February 2018

REEL BRITANNIA

ハリウッドを占拠した英国人俳優

text james medd

ロナルド・コールマン(1940年代)

浸透した横柄な態度 マスコミは植民地という表現を好んで売り込んだが、逆行した者も存在した。1930年代のスター、ロナルド・コールマンはハリウッドでなんとか典型的なイギリス人を保っていた。クリケットには参加し、イギリス人役者仲間のベニータ・フュームと結婚したが、その他は母国に先入観のない少数の仲間とだけ交わっていたのである。しかし、ニーヴンの言葉を借りると「すべてを避け、世捨て人のようにつながりを持たなかった」という。

 だがコールマンも、アメリカに対しイギリスの方が上位だという態度は、他のイギリス人と同じであった。少なくとも軽蔑の意を含み、新聞社に「カリフォルニアの美しさ、温かさ、色をとても愛しているが、ここでは判断力を失わずにはいられない」と語ったこともある。9年後、セドリック・ハードウィックは「神が俳優たちに同情し、“才能”と引き換えに、太陽とスイミングプールを与えてくれた」とも述べた。

 概して、英領ハリウッドでは、アメリカに対する明らさまに横柄な態度が目立った。シェリダン・モーリーが語った、祖母の家でのお茶会での出来事がそれをよく表している。ゲストの中に見知らぬ人物を見つけ、ベテランのイギリス人俳優が女主人を呼び寄せ「君の庭にアメリカ人がいるようだ」と言ったという。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 09
1 2 3 4 5 6 7 8

Contents