Friday, January 25th, 2019

THE MODERN TENDENCIES OF THOM SWEENEY
サヴィル・ロウの最前線トム スウィーニー

英国テーラーにもかかわらず、イタリア風のソフトさを併せ持つ。
トム スウィーニーはかねて一目置く存在だった。
by tom chamberlin photography kim lang

 伝統的な技術と長きにわたる歴史を持つこの世界に参入し、今どきの若者にフィットするよう変革を起こしたテーラーリング・ハウスがある。昨年で創立10周年を迎えたトム スウィーニーである。
 ダブル・ブレステッド・ジャケットがトレードマークの私にとって、トム スウィーニーはかねて一目置く存在だった。彼らは、テーラーリングのなかでも最も保守的で堅苦しい分野を扱いながら、スタイリッシュで若々しく、時代に合ったスタイルを築きあげた。
 テーラーの名前の由来でもあるトム・ウィデットとルーク・スウィーニーのふたりは実にフォトジェニックで、ここ数年はテーラーリング界のアイコンとなっている。ティモシー・エヴェレストのもとで修業を積み、どちらもテーラーとしてサヴィル・ロウのライバルたちに勝るとも劣らない腕を持っている。そしてライバルたちが必死になって獲得しようとしているもの=“時代性”において抜きん出た存在である。
 素晴らしいアンバサダーたちや、ホースシュー・ウエストコート(フロントがU字形に開いたベスト)などのトレードマークによって頭角を現したが、世の中に迎合することはしない。ルークは言う。
「自分たちが着たいと思う服を作っていただけ。そこからサヴィル・ロウとイタリアの中間のような、当時としては珍しかったハウススタイルをつくり出した」
 彼らがどのように進化したか、トムが説明を加える。
「構造は大幅に軽くなり、キャンバス芯も軽いものになり、ショルダーはソフトになった。ロープド・スリーブヘッド(肩山)も柔らかい印象だ。これは、とても重要なことだ。英国のスーツで重要なポイントといえば、ロープド・スリーブヘッドだからね。私たちが作っているスーツには、柔らかさや丸みがある」

セットアップにした理由

 ここなら私に合うものが何か見つかるだろうか? THE RAKEの創始者ウェイ・コーは、いつも両極にあるふたつのレベルのフォーマリティをたしなんでいる。チフォネリの3ピースとシャツにタイを締めたスタイルも、ゼニアのビスポーク・ブレザーにマロルのデニムシャツとRRLのジーンズを合わせたスタイルも、それぞれさらりと着こなす。
 私も挑戦してみるものの、がっしりした体格のせいか、うまくいったためしがない。おそらく合わせる服を、十分に持っていないことも問題なのだろう。そこで、私はセットアップを選択した。ルークによれば、セットアップは 「今の私たちのビジネスにとって重要な部分。私たちのソフトな服作りは、そういうスタイルに合っている」とのことだ。
 トム スウィーニーのヘッドカッター、イーセン・スウィートは、このテーラーの陰の立役者だ。年齢は若いが評判のカッターで、THE RAKE のファッション・エディター、トム・スタッブスも、彼のことをこう称賛している。
「彼によって、トム スウィーニーに新たな評価が与えられた。仕立てについて、細かく科学的に分析するという、まるで建築家のような才能を持っている」
 私も同感である。特に、一目でわかるトレードマークとなるようなものを作るという点で、彼は建築家に似ている。
 雑誌『ザ・ジャッカル』の副編集長を務める、アレックス・ツヴェトコヴィッチも、スウィートのことを高く買う。
「彼は英国のビスポーク・テーラーリング界で、今最も面白く、並外れた才能を持つカッターのひとりだ。2年半前に初めて会ったときから、ずっと尊敬の念を抱いてきた。彼は芸術のひとつとして仕事に向き合い、技術的な正確さと同時に、よい服を作りたいという情熱とこだわりを持っている。仕事に対して理屈っぽくなりすぎるテーラーもいるが、彼は違う。カッティングの技術はもちろん、常に顧客のことを考えて、着心地の良い最高級のスーツが完成するまで見届けてくれる」とベタ褒めである。
 スウィートのことからも、トムとルークの才能を見る目が確かで、ビスポーク・テーラーリングの未来の担い手を育てようとしている姿勢がよくわかる。

私の好みを反映して、ラペルの幅を広げ、ゴージラインを下げるようにチャコで印が付けられた

ウール製フレスコ地とコットン製デニム地のアンサンブル。ジャケットとトラウザーズがコントラストを描く

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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