Wednesday, August 29th, 2018

A FLOATING PARADISE
成功者のみが手にできる水上の楽園

イタリアのラグジュアリーボートメーカー、リーヴァの進化を象徴するモデル、
「リヴァマーレ」はまさに史上最高に洗練されたプレジャーボートだ。
text nick scott
photography piers cunliffe

 フェレッティ・グループのCEO兼ディレクター、アルベルト・ガラッシは、あるとき、イタリア現代アーティストのミンモ・ロテッラに呼ばれ、「人生でもアートでも、人がやらないことをやらなきゃいけない」というアドバイスをもらったらしい。ガラッシはサルニコにあるリーヴァのボートヤードの上のオフィスで、イセオ湖を眺めながらこう語った。
「ルーチョ・フォンタナの空間主義、パブロ・ピカソやアリギエロ・ボエッティの作品を考えてみてください。彼らはみな、人がやらないことをやったのです」
 マンチェスター・シティFCの理事や航空機メーカーのCEOも務めていたガラッシは、1974年に父親がリーヴァの船を購入したときに、その魅力に取り付かれた。彼は2014年にリーヴァを傘下に持つフェレッティ・グループのトップに就任したが、そのときからロテッラの至言を座右の銘にしてきた。リーヴァのプレジャーボート「リヴァマーレ」は、人がやらないことを追求するという彼のポリシーを何よりも明確に表現している。

富を象徴するステイタスシンボル

 リーヴァの歴史が幕を開けたのは1842年。場所はイタリア北西部、ロンバルディア州の緑豊かな山々のふもとに細長く延びたイセオ湖のほとりである。突然の大嵐の襲来で地元の漁船の多くが損傷してしまったところに、若い大工だったピエトロ・リーヴァが修理するための造船所を造ったのが始まりだ。しかし、ボートレースに情熱を注ぐ孫のセラフィーノ・リーヴァが経営を受け継いだ1930年代には、同社は小型のレーシングボートやプレジャーボートのメーカーに成長していた。そして1952年、セラフィーノの息子カルロ・リーヴァが画期的な造船手法の導入を決定。これが現在のリーヴァの礎となる。カルロは、ウッドに熱い蒸気をあてて防水パネルを作るという斬新な技法を取り入れて、それまでよりはるかに丈夫で、美観に優れた木製のハル(船体)を開発したのである。
 こうして誕生した、マホガニーのハルとリーヴァらしいアクアマリン/ホワイト/ロブスターカラーで彩られたボートは、ジェットセッターたちの新しいステイタスシンボルとなった。「リーヴァ・アリストン」、「スーパー・フロリダ」、「アクアラマ」は“スピードボート界のフェラーリ”の異名を取り、たちまちセレブリティの間で人気を博した。ブリジット・バルドーやリチャード・バートン、エリザベス・テイラー、レーニエ皇太子、ジャンニ・アニェッリらが、
リヴィエラでのんびりするための船となったのである。
 やがてファイバーグラスの使用を嫌ったカルロは、同社を1971年に売却し、リーヴァは2000年にフェレッティ・グループのもとで華麗に復活した。カルロが導入した精緻な技法は今も大切に受け継がれ、現在もクラシカルな伝統を守りながら、ハイエンドのモーターヨットやパワーボートを製造している。ウッドには手塗りで12回、さらにスプレーで12回も塗装を施すことで日焼けや塩焼けを防止し、ネジひとつひとつの位置を調整して、ネジ頭の溝がすべて同じ方向を向くように工夫している。

世界中の王族や銀幕スターに愛されてきたリーヴァの名ボートのDNAを受け継いで2016 年に新たに誕生した「リヴァマーレ」。全長は39フィート(約12メートル)。エンジンはVOLVO PENTA D6 400。最高速度は40ノット(時速約74キロメートル)。日本で購入の場合の納期は約8カ月~。価格は980,000ユーロ~。Riva

どのボートも木製パーツは計24回以上ものコーティングが施される

THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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