August 2018

TIME STYLIST

お洒落の天才マーク・チョーという現象

かつてメンズスタイルといえばイタリア、イギリス、アメリカに分類されていた。
だが、マーク・チョーの登場以来、メンズファッション業界に国境はない。
クラシコイタリア、モダンブリティッシュ、アメリカンアイビーを自在にミックス、
さらに日本のクラフツマンシップをも見いだした彼のスタイルはどこから生まれたのか。
text yoshimi hasegawa photography ken wu@lightseed studio

Mark Cho / マーク・チョー1983年、英国ロンドン生まれ。英国、南アフリカ、香港、アメリカで育ち、米国ブラウン大学卒業後、投資会社を経て2010年、香港にアーモリーを設立。同年英タイメーカー、ドレイクスの共同オーナーに。現在アーモリーは香港、ニューヨークに合計3店舗、ドレイクスはロンドン、東京、ソウル、ニューヨークに合計5店舗を構える。

マークのスタイルを一目で物語るのが、紺のウールモヘア、サルトリア・チッチオによるダブルブレステッドのスーツだ。シャツをブルーに、ポケットチーフでなくラペルピンにすることで、ダブルでも派手でなく、端正で抜け感のある着こなしとなっている。

世界はいま、この男を中心に回っている このタイトルは大げさではない。2010年、マークが香港にアーモリーを構えたとき、イタリア、英国、アメリカのスタイルを同時に販売している店はごくわずか。さらにアジアのクラフツマンシップ、特に日本は言葉の障壁やビジネススタイルの違いから正当な評価を受けていなかった。
 ドレイクスがサヴィル・ロウ周辺に路面店を出したときも周囲に既製服を扱う店はほぼ皆無。その行方を疑う者も多かった。

 それから8年。周辺地域はメンズウェアの出店が相次ぎ、ドレイクス自身もタイメーカーから英国ブランドへと変身を遂げた。今やアーモリーが販売する日本ブランドに世界は賞賛を惜しまない。香港や中国の超富裕層は第二、第三のアーモリーを目指し、多くのメンズウェアストアが開店。アジアは急速な盛り上がりを見せている。ゲームの鍵を握るマーク・チョーは何者か?

THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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