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トリッカーズ:英国一の老舗靴

TRICKER'S: ENGLAND'S OLDEST SHOEMAKER

Sunday, February 3rd, 2019

ウェルテッド・カントリーシューズで知られるトリッカーズは、1829年に設立された家族経営のシューメーカーだ。

古くからの貴族階級から最先端のクリエイティブ・ピープルまで、幅広い顧客に愛されている。

その理由は、英国ならではの代え難いクオリティにあるのだ。

 

by benedict browne  photography james holborow

 

 

 

 1829年以来、ノーザンプトンに本拠を置くトリッカーズは、ずっと非の打ち所のないウェルテッド・カントリーシューズを作り続けてきた。 ジョゼフ・バルトロップという名の靴職人によって設立されたこのシューメーカーは、現在も同じファミリーによって所有されており、英国の代表的なブランドのひとつである。

 

 チャールズ皇太子からロイヤルワラントを授与されていることでも知られている。厳しい冬を過ごす相棒として、丈夫な靴ほど心強いものはない。そして今年創業190周年を迎えるトリッカーズよりも、その目的にかなっている靴はない。

 

 

 

 

 19世紀から20世紀にかけて、トリッカーズは乱立状態だった靴業界において、メジャー・ブランドとしての地位を確立した。当時はノーザンプトンシャー州だけで200のシューメーカーがあったといわれている。戦争中は将校や兵隊たちのために、軍用の頑丈なブーツを作っていた。そんな歴史を持つため、トリッカーズは通常の顧客に加えて、カルト的なファンを得るに至った。

 

「私たちの顧客の方々は、ちょっと“奇妙”であると申し上げなければなりません」とトリッカーのマネージング・ディレクターであるマーティン・メイソンは微笑む。

 

「ヨークシャーからいらした屈強な農夫の方がいるかと思えば、社交クラブ“ホワイツ”から『領地を見に行くとき用に』とブローギング・シューズを入手しにいらした方もいます。それから日本からお越しになった、22歳のDJの方もおられます」

 

 確かにトリッカーズの顧客は、奇妙なほど多様である。

 

「一体どれが本物なのか?」という疑問を持たざるをえない。答えは彼らが追求する共通のものにある。それは“クオリティ”である。

 

 

 

 

「われわれは1904年以来、変わらずここにおり、伝統を守っていますが、同時にハイテクの変化にも対応していかなければなりません」

 

 メイソンは2015年に同社に入社して以来、eコマースサイトのローンチやシーズンごとのコレクションなどを牽引して来た。そのどちらをも成功させたメイソンには、大きな信頼が寄せられている。輸出も伸びており、特にアジア地域での躍進は目覚ましい。

 

 メイソンはノーザンプトンの靴メーカーについて、それぞれのブランドを代表する“定番”が人気を持つ時代になっているという。トリッカーズの場合は、間違いなく“カントリー”のシリーズだ。それは同社の最高峰モデルでもある。

 

 

 

 

 ノーザンプトンの高級靴メーカーの例に漏れず、トリッカーズはその昔ながらの工房の中で、すべてのアッパーをひとつずつ手作業でカットしている。そして熟練した職人が操るさまざまな工作機械を使って、一足の靴に仕上げていく。職人たちが特に集中するのは、同社を代表するベビーウエイトのブローギング・シューズを作るときである。それはさまざまな特徴的なディテールを持っている。

 

 工房で行われるプロセスは、靴の持つ美しさを維持するために必要なものばかりだ。ブローギング(穴あけ)の工程は、1927年にデザインされ、同社の最も人気のあるふたつのモデル、バートンとストウを作るにおいて特に重要だ。

 

 メイソンはバートンを手に取り、工房内を歩きつつこういった。

 

「われわれにとってカントリー・シューズはアイデンティティそのものです。もし他の会社がこれをやろうと思っても、絶対に同じものはできないと断言できます」

 

 

 

 

 アッパーが仕上がると、次はラスティングのプロセスに移る。全体的に、トリッカーズのラストは幅広である。細くて上品なヨーロピアン・スタイルと違い、典型的な英国スタイルは、短く丸いトゥを特徴とする。

 

 アッパーはラストの上に留められて、革を馴染ませるために、そのままの姿で数週間寝かされる。これに続いて、グッドイヤー・ウェルテッドによる底付けが行なわれる。ご存知の通り、主要パーツであるウェルトが交換可能なので、グッドイヤーの靴は何十年も履くことができる。

 

 近年“グッドイヤー”の名前は、いい靴を表す代名詞となっており、やたらと乱用されているが、ノーザンプトンをおいて、その本場と言える場所はない。

 

 

 

 

 アッパーとウェルトは、インソールに接着されたリブへと取り付けられ、その状態で2〜3週間置かれた後、コルクを詰めて、アウトソールが縫い付けられ、トリミングなどの仕上げ工程を経て靴が完成する。

 

 それは驚くべき職人技の集積であり、クラフツマンシップの粋である。こうしてトリッカーズならではの無骨な、しかし美しい靴が生まれるのだ。

 

 靴はそれからポリッシングなどの最終工程を経て、顧客の元へ届けられる。トリッカーズのカントリー・シューズには、さまざまな色合いのブラウンが揃っており、それらは履き込むほどに味わいを増す。

 

 

 

 トリッカーズはいまや世界的なシューメーカーとなった。頑丈で丈夫なプレタポルテの靴となると、世界一のブランドといえる。

 

 「人々は今、オリジナルであるもの、そして唯一無二なものを求めています。私たちのようなブランドにとって、そしてノーザンプトンのすべての靴メーカーにとって、今のような時代は大きなチャンスだと思います」とメイソンは語った。

 

 

 

 

 そのクオリティ、時代を超越したデザイン、そして素晴らしい歴史を持つトリッカーズは、英国ブランドの白眉である。もしあなたが、トリッカーズのことをよく知らないのなら、バートンかストウからの購入を強くおすすめする。彼らは多くの先人が認めたベストセラー・モデルであり、すぐにあなたのワードローブのベスト・フレンドになるだろう。

 

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