Saturday, September 23rd, 2017

Concorso d’Eleganza Villa d’Este ReportbrTHE AGE of ELEGANCE

蘇る「旅の時代」
現存する世界最古のヒストリックカー・コンクール「ヴィラ・デステ」。
今年は、例年に増して華やかなヒストリーを秘めた車がイタリア・コモ湖畔を飾った。
text akio lorenzo oya photography bmw japan
issue17_p144-145

5月26-28日に開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの会場で。毎年審査クラスの名前につけられる洒落たタイトルも、ゲストたちの密かな楽しみだ。今年それは「スピードの悪魔たち」「スタイリッシュな旅」「グッバイ・ジャズ、ハロー・ラジオ」「速く、静かに、滑らかに」「グラントツアーは続く」「プレイボーイの玩具」「大きな子供の小さなトーイ」そして「スピードが生んだシェイプ」であった。

THE AGE of ELEGANCE
蘇る「旅の時代」

 「八十日間世界一周。記録の時代における旅」̶2017年ヴィラ・デステ・コンクールのテーマである。これには理由がある。
 会場で、もともと枢機卿の館であったコモ湖畔のヴィラ・デステが、グランドホテルとして生まれ変わったのは1873年のことであった。いっぽう、SF小説の父ジュール・ヴェルヌによる「八十日間世界一周」の初版が刊行されたのも、グランドホテル・ヴィラ・デステ誕生と同じ1873年だったのだ。
 小説にとどまらず、19世紀後半の知識階級の関心は鉄道や蒸気船を用いた世界一周旅行に向けられていた。
 やがて世紀末になると、自動車が誕生する。馬車時代の流れで最初は御者ならぬ運転手に操縦を任せていた貴族たちは、まもなくその新しい乗り物の魅力の虜となる。ドライバーズシートを奪って自ら運転し始めた彼らは、「より速く、より遠く」を目指し始めたのであった。さらにレースやスピード記録に挑戦する貴族たちも現れた。
 今回は、そうした時代の精神を受け継いだ車たちにスポットを当てる企画だった。
 5月末、時代を超えて多くの旅人たちに愛されたグランドホテル・ヴィラ・デステはむせるようなジャスミンの香りに包まれていた。そして女性ボーカリストが映画版「八十日間世界一周」のサウンドトラックを歌う向こうに、51台の車たちが湖畔の陽光を浴びながら並んでいた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 17
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