October 2017

PRINCE AMONG MEN

20世紀を代表するプリンス

貴族に生まれ、5カ国語を操り、ハリウッドの帝王とも本物の王族とも
ファーストネームで呼び合う間柄だったら……そんな想像をしてほしい。
マルベーリャ・クラブの創業者、プリンス・アルフォンソは、まさにそういう男だった。
text nick foulkes

プリンス・アルフォンソ・フォン・ホーエンローエと妻のイーラ・フォン・フュルシュテンベルク(1950 年代頃)

「私は社交界と縁が深いし、いわゆる“ジェットセッター”だが、プライベートジェットは所有したことがない。でも、貨物機は3機持っているし、スペイン、オーストリア、メキシコのパイロット免許も持っているよ」

 2001年暮れにマルベーリャ・クラブの伝説的な創業者、プリンス・アルフォンソ・フォン・ホーエンローエにインタビューしたときの記録が、先日たまたま出てきた。この言葉は黄ばんだタイプ用紙から選んだものだ。

 エリザベス2世の戴冠にあたってチャーチル元首相と専用列車で16時間かけてポーツマスへ赴いたときのエピソードも捨てがたい。戴冠式では賓客として特別待遇を受けた。一族の家長が、フィリップ王配の姉と結婚していたからだ。若い頃にフレッド・ペリーとテニスの腕を磨いたという逸話も興味深い。

「私は幸運なことに、ごく若いうちに世界の一流選手とプレイする機会があった」とアルフォンソは語った。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 18
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