Tuesday, November 8th, 2016

LEGENDARY SCOTCH WHISKIES
幻のウイスキーを訪ねる旅

ラグジュアリーでクールなスピリッツとして、今、世界中でウイスキー熱がヒートアップしている。
特に注目が集まっているのは、風土や造り手のこだわりで大きな個性が生まれるシングルモルトだろう。
幻と呼ばれるシングルモルトとその原点を探して、スコットランドの蒸留所を訪ねた。
text yuka hasegawa photography kumi saito
Issue07_P167_01

スコットランドの南西に位置するアイラ島の、荒々しい海岸沿いに威風堂々と立つアードベッグ蒸留所。アイラ島は、日本の淡路島ほどの面積をもつ小島に8つのウイスキー蒸留所を擁し、“スコッチの聖地”と言われている。中でもアードベッグはアイラ島屈指の個性的な銘柄として名高く、世界中に熱狂的なファンを抱える。

ARDBEG, Islay
アイラ島に甦った、ピート・マジック

1991年の工場閉鎖という危機を乗り越え、1997年に華麗なるカムバックを果たしたアードベッグ。今年創業200周年を迎えたアイラの雄の、自由な発想でピートを自在に操るスコッチ造りの真髄とは―

 世界中のウイスキー・コレクターたちに熱狂的に愛されている、アイラ島のシングルモルト。八方を海に囲まれたこの島の8つの蒸留所が、長年受け継いできた職人技を駆使して熟成する琥珀色の液体は、スモーキーかつ潮の香りを含んだピートを感じさせる強い個性でファンの心を掴んでいる。ピートとはスコットランド特有の泥炭で、麦芽(モルト)を乾燥させる際にピートを燃やしスモーキーな味わいをつける。アイラモルトの中で、大胆なピート使いで常に先進的なボトルをリリースしているのがアードベッグだ。
 特に通常の2倍以上のピートを炊き込んでいる同社の「スーパーノヴァ」シリーズは、愛好家の間でカルト的人気を誇るコレクタブルなアイテム。胡椒のようなスパイシーさとハーブのアロマが特徴だ。
「ピートの数値は確かに高いですが、蒸留過程において特別な精留器を取り付けた再蒸留釜を使い、クリーンでフルーティーなアロマを生み出しています。これが野性的な力強さと繊細さを併せ持つアードベッグのDNAと言えるでしょう」と話すのは、同蒸留所長 マイケル・ヘッズ氏。また、創立200周年を記念して世界400本限定発売でリリースされた渾身の逸品「アードベッグ1815」も大きな話題になっている。「個人的に好きなヴィンテージは、『アードベッグ1977』。フルフレーバーで丸みと深みを持つ。まさに同社のウイスキー造りの哲学を体現した逸品。めったに市場には出回わらないのはとても残念ですが……」とヘッズ氏は笑った。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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