Wednesday, August 29th, 2018

A FLOATING PARADISE
成功者のみが手にできる水上の楽園

イタリアのラグジュアリーボートメーカー、リーヴァの進化を象徴するモデル、
「リヴァマーレ」はまさに史上最高に洗練されたプレジャーボートだ。
text nick scott
photography piers cunliffe

伝統を継承し誕生したリヴァマーレ

 ターコイズブルーとグリーンのストライプがあしらわれたリーヴァのボートヤードから「リヴァマーレ」が登場する様子を目の当たりにすれば、カルロも自らが遺したブランドにふさわしい船だと納得したに違いない。しなやかなカーブを描くマホガニーが印象的な39フィートの「リヴァマーレ」は、スピードと官能性の相乗効果を見事に実現している。通なファンが好むグレイの魅力的なメタリックバージョンをはじめ、リーヴァらしいカラーをもれなく取り入れたこのモデルは、停泊しているときでさえも、瞬時に水を切って飛んでいきそうな風貌だ。
 間近で見ても、そのデザインコンセプト、中でもリーヴァの伝統を受け継ぐディテールは実にすばらしい。航海灯はステンレスの船首やアンカーと一体化しており、二重湾曲ラミネートクリスタルウインドウはマホガニーの甲板パネルを引き立てている。アルミニウム合金のカバーで覆われたマリンホーンや、全体にカーボンファイバーを配したコントロールパネルも非常に魅惑的な仕上がりだ。
 また、ハッチの上のサンパッドや、テーブルを囲むC形のソファ、引き出し式のカクテルサーブエリアがホスピタリティを高めている。独立したキッチンやバスルーム、折り畳み式のダブルベッド、ウォールキャビネットや革張りのドアパネルのある船内は、まるでモナコのマリーナに並ぶ純白の大型クルーザーに設けられた特別な客室のようである。
 このモデルは“スピードボート界のフェラーリ”という呼び名に恥じない性能も兼ね備えている。D6-400/DPHボルボ・ペンタ・エンジンの2基掛けで40ノット(時速約74キロメートル)の最高時速を実現する一方で、ジョイスティックで操船すれば、初心者でも楽に横付けすることができる。技術面で特筆すべきは、停泊中の横揺れを抑えるシーキーパーのジャイロスタビライザー(NG5)を搭載していること。シャンパンを飲んでも船酔いは治らないと悟るパーティーピープルにも喜ばれる機能だ。

築き上げた確固たる地位

 リーヴァの船は、目には見えないが確かに存在する独自の企業文化を体現するもので、サルニコのボートヤードで働くスタッフ400人の誠実さ、熱意、卓越した職人技の結晶だとガラッシは語る。
「ボートを造るには、高度な技術を持った特別な人材が必要です。彼らは単なる労働者ではなく、ひとりひとりが優れた職人なのです。どんなに若いスタッフでも、入社初日からリーヴァのスピリットを肌で感じて成長していきます。小さな部品ひとつの装着方法をめぐって、製造ラインのスタッフが激しく衝突する様子をご覧になれば、きっと驚かれますよ。まるで自分の船を造っているような熱の入れようですから。こうした文化はどこにも真似できません。だから、リーヴァのボートはサルニコでしか造れない。フェラーリがマラネロでしか造れないように、他の場所では無理なのです」
 同社でボートデザイナーを務めるマウロ・ミケーレにも話を聞いた。
「私たちが『リヴァマーレ』で目指したのは、リーヴァの長い歴史と伝統を象徴するようなボートです。リーヴァのDNAを余すところなく受け継ぎ、ディテールにこだわり、最高の仕上げ、最高のデザイン、スマートなシルエットを追求しました。大切なのは、派手さより、いつの時代も色褪せることのないタイムレスな価値。流行遅れになるようなものを造るのは、お客様に失礼だと思っています」
 リーヴァは近年、豊穣期を迎えている。2014年に設立されたスーパーヨット部門は、いまや8メートルから38メートルまで、オープン/クーペ/フライブリッジの多彩なモデルを展開。また、2016年にはフィアットと共同でレトロな500の特別仕様車を開発した。この限定モデルは、リーヴァの船と同じラグジュアリーなスタイルをフィアットの都会的なコンパクトカーに落とし込んでいる。
「アクアラマ」や「アクアリーヴァ・スーパー」といった、リーヴァの歴史に名を残すモデルの流れを汲んだ「リヴァマーレ」の誕生によって、カルロ・リーヴァの夢は新たなステージへと進み始めた。ガラッシの言葉を借りれば、「リーヴァの伝統から生まれ、未来へと飛躍する、いつまでも記憶に残るモーターボート」だ。これは、ミンモ・ロテッラのお眼鏡にもかなうに違いない。

手仕事が際立つハンドルはスポーツカーをイメージ

ヘッドレストにロゴのステッチを施した魅力的な内装

イセオ湖に出航する様子

THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
1 2

Contents