Tuesday, September 25th, 2018

SEASONAL ADJUSTMENT
ツイードと、フランネルと

秋冬素材の代表格といえば、ツイードとフランネルである。
共通するのは、英国に生まれ、さまざまな表情を持つということだ。
紳士のワードローブに不可欠な、ふたつの素材の魅力を探る。
text christopher modoo photography neil gavin fashion direction veronica perez

ノーフォーク・ジャケットを街着として
かつてはハンティング用であったノーフォーク・ジャケットを街着として。素材はネップの入ったドニゴール・ツイードである。シャツやスカーフなどのドレスアイテムから、ジーンズのようなカジュアルアイテムまで、何にでもコーディネイトできる1着だ。

ノーフォーク ツイードジャケット Lucan by The Rake
ブルー・コットン ストライプシャツ ¥23,000 Drake’s
インディゴデニム 参考商品 Wrangler
ベルト R.M. Williams
手袋 ¥92,000 Brunello Cucinelli

STYLING: CHRISTOPHER MODOO
FASHION ASSISTANT: HANNAH ENDERBY
GROOMING: SARAH EXLEY USING GOLDFADEN MD AND PERRICONE MD
MAKE-UP: DAISY HOLUBOWICZ USING LAURA MERCIER
MODELS: MAXIME DAUNAY
LOCATION: JJ MEDIA

 秋冬素材の代表格といえば、ツイードとフランネルにトドメを刺す。
 ツイードの故郷は、スコットランドだ。“ツイード”の名前はゲール語から来ている。ホーウィックのミルから布地を仕入れていたロンドンの生地商が、ゲール語の“ツイール”(=綾織)を誤読したのが始まりらしい。そのミルから数マイルしか離れていないところに、ツイード川という川があり、間違いやすかったという。ツイードは、19世紀において、狩猟や釣りのための、スポーツウェアとして人気だった。それぞれの領地でツイードが織られ、愛用されていた。
 ウインドウペインやシェファード・チェック、ハウンド・トゥースなどの柄がある。それらのうち、最も有名なのは、インヴァネス州のシーフィールドで生まれた、グレンチェックであろう。
 ヴィクトリア女王の息子であり、将来のエドワード7世が、その地でハンティングを楽しむ際に愛用したことで知られ、それは“プリンス・オブ・ウェールズ・チェック”(グレンチェックにブルーの格子模様が重なったもの)へと発展した。
 ハリス・ツイードは、ルイス島とハリス島からなる、アウター・ヘブリディーズ諸島にて、今もすべて手織り機によって織り上げられている。
 映画『007 ゴールドフィンガー』のショーン・コネリーや、TVシリーズ『ザ・セイント天国野郎』のロジャー・ムーアは、ツイードの着こなしの手本である。
 かつてスーツがとても高価であり、人々がひとつかふたつのスーツしか持てなかった時代では、カジュアル・ユースのツイードジャケットを持っているということは裕福さの象徴だったのだ。

カジュアル素材だったフランネル
 フランネルは、もともと夏用の生地で、クリケット、テニス、サイクリングなどのスポーツの際に使われていた。時代は変わり、現代では秋冬のパンツ素材として人気がある。ウーステッドやサージなどの梳毛素材と違い、フランネルは表面が毛羽立った紡毛素材であり、それがカジュアルなエレガンスを生む理由である。
 代表的なフランネルの色はグレイだ。エクリュ、チャコールなどさまざまな色をミックスして織られる。フランネルのミルとして世界一有名なフォックス ブラザーズの特徴は、やや黄色がかった色調だ。それは“オシッコ色”とも表現される。デザイナー、アラン・フラッサーは、「もし新しいジャケットを買おうか迷ったら、グレイのフラノパンツと合うかどうか考えよ。もし難しそうなら、止めたほうがいい」と書いた。
 優秀なビスポーク・テーラーはフランネルの生地を好む。グレイのプレーンな生地は、ラペルのソフトなロールや肩山のふくらみ、胸のボリューム感など、彼らのカットと縫製テクニックを際立たせてくれるからだ。
 たくさんのデザイナーが、フランネルを好んで使っているが、その白眉はラルフ・ローレンだ。彼のコレクションは、フランネル・スーツのドレスダウンの手本である。カシミアのタートルネックとタバコ・スエードの靴を履けば、超一流のエレガント・カジュアルの完成だ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 24