Friday, August 18th, 2017

Charged Affairs

外交官ハレンチ物語
外交官の仕事は謎に包まれており、インモラルな駆け引きに満ちていたようだ。
そしてその私生活も、これまた大いに奔放なのである。
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不正そしてまた不正

 もちろん、外交官の弱点はセックスがらみとは限らない。米国の検察当局によれば、アンティグア・バーブーダ出身のベテラン外交官で国連総会の議長を2013年9月から1年間務めたジョン・W・アッシュは、不動産取引の便宜を図る見返りに中国の業者から100万ドル以上の賄賂を受け取ったという。
 昨年はルネッサンス以来の伝統を誇るフランスの外交部門の不祥事も、事件記者ヴァンサン・ジョヴェールが書いた暴露本で明らかになった。派手な装いやスターとの交友で知られるブルーノ・ドゥレーというフランス大使は、外務省への報告なしにマドリードの公邸を高級ブランド各社に貸し出し、2008~2011年の間に91,000ユーロを得たとされている。
 クラブやレストランから高価なボトルワインをくすねたとして、中国当局から国外退去処分を受けた香港総領事もいたらしい。
 また、フランスの下院はアラブの春の後も某独裁政権を支持するよう外交官から助言を受けたが、その外交官は件の独裁者と、クリスマス休暇を過ごしたばかりだったという。
 70年代中盤に報じられた、イランの外交官アルデシール・ザーヘディとエリザベス・テイラーのロマンスは、のちに『ヴァニティ・フェア』誌から「優雅で密やかなアバンチュール」と評された。

かつての宗主国と植民地の恋愛

 エリザベス2世の即位60周年である2012年には、最後のインド総督にしてチャールズ皇太子の大叔父にあたるマウントバッテン伯爵が、戦時中にスコットランド人執事のロイ・フォンテーンと同性愛の乱交に興じていたことが暴露された。
 噂では、この乱交パーティに脚本家のテレンス・ラティガンやオーストリア生まれのラジオコメディアン、ヴィク・オリバー(ウィンストン・チャーチルの娘婿)も参加していたという。
 お相手のフォンテーンはメチャクチャな人物だった。外見はチャーミングで洗練された若者だった彼は、アラブのシャイフやテキサスの億万長者になりすまして宝石泥棒を重ねた。国家機密が詰まったブリーフケースを盗んで、ロシア人に売ろうとしたこともある。
 一説によれば、ある犯罪を犯したときに、ヒース内閣のセックススキャンダルをばらすと脅して、寛大な判決を受けたこともあるらしい。
 やがてフォンテーンは軽犯罪のみならず、凶悪犯罪にも手を染めるようになった。元閣僚のウォルター・スコット=エリオット卿を含む5人を殺害したのである。
 マウントバッテン伯爵がニューデリーにあるコロニアル様式の邸宅で羽目を外していることを、マウントバッテン総督夫人はすべてお見通しだったらしい。
 1922年に結婚した夫妻は非常に裕福で(夫人は金融界の大物であった祖父のアーネスト・カッセル卿から、まだ20代の頃に200万ポンドを相続した)、結婚後もオープンな関係で知られていた。マウントバッテン伯爵夫人側も、さまざまな恋愛を謳歌していることは、社交界でも周知の事実だったのだ。
 そのハイライトは独立インドの初代首相ジャワハルラール・ネルーとの関係で、かつての宗主国の総督夫人と独立を果たした国の首相との恋愛として、噂の種になったのである。インドでは、ネルーとマウントバッテン夫人の関係がいまだに憶測を呼んでいる。マウントバッテン夫妻の娘パメラは、両親とネルーを「幸せな三角関係」と評したらしい。

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ロイ・フォンテーン(本名:アーチボルド・ホール)。

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ヴィク・オリバーと妻のサラ・チャーチル(1936年)

THE RAKE JAPAN EDITION issue 17
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