Tuesday, November 8th, 2016

LEGENDARY SCOTCH WHISKIES
幻のウイスキーを訪ねる旅

ラグジュアリーでクールなスピリッツとして、今、世界中でウイスキー熱がヒートアップしている。
特に注目が集まっているのは、風土や造り手のこだわりで大きな個性が生まれるシングルモルトだろう。
幻と呼ばれるシングルモルトとその原点を探して、スコットランドの蒸留所を訪ねた。
text yuka hasegawa photography kumi saito
Issue07_P174_01

Neil Ridley ニール・リドレイ
(ウイスキー・ライター)
世界で愛読されているウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」編集主幹であり、メディアに精力的に寄稿する著名ライター。ロンドンを拠点にウイスキーのコンサルティングを手掛けるエージェントを主宰する。

NEIL RIDLEY
英国ウイスキー界の貴公子
 
「年代物のスコッチを開けることは、タイムカプセルを開くような興奮がある」と語るニール・リドレイ氏。世界的に権威のある「ワールド・ウイスキー・アワード」のチェアマンを務めるウイスキー専門家である氏に、オールドボトルの魅力を聞いた。

 ロンドンは今、空前のウイスキー・ブームに沸いている。バーのシニア・バーテンダーは店のシングルモルト・コレクションの充実にしのぎを削り、各地で開催される一般向けウイスキーイベントは活況を呈す。「ここ数年ウイスキーは、まさに黄金時代を謳歌しています。一昔前まで、年配の紳士が嗜むオールドファッションな高級酒のイメージが強かったスコッチは、昨今華麗な変貌を遂げ、スコッチを飲むことが“クール”になった。中でもシングルモルトのファンは、幅広い年齢層において急増している」とニール・リドレイ氏。「スコットランドのどこで蒸留され貯蔵されたか、熟成樽の選択、熟成年数などによってスコッチの多様なキャラクターが決定づけられる。20年物、30年物、50年物と、造り手の頑固なこだわりと自然が育む熟成によって生み出されるシングルモルトには、膨大な年月を経た“ストーリー”がある。年代物のスコッチを開けることは、タイムカプセルを開くような興奮があり、アロマやフレーバーが溢れ出てくる。オールドボトルの愉しみはそこにあると思う」
 例えば「マッカラン1948」(写真上)。当時同社はピートを使って麦芽を乾燥していたので、ややスモーキーな味わい。さらに蒸留所が増産体制へ移行する1960年代以前に蒸留されたオールドボトルは、近年のそれとは違った深みがあると言われている。「ヴィンテージの記されたオールドボトルを飲みながら、よく蒸留年について思いを馳せたりする。投資のために購入する人も増えていますが、私は趣味のピアノを弾きながら、ゆったりとした気持ちでオールドボトルの持つ“ストーリー”を満喫する時間が好きです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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