Tuesday, October 23rd, 2018

マーティン・フリーマン ロングインタビュー
‘IT’S THE CLOSEST I’LL EVER GET TO BEATLEMANIA’

text nick scott photography simon emmett fashion and art direction sarah ann murray

シャツ Mark Powell
ニットタイ ¥19,000 Ralph Lauren Purple Label
シルクのポケットチーフ Budd Shirtmakers
靴「バーリントン」参考商品 Gaziano & Girling
スーツ Mark Powell 本人私物

『ターゲット』(2010年)

『銀河ヒッチハイク・ガイド』(2005年)

フリーマン主演の『ファーゴ』(2014年)

ファッションへの強いこだわり

 彼は洋服の話になるとがぜん生き生きとして見える。この日は、薄く柄が入った長袖のTシャツ、スリムカットのダークブルーのジーンズ、見るからに高級なブルーのデザートブーツというパンチの効いた着こなしだった。人生のほとんどを、ファッションへのこだわりを持って生きてきたという。洋服に目覚めたきっかけは、ツートーン(1970年代後半のスカのリバイバル)だった。
「9歳くらいの頃、初めてマッドネスとかザ・スペシャルズ、ザ・ビートとかを見て、自分の中の何かが目を覚ましたんだ。ザ・スペシャルズの音楽を楽しむのに、ジェリー・ダマーズと同じ格好をする必要もない。そのせいか、まずは音楽から入って、洋服はその後だった。もう少しダンディな要素は、ザ・スタイル・カウンシルに影響を受けたよ。ポール・ウェラーとミック・タルボットは誰よりもお洒落だったからね」
 今回の記事の写真からも分かるように、フリーマンにはクラシックでエレガントなスタイルがよく似合う。衣装には彼の私物も含まれているのだ。しかし、彼のファッションへのアプローチは多面的である。男らしい装いの中に、どこか女性らしさが漂うようなスタイルをずっと好んできたという。
「モッズムーブメントは、西インド諸島出身者たちの影響も大きかったけど、ゲイの影響なしでは起こらなかったんじゃないかな。1965年に自らをモッズと呼んだ人たちのほとんどは、ゲイとして知られるオスカー・ワイルドの本を読まなくちゃ、と必ずしも考えていなかっただろうけど、やっぱり生まれながらの女性っぽさがないと、あのスタイルは完成しなかったと思う。実際、モッズが流行する前、人々はあんな色を着なかったし、洋服にそれほど関心を抱いていなかった。どちらも本質的に女性っぽいことだと見なされていただろうからね。僕らが話しているのは、まさに染みひとつない仕立てのいい服を着ながら、ハンマーを持ち歩いて人の顔を叩きつぶす少年たちのことだ。暴力は嫌いだけど、ああいう若者のグループみたいなものがなくなったのは、ちょっと寂しいよ。彼はこう、彼はそうっていうのが好きだった。僕は違いがあることが好きなんだ」
 メディアでは、フリーマンに対して「モッズ」という言葉が使われるが、彼は昔のポップカルチャーの流行を嫌悪している。「あやしげな年配のモッズとよく話す機会があるんだけど、一番うんざりするのは、いまだに1966年にこだわって、それ以降に起こったことは全部くだらないって言い張る人たちだ」と彼は言う。
「新しいものを受け入れよう、今を受け入れようっていう現代の流れと逆行していると思うよ」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 09
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