まれたのか。
text yoshimi hasegawa photography ken wu@lightseed studio

Mark Cho マーク・チョー
1983年、英国ロンドン生まれ。英国、南アフリカ、香港、アメリカで育ち、米国ブラウン大学卒業後、投資会社を経て2010年、香港にアーモリーを設立。同年英タイメーカー、ドレイクスの共同オーナーに。現在アーモリーは香港、ニューヨークに合計3店舗、ドレイクスはロンドン、東京、ソウル、ニューヨークに合計5店舗を構える。

マークのスタイルを一目で物語るのが、紺のウールモヘア、サルトリア・チッチオによるダブルブレステッドのスーツだ。シャツをブルーに、ポケットチーフでなくラペルピンにすることで、ダブルでも派手でなく、端正で抜け感のある着こなしとなっている。

イタリア、英国、日本をミックスした独自のスタイル。フォックス・ブラザーズ製リヴェラーノ&リヴェラーノのジャケット、VBCの4プライ製ポメッラのトラウザーズ、ドレイクスのシルクタイ、カルロ・リーバ製アスコット・チャンのシャツはすべてビスポーク、福田洋平氏監修のアーモリー、オリジナルシューズ。

マークの世界観を堪能する場
「武器庫」を意味するアーモリーは装いの武器となるワードローブを構築する場として命名。男の視点から見た長く使える名品が揃う。香港は下記のランドマーク店の他にビスポークがメインのペダー店、アメリカにニューヨーク店がある。

THE ARMOURY / アーモリー
B47 Landmark Central, 15 Queen’s Road Central, Central,Hong Kong
TEL +852 2810 4990
www.thearmoury.com/

世界はいま、この男を中心に回っている

 このタイトルは大げさではない。2010年、マークが香港にアーモリーを構えたとき、イタリア、英国、アメリカのスタイルを同時に販売している店はごくわずか。さらにアジアのクラフツマンシップ、特に日本は言葉の障壁やビジネススタイルの違いから正当な評価を受けていなかった。
 ドレイクスがサヴィル・ロウ周辺に路面店を出したときも周囲に既製服を扱う店はほぼ皆無。その行方を疑う者も多かった。
 それから8年。周辺地域はメンズウェアの出店が相次ぎ、ドレイクス自身もタイメーカーから英国ブランドへと変身を遂げた。今やアーモリーが販売する日本ブランドに世界は賞賛を惜しまない。香港や中国の超富裕層は第二、第三のアーモリーを目指し、多くのメンズウェアストアが開店。アジアは急速な盛り上がりを見せている。ゲームの鍵を握るマーク・チョーは何者か?
 国籍はマレーシア、中国系の名を持つがホームタウンはロンドン。英国的な礼儀正しさと同時にアメリカ的フランクさがあり、それは彼のスタイルそのものだ。
 だが、その英語に強い英国訛りは感じられない。「英国で生まれ育つとアクセントや話し方でどこの誰かはすぐにわかる。でもそういう考え方は好きじゃない。そういう縛りから自由でいいと思うんだ」
 最大の強みは国籍、人種に縛られないユニバーサルさ。英国人として幼い頃から身についたスタイルとマナー、真のアイビーリーガーとしてトラッドに親しみ、業界が飽きていたイタリアンスタイルを新鮮さを持って新たに紹介した。典型的な西洋人でもなく、東洋人でもない。その自由でダイナミックな発想が世界のメンズウェア業界を牽引している。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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