Thursday, December 27th, 2018

I’VE SEEN THE LIGHT
初めてのモーニングコートを誂える

モーニングは英国文化

 モーニングコートの製作を決意した私に、シャリーがさらなる助言をくれた。「真に完璧で正しいものにするために、イギリスのテーラーへ行ってはどうだろう」と言うのだ。そこで私が向かったのは、サヴィル・ロウの老舗ハンツマンだ。
 カッターのダリオ・カルネラ氏は、きわめて謙虚で親しみやすい男性だ。私は彼にすべてをお任せすることにした。ロイヤル・エンクロージャー(特別観覧席)で、私が成り上がりアジア人のように見られる事態を、この人なら防いでくれるだろう、という期待を込めて。
 ブラックのモーニングのジャケットとウエストコート用に、カルネラ氏は10.5オンスのフェザー織りを選んだ。これは、夏用の細かいヘリンボーン地である。
「これがモーニングコートに使用する最も伝統的な生地です」とカルネラ氏。グレイのモーニングスーツ用に彼が選んでくれたのはシャークスキン・ウールだ。モーニングスーツを1色で仕上げたいときに推奨される。ウエストコートには、ドレススリップが取り付けられた。
 私が“カシミア”トラウザーズの柄として、より大胆なストライプはどうかと思ったとき、彼は「少し過剰かもしれない」と、やんわり諭してくれた。言い換えれば、それではサーカス小屋から逃げてきたように見えかねない、ということだ。彼はこう付け加えた。
「カシミアという用語は、生地ではなくストライプ柄を指しています。生地はウール100パーセントなんですよ」
 そして私には、そのモーニングコートを着るのに最適なふたつの場が待っていた。ロイヤル・アスコット競馬と大切な友人、ルカ・ルビナッチ氏の結婚式だ。見事なモーニングと素晴らしい仲間に囲まれた思い出は、これからずっと残るだろう。

完成したグレイ・モーニング。バックのボタンはかつて前裾を留めていた名残り。シャツとタイは、パリのシャルベにて調達。木製の柄のついた傘を持つのが正しい。


1676 年創業、現存する世界最古の帽子店といわれるロンドン、ジャーミンストリートに位置するジェームス・ロック&コーにて。トップハットの寸法を正確に合わせられるよう、有名な形態測定器で頭の形を採寸する。素材は現在ではラビット・ファーが使われている。厳密にはグレイ・モーニングにはグレイの帽子を合わせるのが正しいが、ここはあえてブラックの帽子をコーディネイト。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 25
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