Monday, June 11th, 2018

SARTORIA SOLITO
ナポリの名門“ソリート”の服はどこが普遍的なのか

一流サルトリアの服は流行に左右されることがない。
彼らの服作りの心はむしろ流行の対岸にある自分らしさ、すなわちスタイルを大切にすることにある。
サルトリア ソリートにも普遍のスタイルがある。
text yuko fujita photography jun udagawa styling akihiro shikata

Luigi Solito ルイージ・ソリート
1977年生まれ。ナポリのトレド通り256番地、ガッレリア ウンベルトの向かいに工房を構えるサルトリア ソリートの3代目。ロンドン、ニューヨーク、東京、香港など世界中を飛び回ってトランクショーを開催している。父ジェンナーロもバリバリの現役だが、トランクショーで自ら採寸した注文は、彼自身で裁断している。

サルトリア ソリートのスーツは、肩肘張らずに着られるスポーティさが特徴。スーツでも2パッチポケットを好み、シャープにしすぎず甘い感じを残しているのが、彼らの持ち味だ。これ見よがしなディテールは好まず、控えめのエレガンスも備えている。仮縫いと中縫いを経て最短9カ月で納品されるビスポークスーツは¥600,000~(ジャケットは¥500,000~)
Sartoria Solito(シャロン TEL.03-6418-5131 http://sharon-shop.jp/

ビスポークの上着を手に自分たちの服の説明をするルイージ。昨今のビスポークシーンは玉石混交だが、ソリートは絶対的にナポリの至宝だ。すべてのバランスが自然で、肩から首の後ろにかけての吸い付き具合も見事。

Gennaro Solito ジェンナーロ・ソリート
1945年生まれ。若々しい印象の上着でありながら品のよさも備えた服を仕立てるソリートの2代目で、ナポリが生んだ偉大なるマエストロ。70年代、彼が今のスタイルのベースを築き上げた。今も裁断台が指定席で、毎日朝から晩まで一切手を休めることなく仕事し続けている。

アピールする服は好まない
美しいと思う服を作り続けている

 ソリートの服は“のぼり”が大変美しく、上の写真でルイージが着ている服も、動きに追従して体に吸い付くようにフィットしている。ナポリのサルトリア界でもトップ・オブ・トップを走る彼らが得意としているのは、意外にも肩肘張らないスポーティさを備えた服。バキバキのヴィンテージ生地よりも程よくしなやかな現代的な生地のほうが相性はよさそうだし、同じナポリの超一流でも、ルビナッチやパニコとは趣を異にする。自然体で程よい若々しさがあって、その分着る人が構えない服という点では、ソリートの服は究極だ。ビスポークで仕立てられたダブルの上着を手に、3代目のルイージが語ってくれた。
「副資材は極力省いて肩のラインを自然に出すことを大切にしています。アームホールも鎌が浅いため、腕の可動域が広く、動かしても肩のラインが崩れません。後ろ襟が首に吸い付いている私たちの服は、よくセーターのような着心地と形容されます。それと、私たちはアピールしすぎる服を好みません。例えばダブルのラペルの剣先は、上を向きすぎていたり横向きのものは主張が強く感じられるので、高さや角度も含めて自分たちが美しいと思うスタイルで収めています。父の代になった70年代からスタイルはほとんど変わっていません。私たちの伝統的なスタイルの特徴を強いて言うなら、スーツでもパッチポケットを好む点でしょうか」
 青山のセレクトショップ「シャロン」にて年4回のトランクショーを開催しているが、仮縫い・中縫いを経るので、納期は最短で9カ月。それでも彼らのビスポークは日本でも凄まじい人気を誇っているが、素晴らしいソリートの服をもっと気軽に知ってもらいたいとの思いでシャロンが始めたのが、ゼロから共同開発したプレタポルテだ。年間生産数は50着が限界ゆえ、入ってもすぐに売れてしまうそうだが、それでもプレタの存在は彼らのスーツを知る素晴らしいきっかけとなる。
「プレタは私たちの服を知ってもらう入口として最適です。今まで私たちのビスポークの服を縫っていた職人をプレタ専門として確保し、何度も修正を加えてようやく形にできた自信作です。シャロンでのみ手に入るこちらがきっかけとなって、そこから私たちのビスポークの世界に入ってきてもらえると嬉しいです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 22
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