June 2017

OMEGA MASTER

私がオメガを愛する理由

時計の美しさや機能性、歴史、ブランドのスピリット……
そして投資価値を見極めつつ集めたレアもの満載のコレクション。
text miki tanaka photography alessandro ottavianni
AO1_9623

Alessandro Squarz / アレッサンドロ・スクアルツィイタリア・リミニ出身。ミラノ、ボローニャ、フィレンツェなどイタリア主要都市に、自身の名を冠したショールームを経営する敏腕エージェント。また本人がプロデュースしている服飾ブランド「フォルテーラ」、靴ブランド「ミスター・タンブリン」ではクリエイティブ・ディレクターを務める。1989年より時計コレクター。

 最近のメンズファッション界の流れで注目されるのは、カリスマエージェントたちの動きだ。本来商品を紹介する立場だった彼らが今はトレンドを作っている。そんな流れの先駆けであり、最もホットな話題を生む男といわれるのがアレッサンドロ・スクアルツィ。彼の成功はビジネス的な先見の明や審美眼に、個人的なセンスのよさやクリエイティビティを持ち合わせているところにあるだろう。

 それは彼の時計選びにも表れていた。他の時計もたくさん所有するが、彼が今一番夢中になっているのはオメガ、特にスピードマスターだという。なぜか? アレッサンドロはいくつかの理由を挙げる。

「まず、オメガはスポーティな高級時計としてはロレックスと双璧をなして歴史を作ってきたメーカーですが、ロレックスほど宣伝もせず、新モデルを開発してそれを他社がコピーしても抗議もしない。そんなブランドの心意気が好きなんです。そしてスピードマスターは初めて月に行った時計だという歴史的価値を何よりも評価したいし、そのような究極の状態に耐えうる時計として研究された機能性の高さにもひかれます。さらにコレクションの醍醐味は、投資価値の高さにもあります。オメガ・スピードマスターが月に初上陸したのが1969年、つまり2年後に50周年を迎えるにあたり、これからぐっと価値が上がると私は読んでいるんです」

 実は彼がオメガのコレクションを始めたのは12年前。骨董市で初めて買ったオメガ・シーマスターを専門家の友人に見せたら実はそれは偽物だったと判明したことに始まる。それなら本格的に勉強してコレクションしようと奮い立ち、今は時計コンサルタントの友人カルロや時計技師エウジェニオを味方に、その助言に従いつつコレクションを続ける。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 14
1 2

Contents